最強の助っ人 (8月31日0:30)
文字数 2,099文字
エレベーターにてフロアを上がり、3課があるフロアまで移動する。
3課は情報捜査部門だ。
1係はハッキングやクラッキングなどの攻撃型、2係はセキュリティー対策などの防御型での特化型のバケモノ養成所となっている。
この2つの係は研修と称し、毎月架空のサーバーで鬼畜なバトルを楽しく繰り広げている。
噂では設立や運用には、警察のサイバー犯罪対策課だけでなく、陸上自衛隊情報課、別班などの組織も関与しているらしい。
3係は比較的一般的なホワイトハッカーの育成や、情報収集、情報分析を主に行っている。
どの課も1、2係に比べて3係は穏やかであることが多い。
廊下を進み、3課1係4班のオフィスに入った。
2つめのドアを通ると、近未来的なオフィスが目に入る。
情報捜査班と言うだけあって、たくさんのパソコンが目に入った。
個人用の広めのデスクに、複数台のディスプレイが並ぶ。
椅子はゲーミングチェア。
班員が仕事をしやすいよう、環境が整えられていた。
入り口左手にはウォーターサーバーが設置されていた。
全ての窓にはブラインドが下りていた。
課や班によって部屋の作りが違って面白い、と来るたび思う。
「夜分遅くに失礼いたします。お疲れ様です。」
「
声をかけると、すぐネフィリムリーダーが応えてくれた。
ネフィリムは長めの前髪とショートヘアにしては少し長さのある、黒髪の男性だ。
髪はいろんな方向にはねており、アホ毛もある。要はボサボサヘアだ。
カチューシャよろしくアイマスクを頭の上に上げ、瓶底眼鏡をかけている。
制服は着てはいるが、着崩しており、ネクタイは1回巻いただけで結べていない。
ネクタイピンは胸ポケットに差していた。
喋り方はネットスラングを多用する、ヲタク喋りだ。
3課は外に出ず、パソコンにひたすら向き合うのが仕事だ。
私服でなければ怒られることは無い。
他の班員も結構着崩していた。
「あ、
「渦雷リーダー氏。霧島サブ氏、乙っす!」
その他の班員も声をかけてくれた。
お疲れ様です、お邪魔してます、と1人1人に答えていく。
特殊捜査本部では、基本的に役職付けで呼ぶことになっている。
なので、リーダーとサブリーダー、オペレーターは名前にくっつけて呼ばれることが多い。
渦雷はネフィリムの事を、ネフィリムリーダーと呼んでいる。
「こんな時間にすみません。これ、差し入れです。」
中身は様々な種類のカップ麺、お菓子、エナジードリンクだった。
これらは
実は、天道に会いに行くまで多少時間があったから、スーパーやコンビニで色々買っていたのだ。
今回の案件でもかなり頼ってしまっているので、渦雷なりの礼だった。
「おおー!ありがたや、ありがたや!いつも気遣いいただき感謝ですぞ。みんなでいただきますぞぉ!まぁ、
ネフィリムは席を立ち、積まれた中からエナジードリンクを取り、また自席へ戻る。
「先ほどメッセージでも伝えましたが、急ぎでお願いしたいことがありまして。」
「ヴォイド…
――ちょっと待て。
「…冤罪で
「あー…。なるほどなるほど一理ある。では今回の件も両方に使えるようにしておきますぞww」
「ネフィリムリーダー、ありがとうございます。助かります。」
「いーえー。7班に幸あれ!」
ネフィリムは班員に向き直り、大きな声で告げる。
「者ども!
特に緊急案件を抱えている班員はいなかったようで、班員は手分けして調査を始めた。
3課1係4班総力挙げての
「よし、戻って打開策考えるか。よろしく、
渦雷リーダー
?」「
霧島サブリーダー
も協力お願いします。」僕は、班結成時、
阿久津さんに班のリーダーとして指名されていた
。だが、天道が
強制的にメンバーの配置を変え
、悔しくて今まで言えなかったけど、やっとリーダー呼びができた。
――やっぱり、渦雷がリーダーだよ。
霧島はそう思いながら、渦雷の後を追った。