自死が出来ない女
文字数 1,401文字
光輝く黄金色の髪に青い目、
透き通るような白い肌をしている
美しい娘フェル。
年頃になる村の男達はみな、
美しいフェルに好意を抱いていた。
だが、力尽くで言い寄るような男はおらず、
みなフェルに優しく紳士的であった。
自分が見ている目の前で家族を惨殺され、
その場で敵兵達に陵辱されたフェル。
彼女は、血の涙を流しながら、
声にならない呻き声をあげ続けていた。
全滅した村の中で、
唯一村の若い娘達だけが
生き残ることを許される、
敵兵の慰み者となるために。
生き残った村の娘達は、
連日連夜、敵兵達に陵辱された。
自分の親、兄弟、家族を、
村人を皆殺しにした敵兵達に。
村が焼き払われてから数十日後、
ようやく村が属する自国の軍が、
領土奪還のために敵軍と相見える。
交戦は何日にも渡って繰り広げられ、
激闘の末にようやく自国軍が勝利する。
だが現実は、陵辱しようとする相手が
敵兵から自国の兵士に変わっただけであった。