クラス=リベンジャー(復讐者)
文字数 2,003文字
わずか数日の短い期間ではあったが
それなりの信頼関係を築けた二人の旅は
終わりを告げようとしている。
日が暮れたので今日のところは
森の中で野営することに決めた二人。
ジョーは顔色一つ変えずに、
焚き火の前で気味の悪い虫に火を通している。
散々愚痴を言いながら、
人間世界では見た事がないような虫を
おそるおそる口に入れるコーエン。
そのあまりの味の不味さ、
口に入れた時の不快感から
思わず吐き出してしまう。
ジョーは、不気味な虫の丸焼きを
黙々と口に運び続けている。
ジョーは一旦食事の手を止め、
目の前で燃えている焚き火に薪をくべた。
そういうとジョーは再び
手にした虫を口へと運ぶ。
食後も焚き火の前で
向かい合って座っているジョーとコーエン。
夜の闇に飲み込まれそうな森、
焚き火の炎と、それに照らされている二人の姿だけが
無の中に浮かび上がっている。
目の前で燃え続ける炎を
じっと見つめていたコーエンは、
先程のジョーの話がどうにも引っ掛かり、
思い余って問い掛けた。
それは覚悟が必要な行為でもある。
しばらくの沈黙の後、
コーエンの質問には答えずに
ジョーは質問できり返した。
自分が問うた以上、問い返されるのは
コーエンも分かっていた。
だからそれ相応の覚悟も必要だった。
目を見開いて驚くコーエン。
頭を掻くコーエン。
燃え続ける炎を見つめながら、
コーエンは自らの事情を語りはじめる。