班への帰還 (12月11日8:00~14:40)

文字数 7,743文字

――20XX年12月11日 8時00分 都内某所 マンションの一室

朝食後、秘匿班(スカウト)はミーティングを始めた。
いつものように護衛担当2名を残し、他が集結する。
本日もみな私服だった。

「では、ミーティングを始める。」

不知火(しらぬい)が宣言し、ミーティングが始まった。
一呼吸置き、不知火が続ける。

「昨日は各自が任務にあたっていた。緊急案件が入ったやつもいたな。本当にお疲れ様でした。集まった情報から、

2

はオフィスへ戻ってからの方が捕まえやすいと判断した。よって、本日昼食後に雨宮(あまみや)を含む数名を特捜オフィスへと帰還させ、明日の夜にはこの分室を解散する。」

(ほむら)が発言する。

「本日特捜(カラス)に帰還組は俺、晴野、橘、香月(こうづき)、雨宮……まぁ、女子全員だな。そして、班の都合でザックも共に帰還する。俺とザックは、問題が無ければ夜には再び戻ってくる予定だ。」

不知火(しらぬい)が発言する。

「基本、男子はこのまま明日の夜まで保護任務続行だ。雨宮は特捜(カラス)という受け皿があるが、兄2人は自宅しか帰る場所がない。すぐ見つかってしまうんだ。……事態が動くのは今晩だ。だから、念のためもう1日様子を見ようと思う。」

「はい。」

班員は返答した。
(ほむら)が発言する。

「あ。帰宅時期については明かしてくれて構わない。その方が向こうも安心するだろう。女子は早めに荷物もまとめなきゃだしな。……と、いうわけで。ラストスパート頑張っていきましょう!!」

「はい!」

班員は返答した。
不知火(しらぬい)が発言する。

「これにて終了!解散!……晴野(はれの)リーダー、護衛役を呼んできてくれ。」
「はい。呼んできます。」

晴野はリビングへと向かった。



――20XX年12月11日 13時20分 青少年特殊捜査本部 1課2係7班オフィス

渦雷(からい)は廊下に出て、エレベーターで階をのぼり、屋上へと向かう。
少し寒いが、外の空気を吸いたかった。

ぼんやりと街並みを眺め、現実から目を背ける。


さて、皆さまは雪はお好きだろうか。

部屋の中から外を見ている分には綺麗だろう。
ふわふわ舞い降りてくる雪はどこか神秘的で、炬燵(こたつ)に入りながら眺めて居たいと思う。

それか、かまくらを作って、のんびりしてみたいものだ。
雪だるまや雪うさぎを作るのも楽しいだろう。

だが、雪は過ぎれば道が塞がり、家屋は重みでつぶれる。
山間部では雪崩になることもあるだろう。
適度な雪かきが必要となるのだ。

中途半端または強烈な太陽光はあまりよろしくない。
雪の上に積もった新しい雪の部分だけが融雪(ゆうせつ)し、または融雪で地面との摩擦力が弱まったことにより雪崩(なだれ)が発生してしまう。

そのため、春の気温と太陽光でなるべく緩やかに融雪し、最後は土壌や人々に恵みを与える雪解(ゆきど)け水になるのが望ましい。


なぜ今こんなことを思ったのか?


――答えは、班が

からだ。……雪平(ゆきひら)の手によって。


渦雷(からい)の目は死んでいた。
これ以上はどうにもならなかったのだ。


――晴野が居ないと、雪平が運用できない。


班は晴野の不在で由々しき事態に直面していた。


雪平の通常業務は見た【色】をまとめて送る感じらしい。
そのため晴野が残していたチャート図を使いつつ、来たものを片っ端から処理していく方法でよかった。
得意なことや好きなことに関しては注意力は持続する為、今までは特に目立ったミスは起こらなかった。

だが、今回は班員2名が抜け、連絡があっちこっちから届き、各自が対応に追われている。
状況がいつもと違い、雪平はパンクした。


恐らく、雪平はADHDや高機能自閉症の特性を持っているように思う。
何かをしたら何かを忘れるため、作業が滞るのだ。
しかも、意識はあちらこちらへ向いていく。

渦雷(からい)霧島(きりしま)嵐山(あらしやま)の3人で、雪平(ゆきひら)のマイナス分を埋めるよう務めていた。
天道(てんどう)もこれはヤバいと思ったのか、率先してこちらの仕事を手伝ってくれていた。
東雲(しののめ)晴野(はれの)の穴を埋め、情報班員兼オペレーターとして動いた。東雲(しののめ)の情報調査・共有能力も大いに役に立っていた。

