ユーコとヨーコ
文字数 1,488文字
魔王軍が圧倒的な勢力を持つ異世界。
生き残った人間や亜人、他の種族達は反乱軍を結成し
今尚これに抗い続けている。
現実世界での景山陽子ことヨーコは
その反乱軍の中にいる。
彼女もまた反乱軍として
銃を手に取り戦場で戦っていた。
ここでヨーコでいる時、
人間世界での陽子としての
記憶は一切ない。
逆に陽子でいる時は
ヨーコの時のことを覚えてはいない。
積まれた
向かって来る魔物や魔族達を銃撃するヨーコ。
人間世界では勝ち気で活動的であるヨーコも
この地獄絵図の中では
メンタルを維持出来ずに
臆病であったり弱き者であったり、
時には泣き虫であったりもする。
ヨーコは次第に泣きべそをかきはじめ、
目からポロポロと涙をこぼし
しまいには泣きじゃくる。
後方からの声に
ヨーコは希望の光を見る。
ショートカットの髪をなびかせ、
まるで美少年のような麗人。
しかしその体のラインが
ハッキリわかるライダーススーツ、
そのシルエットを見る限り
間違いなく女である。
この世界でヨーコは
完全にユーコを心の支えにしていた。
というよりももはや依存症に近かった。
その後、勇者の出現により
魔王軍は撤退を余儀なくされる。
勇者はユーコとヨーコが
二人一緒にいる時にしか
姿を見せることはない。
戦闘が終わった後、
ヨーコはユーコに
壁ドンされ迫られていた。
これも戦闘後に毎回行われる
お約束と言える。
ユーコはヨーコの顎をクイっと上に向けて、
熱くヨーコの目を見つめる。
ヨーコもユーコに惹かれているのに、
つい抵抗してしまう女心の複雑さ。
ヨーコの耳元で、
ユーコの熱い吐息が囁く。
耳と顔を真っ赤にするヨーコ。
ユーコの細くしなやかな指先が
ヨーコの体を撫でるように滑っていく。
そのまま唇を奪われる。
だがそれも
おそらく五秒もすれば
忘れてしまっているだろう、
夢を見たような気がしたことは。
本当はそれは夢ではないのだが。