おっさんドラゴンの現場

文字数 1,204文字

おっさんドラゴンが、次に転生した現場では……。
――あかんなぁ、

なんやこのパーティーは

レベルもろくに上がっていない、

武器や防具、装備も貧弱過ぎるわ


到底ワシを倒せそうにもないわ

こらちょっと、どやしつけてやらんとあかんな
自分らホンマ、あかんで、しかし

ワシのこと中ボスだと

思って舐めとんのと違うか?

い、いや

決してそんなことないっす

そもそも、こんなんで

舐めてないと思ってること自体が、

ワシを舐めてるということや

全滅エンドが希望

というわけやないやろ?

す、すいません、

俺達まだよくわかってなくて

このままでは全滅エンドにされるのではないかと、

勇者はおどおどしながら、事情を説明する。

かぁー、

なんや自分ら初心者かいな

また厄介な現場に来てしもうたで

しゃぁないわっ


自分を倒すのに必要なレベル、

装備と道具を説明したる……


それがどこで入手出来るか、

その手順なんかも教えてたるわ……

あ、ありがとうございますっ!

頼むで、出来るだけ

はよ準備して来てな


ワシも次の現場行かなあかんねん

弱過ぎる勇者一行は

慌てて準備に戻って行った。


次の現場では、いつまで待っても、

勇者のパーティーが一向に現れなかった。

どないなっとんねん、これ
いつまで人を待たせる気なんや


いやワシ、人じゃなくて

ドラゴンやけども

ドラゴンだから

待たせてもヘーキヘーキ、

とか思ってんちゃうやろな

いくらなんでも待たせ過ぎやで!


これもうRPGなら余裕で

プレイ時間、百時間は超えてるやろ?

あ、来たわ、来たわ
これまた文句の一つも言わなあかんな……
お待たせしました!

自分ら、ここまで来るのに

どんだけ時間かっかってんねんっ!!

寄り道しし過ぎやで!自分ら……

こっちは現場回してなんぼなんやから、

しっかりしてもらわんと困るで、ホンマ

すいません、

レベル上げるのに時間かかってまして

自分、先にカンストしてから進めるタイプなんで
なんでちょっとドヤ顔やねん

なんやカンスト厨かいな

ほなしゃぁないかもしれんけどもや

自分もまた随分と

けったいな性格やな~

しかし周りの人の迷惑も

考えんとあかんで、ホンマ

すいません、

これから気をつけますんで

ほな、やろか?

自分カンストやったら

武器なしでも、格闘だけでもいけるんちゃう?

いやまぁ、ドラゴンが撲殺されるのも格好つかんからな


撲殺苦しそうやし


やっぱ武器ありでええわ

そんだけ強いんだったら


痛くないように一瞬で頼むでぇ~

ちゃちゃと頼むで、ホンマ


次の現場では、雑魚モンスターがやる気無さ過ぎだった。
……
……
……
……
……

なんやなんや、

そのやる気ない感じは!

ワシは

そういう雑な仕事が

一番許せないんじゃっ!

そんなんやと自分ら、

もう次から使ってもらえなくなるで!

HPゼロなんで

もう勘弁してください、みたいな

手抜いたやっつけ仕事はあかんで!

ワシらかて金貰ってやってるんやから、

キッチリそれだけの仕事はせなあかん!

職人気質で、仕事に対するプライドは人一倍高い


真摯に仕事に取り組む

おっさんドラゴンだった。

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