だが、東雲(しののめ)に緊急案件が出て班から出て行った後、状況が一気に悪化した。
霧島と天道は顔を引きつらせながらも一生懸命雪平に向き合っていた。

だが、霧島にも緊急案件が入り、班からいなくなったことで状況が更に悪化した。
結果、天道が匙を投げてしまい、渦雷(からい)と嵐山だけではどうにもならなくなっていた。

渦雷(からい)と嵐山が、晴野が残していたチャート図を使って説明しても無理だった。
何かの連絡が入るたびに、雪平の意識がそっちに行ってしまい、渦雷(からい)たちは何度も同じ説明をしなければいけなくなる。

……一体、晴野はいつも、どんな方法で、あの雪平を動かしていたんだ……。


現在、渦雷(からい)を含めた班員全員が爆発寸前になっている。
頼むから余計なことをしないでくれという心の叫びも届かない。

雪平は普段だったら、相手の気持ちを読むのが苦手でも【色】で判別し、分からないなりに相手に寄せて回答してくれる。
だが、今は意思疎通が出来ないし、こっちの意見も通じない。

雪平が天道より手こずるなんて思ったこと無かったのに……。晴野の管理(マネジメント)能力は偉大だった。
晴野は過去にパンクした雪平も上手くいなして運用していた。
だが、今回は晴野が居ない。
以前晴野がやっていたことを真似てみたが、渦雷(からい)ではダメだった。

班の崩壊は秒読みだった。
というかもう崩壊して……いや、まだギリギリ大丈夫なはず。

まだ班員全員が見限ったわけではない。


本当に、この場に霧島(きりしま)が居なくてよかった。
幸いなことに、昨日の夕方に緊急案件(アージェント)が入り、霧島は班の状況が更に酷くなる前に班から出て行っていたのだ。

霧島はかなりシビアな側面がある。
霧島と天道は使えない者は切り捨てるという価値観を持っているため、今頃雪平の傍に居たら、雪平に見切りを付けていた可能性が高い。
本当に、霧島に緊急案件(アージェント)が入っていて良かった。ぜひ晴野が戻ってくるまで戻ってこないでほしい。霧島が見限ったらもう

だ。

天道は班の管理者(上司)なので、まぁ問題はないだろう。
自分の受け持っている班だろ。部下だろ。
諦めるな。匙を投げるな。頼むからもっと頑張ってくれ。お前、

!!

ただ、天道がなぜ晴野を秘書のようにし、雪平の補佐をさせたのかが……この3日間でとても、よく、理解できた。


――早く晴野、帰ってこないかな……。


渦雷(からい)嵐姐(あらしねえ)さんから「……渦雷(からい)。外の空気を吸ってきなさい。良いから行きなさい。」と言われ、屋上に来てみたが、リーダーである自分があまり席を外すのは良くないだろう。


――そろそろ戻るか。


確かにリーダーをやる決心はした。
だが、雪平を制御できないことで、本当に自分はリーダーとしてやっていけるのか不安になる。

エレベーターに乗る気になれなかった渦雷(からい)は、オフィスまで階段で戻ることにした。
足取りが重い気がするが、きっと気のせいだろう。うん、気のせいだ。


階段を降り切り、廊下を歩く。
第一ドアロックを開錠し、第二ドアロックへ向かって進む。

第二ロックドアを開けてオフィスに戻ると、死んだ顔の天道と嵐山が居た。
床には大量の紙が――追加で来た資料か?が散らばっている。
雪平と3人で拾い集めていた。


…また、何かが起こったらしい。


……班のことだ。聞いたほうが良いのだろうか。
本音を言うと、聞きたくはないが。


というか、天道のネクタイが

のは何でだろう。
俺が出て行くまでは、少し緩めてはいたが綺麗だったはずなんだが。


――もしかして、嵐姐(あらしねえ)さん……天道に

!?だから俺を外に出したのか!?ネクタイ掴んで天道に怒鳴ったりしたのか!?本当に「(ねえ)さん」だな!?


天道が大人しく書類を拾うのを手伝っているということは、嵐山(あらしやま)の言い分が通ったのだろう。
渦雷(からい)嵐姐(あらしねえ)さんに感謝することにした。
これ以上班の崩壊は必要なかった。というか、もう何も起こって欲しくなかった。
嵐姐(あらしねえ)さん。上司を説得していただき、誠にありがとうございます。

書類を拾うのを手伝おうと1歩踏み出そうとしたとき、第二ロックドアが解除された。
渦雷(からい)がドアの前から避けると、オフィスへと入ってきたのは――


「――(さくら)!?」


入ってきたのは桜だった。
桜は白髪赤目という神秘的な見た目をしているため、会ったことがある人からは「白蛇ちゃん」と呼ばれているらしい。ただ、奇っ怪……特異な行動が目立つ、不思議ちゃんではあるが。
今日の髪型はツーサイドアップにしていた。
結び目に着けた長い深紅のリボンがゆらゆら揺れている。

桜は無言で歩き出す。
3名掛けのソファの前まで移動し、そして――

ソファに横になった。


――え?


