時の勇者とリッチ
文字数 1,431文字
時の勇者の旅路、
今度はアンデッドの大群が、その行く手を阻む。
アンデッドの群れを率いているのは魔王軍のリッチ。
また弱腰になるかと思われた時の勇者だったが、
今度はそこそこ強気な姿勢を見せた。
ここまでずっと、戦闘向きではない自らの能力を
過小評価して来た時の勇者ではあったが。
うろたえるリッチに
時の勇者は容赦無く
時間逆行の能力を使う。
普通の人間の青年へと
戻って行く元リッチ、
呆然として地べたに座り込む。
これが時を統べることが出来る
時の勇者の信条なのであろう、
限られた命の時間であるからこそ
人間の生は輝きを放つのだと。
このように、
時の勇者による肉体の時間逆行能力は
特にリッチに関しては
リッチ殺しと言ってもいいぐらいで
長い年月を経てようやく辿り着いたリッチであるのに
一瞬で彼等を元々の人間の肉体に戻してみせる。
リッチに辿り着くのに長い年月が掛かった者程、
心をバキバキにへし折られるのだった。
そんな神にも匹敵する能力を持ちながら、
コンプレックスを抱え
まだ能力を上手く使いこなせていない
時の勇者。
とりあえずレベル差関係なく
どんな相手でも斬れる剣技、
もしくは究極の攻撃魔法の一つでも覚えれば
おそらくすぐにでも
最強クラスになれるのだが、
まだまだ先のことになりそうではある。