すべてを無に帰す
文字数 1,066文字
勇者を剣で刺し、
殺した人間の女兵士は
四肢の無い状態で倒れ、
胸に剣を突き立てられて死んでいる。
勇者は一度完全に死んだ。
『バックアップ機能』
だが、万一の事態に備えて
事前に異空間に置いてあった
バックアップデータで肉体を再生さた為、
なんとか復活を果たすことは出来た。
横ですでに息絶えて死んでいる人間の女に
まるで語り掛けるように、
勇者は一人で話続けている。
そう、最初は
まったくの『無』だった
『無』のそばには
いつも『闇』があって
『無』は『闇』を呑み込んだ
いつからか
そこに『邪悪』があったので
『無』はこれも呑み込んだ
そしてやって来たのが
『人間達の悪意』だった
『無』はそれすらも呑み込んだんだ
すでにこの世界は滅び去っている。
かって勇者であった者達は
目の前に出現する転移ゲート、
その闇の中へと消えて行く。