すよすよと安らかな寝息を立てている。――




……桜は突然、渦雷(からい)たちのオフィスにやってきて、勝手にソファで寝だした。


渦雷(からい)と嵐山は絶望する。
もう、訳がわからないのは雪平だけで十分だった。
天道は頭を抱え、しゃがみ込んだ。

だが、1人だけ様子が違う班員が居た。

雪平だ。
声にならない叫びを静かにあげ、喜んでいた。

渦雷(からい)の頭の中で危険信号が鳴り響いた。
これは、ヤバい。止めなければ……!!!!


「お財布……ある!ぼ、ぼぼ僕、お菓子買ってきます!!」


そう言い、走ってオフィスから出て行こうとする雪平の腕を渦雷(からい)は掴み、止める。
渦雷(からい)はなるべく

説得を試みる。

「待て雪平!!危険だから

!!!頼むから、

!!」
「あ、確かに外は

なきゃ……!!」
「ん!?」


――頼む……

!??俺は

建物から出るなと言ったんだが!?注文(そっち)の意味じゃないぞ!!?


「えっと、

だから、そうだ、公安に

ましょう!!――あ、もしもし1課2係7班の雪平です!」
「――え。いや……は!?」

雪平はデスクに戻り、流れるような動作で公安に電話をかけ始めた。
次々と要望を伝えていく。


――待て!雪平!?公安の捜査員を私利私欲で使うんじゃない!!!!


だが、雪平は止まらない。
もう止められない。

「これで

渦雷(からい)リーダー、僕、総務の階でお菓子買ってきます!!あ、公安の人来たら渡しておいてください!!では!!!」

雪平は渦雷(からい)に1万円札を渡し、嬉しそうに走ってオフィスを出て行った。


何も良くない。
取り残された渦雷(からい)、嵐山、天道は、雪平を放置するしかなかった。
もう、無理だった。
雪平が出て行ったことで自分たちの心の安寧が保たれた……そう思うしかないだろう。


すると、第二ロックドアが解除され、人が入ってくる。

「お邪魔するでござるーwww徹夜明けFooooo!!!ハイ・テン・ション!!!www」
「ただいまぁ。いやぁ、やっと終わった……ふわぁ、あ―……れ??えっと、僕たち資料室で情報をまとめようと思ったんだけど……?何、この状況??」


足元に散らばる大量の書類。
見知らぬ班員がソファで爆睡。
表情が死んでいる班員。
天道は床にしゃがみ込み、頭を抱えている状態。
なぜか1万円札を持っている渦雷(からい)
なぜか居ない雪平。

2人は足を止めて、異様な光景を見回した。


「……ネフィリムリーダー、いらっしゃい。東雲(しののめ)、おかえり。お疲れ様。早く資料室に行きなさいな。……雪平の被害を(こうむ)らない、今のうちに。」
東雲(しののめ)、おかえり。ネフィリムリーダーお疲れ様です。……嵐姐(あらしねえ)さんの言う通り、早く行ったほうが良い……。本当に。」
「あんさんらは資料室行っとれ……。()()きぃ。……知らんでええよ……その方が幸せやさかい……。」

嵐山、渦雷(からい)、天道は死んだ表情で、力なく2人に言った。

「へ、あ、うん……そうする、よ……??」
「アッハイ。お邪魔する、で、ござるぅ……??」

東雲(しののめ)とネフィリムは渦雷(からい)たちに気圧されるように、困惑しながら資料室の中へと入っていくのだった。



――20XX年12月11日 14時30分 青少年特殊捜査本部 1課2係7班オフィス

「ただいま……。――は??」

霧島(きりしま)は緊急案件を終え、班に帰還した。

だが、室内に入ってすぐ目に入ったのは、なぜかソファで寝ている

とミーティングルームの机の上にある


そして、東雲(しののめ)の席に座り、見知らぬ班員を嬉しそうに眺めている

だった。


何度か瞬きをし、目をこするが夢ではない様だ。


――何だこの状況。てか、その大量の菓子はなんだ。……全く持って意味がわからない。


視線を感じてデスク側を向くと、人差し指を立てて手招きする嵐山が居た。

雪平の様子をちらっと見て、嵐山の方へと向かう。
嵐山は霧島の手を掴み、武器庫へと入った。


困惑しつつ、霧島が聞いた。

「嵐山……あの、一体何が起こってる??」
「聞かないで……私にも

わ。」
「え。」

異様に疲れ切った嵐山に【わからない】と言われ、更に困惑する。
何なんだよ一体。
状況がおかし過ぎる。何が起こってんだ……!?

