【悲報】女神さん、女神なのに死にかけてしまう(本日二回目)

文字数 1,239文字

とりあえずさぁ?

一回目にあいつが

出て来なかったってことは

いくら魔王でも


核ミサイル喰らったら

さすがに死ぬってことだよな?

――えっ!? 

じゃぁ、まぁ、

やることは一つ

決まってんじゃね?

天我は拳を天高く突き上げる。
転移強奪(てんいごうだつ)
魔王城の上空に浮かび上がる紋様。

――いやぁ! ちょっとちょっと


核ミサイルを必殺技扱いするのやめてぇー!

一発だから、世界も滅びないし

セーフっしょ

――一発だからセーフ理論やめーや!

じゃぁ、ババァ

俺は瞬間移動で逃げるから

核ミサイルの落下は

すでにはじまっている。

ババァも早く逃げないと

巻き添え食らうよ?

――えっ!? エェッ!?

それ、早く言ってよぉ!?

いやぁぁぁぁぁぁぁあっ!!

動けなくなっている魔王に

容赦なく核ミサイルは落下し、

魔王城もろとも大爆発を起こす。

――今、あたし死にかけたっ!

女神なのに二度も死にかけたっ!!

数十キロ離れた地点に

瞬間移動した勇者は

魔王の最期を見届ける。

――ちょっと、この子


いつの間に瞬間移動とか

出来るようになったのよっ!?

おうっ、ちゃんと逃げて来たか


やっぱりババァでも女神だな

――そんな、腐っても鯛みたいに言わないでよ!


腐ってないからぁ

あたし全然腐ってなんかないからねっ!

――でも


……とりあえず

魔王の生体反応は無いみたい


弱ってたから、逃げ切れなかったのね

この先、勇者天我と魔王は

時を替え、場所を替え、

幾度となく顔を合わせ対戦することになる。

そして、その結果はすべて勇者の勝利。

だが、毎回リセットが繰り返される為

魔王は一切そのことを知らない。

その記憶を持ち続けているのは勇者だけ。

何とも奇妙な

勇者と魔王の関係だけが残ることになる。

どうだ、ババァ?


これでミッションクリアだろ?


早く俺を元の人間世界に返してくれよ

今回はこれで

ミッションクリアかと思われたが、

意外なところから綻びが出ることになった。

それがね、天我くん……

残念なんだけど……

さすがに地上を冷やし過ぎたわ……

地下に避難していた人間達に

続々と死者が出ているみたい

いくら地中の方が

地上よりも温度が高いと言っても

ものには限度と言うものがある。

地上が冷え過ぎてしまえば、

地中も相応に温度が下がる。

おい、クソババァ、ふざけんなよっ!

俺は暖房使えって言っといたぜ

使ったみたいなんだけどね、

それが逆に不味かったようで……

あなた達の世界で言う

一酸化炭素中毒、

二酸化炭素中毒などによる死因も

多かったみたいね……

東京の地下街をシェルター代わりに使っても

当然電気もガスもない訳で、

暖をとろうとすれば火を使わざるを得ない。

換気能力の低い所で火を使えば、

空気中の一酸化炭素や二酸化炭素の濃度が

高くなるのは当然だろう。

ちっ!

これだから原始時代の人間はっ!

火の使い方も分からねえのかよ

まぁ、でも

今回結構面白かったし


もう一回ぐらい

付き合ってやってもいいかもな

――あ、やっぱりちょっと

面白かったんだぁ

――前回よりは大分マシになったけど……

この子、本当は

魔王よりもよっぽど

ヤベエ奴なんじゃないかしら……

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