嵐山は霧島の両肩を掴み、霧島の目を見て口を開く。


――待て!!何か異様に怖いんだが!!?


「ただ、

。今、すごく落ち着いているのよ。……【触らぬ神に祟りなし】よ。」

……嵐山の圧が怖い……。
絶対にやめろ、という圧をこれでもかというくらい感じる。

「……わ、わかった。」

霧島は頷くしか出来なかった。
こんな嵐山、はじめて見た。すごく怖い。

霧島が了承すると、嵐山は霧島の両肩から手を放し、圧もなくなる。
疲れ切った嵐山に戻った。


――おい、雪平。お前一体

……!?


霧島は震えた。
嵐山は頭を押さえ、ため息をつく。

その後、嵐山は発言した。

「あと、あの子、やっぱり5課の可能性が高いみたい。勝手に追い出すとまずいから、あの子の邪魔もしないで頂戴(ちょうだい)。」
「そうか……。5課って何なんだろうな。」
「知らないわよ……。ただ、あの子が来て雪平が落ち着いたのは事実。お陰様で今は仕事がやりやすいわ。とても。」
「そ、そうか……。えーと、雪平は一体

――」
「知らなくていい!!あなたは本当に知らなくていいから……!!!今後一切!誰に対しても!聞かないで頂戴!!!」

嵐山の圧に押され、頷くことしかできない霧島だった。

「話は以上よ。……戻りましょう。」
「……わかった。…ありがとう。」
「どういたしまして。」

嵐山が武器庫のドアを開け、外に出る。
霧島も嵐山の後を追って、デスクへと向かった。



――20XX年12月11日 14時40分 青少年特殊捜査本部 1課2係7班オフィス

桜が来て約1時間後。
目が覚めた桜に雪平が日本茶を出した。

雪平はにこにこ嬉しそうに桜を見つめ、桜は嬉しそうにお菓子を食べている。
ミーティングルームは穏やかな空気に包まれていた。
……デスクとは対照的だった。


遡ること数分前。
起きた桜に雪平がお菓子をすすめ、飲み物の注文を取った。

桜は小麦を含む麦類全般が食べられない体質(アレルギーとグルテン不耐症の併発)らしい。
調味料に含まれるのもダメなようで、食べられる市販品はかなり少ないようだった。

なので、食べるものは小麦やオートミールが入っていない国産のチョコレート――外国産のチョコレートだと、極まれに小麦由来の香料やモルトシロップが入っていることがあるため、注意が必要だ。――か、小麦や醤油を使っていない和菓子になる。
ケーキやエクレアは完全に小麦だし、和菓子やおせんべいの中には原材料に小麦が入っているものもあるため、雪平が揃えたものの約9割は食べられないようだった。

桜は机に広がったお菓子の中から、求肥(ぎゅうひ)で白あんを包んだ花の形の和菓子と羊羹、お煎餅(せんべい)(サラダ味、塩味、砂糖のみ。小麦不使用品に限る)、高級チョコレート(パフ入り、クランチ入り、酒入り以外)を選んだ。

和のものが多かったため、雪平は日本茶を淹れ、桜に持って行った。


和菓子は上等なものだ。
雪平の頼みで、美味しいと有名な老舗和菓子店で購入されていた。
どうやらすごく美味しかったらしく、桜はきらきらした瞳でとても嬉しそうに食べていた。

様子を見に行った天道が、桜のそばに近づき、発言する。

「あんさん、ホンマにどこの(もん)――もが。」

桜は無言で煎餅の袋を開け、文句を言ってくる天道の口に突っ込み、物理的にふさいだ。
黙れという事らしい。


天道はブチギレたかった。
だが、本当に5課所属なら言いがかりをつけられて大問題に発展する可能性がある。
天道はこらえることにした。

ジト目で桜を見ながら、無言で口に突っ込まれた煎餅を咀嚼した。


桜はふと何かに気付いたように顔を上げ、近くに居た雪平に指示を出した。

「お茶……4つ……。」
「はい!入れてきます!!」

雪平は速攻でお茶を入れにキッチンへ向かう。
どうしよう。雪平が完全な(しもべ)と化している。

渦雷(からい)は雪平のことは放っておいて、桜に気になったことを聞いてみた。
お茶の数がおかしいのだ。人数と合わない。
ミーティングルームへと向かい、桜の近くに座る。

「桜はお茶が【4つ】と言ったが……4つの理由を聞いてもいいか?」
「……帰ってくる、から。」
「え……?」

その言葉を聞いた天道が思いっきり顔をゆがめ、様子を見に来た霧島も眉間にしわを寄せている。
2人とも言葉の理解に苦しんでいるのだろう。

嵐山も来ていたようで、首をかしげている。
資料室から出てきた東雲(しののめ)とネフィリムは、お互い顔を見合わせていた。


この状況で帰ってくるとなると、

姿2

しかいないのだが……。
……2人護衛が付いてくるということか?――まさかな。


桜は湯呑を手に取り、お茶を飲む。
また机へと手を伸ばし、煎餅を手に取り、食すのだった。


数分後。
足音と共に、第二ロックドアの開錠音がした。

振り向くとそこには――


「たっだいまー!!あー久々のオフィスだわーww……んえ?何か真っ白な子居る。もしかしてアルビノ!?すげぇはじめて見た。キレー!!」
「只今戻りましたわ。……あら、とても神秘的な方ですわね。どちらの班の方でしょうか?」
「おじゃましまーす!!デリバリーでーすwwwこいつら2人をお届けに参りましたーwwうぇーいwwwwうおっ!めっちゃ真っ白な子居る!!誰誰!?てか俺が知ってるより数人多くね?人数増えたの!?」


晴野(はれの)!!雨宮(あまみや)も!!無事でよかった……!!……ええと、どちら様でしょうか。」


晴野と雨宮、そして――なぜか

ガタイのいい男性がオフィスに入ってきた。
……どちら様でしょうか??

「アストライアー!雨宮!おかえり……!!無事で良かっ――ひぃっ!?し、知らない人!!??陽キャオーラが……!?ぐあっ!!」
晴野(アストライアー)氏!雨宮氏!祝ご帰還!!お邪魔してますぞ!!……って、知らない人居て草ーwwwファーッwwwwwでもなんか晴野(アストライアー)氏に似てるー!?wwww」
「――へ?……あれ?本当だ。似てる……!?もしかして……。」


「お茶入りましたー!!」


周囲が見えていない雪平がテーブルの上にお茶を4つ乗せたのトレーを置く。

「……3つ……。」

桜は入り口に居る3人を指さし、雪平を見て告げた。
雪平はきょとんとし、入り口――第二ロックドアの方を振り向いた。

「――え?……わぁ!!おかえりなさい!!お元気そうで何よりです!!よかったぁ……あれ?後ろの方はどちら様でしょうか。」


視線が一気に男の人へと向く。
男の人は満面の笑みを浮かべ――

「対面でははじめまして!!晴野(こいつ)の兄っす!!よろよろ!!」

(ほむら)――晴野兄は晴野を指さし、明るく自己紹介をした。
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登場人物紹介

本編主人公の渦雷(からい)です。

1課2係7班のリーダーです。

皆さまどうぞよろしくお願いいたします。


雪平、すまないがこの書類も頼む。総務から雪平宛だ。

1課2係7班、サブリーダーの霧島(きりしま)です!

よろしくな!


あ、雪平!

僕、1時間後に用事で出るから、総務の書類終わったらついでに持って行ってやるよ!

あ、ども!晴野(はれの)っすー!

1課2係7班でオペレーターやってるよー!

よろよろ!!


って、ちょ……ゆっきー(雪平)!!!?無事かー!!?

皆さま初めまして。

1課2係7班の雪平(ゆきひら)です。

事件が無い時は、事務や情報整理、書類整理をメインにしています。

共感覚を持っていて、僕の場合は【色】が見えます。

どうぞよろしくお願い致します。


さて、この書類を…あっ!

(バッサー。書類を床に雪崩のように落とす。)

――うわあああぁ!すみませんんん!!

皆さまごきげんよう。

1課2係7班、雨宮(あまみや)ですわ。


雪平、こちらに来た書類はまとめましたわよ。

1課2係7班、嵐山(あらしやま)よ。

よろしく。


雪平。こっちが処理済、こっちが未処理のものよ。

量もあるし、天道に返す分は空きデスクに積んでおくわね。

1課2係7班、情報班員の東雲(しののめ)だよ。

基本、引きこもっているけど…よろしく。


あれ。ネフィリムからチャット入ってる…。

…了解。〔また出たヤバ案件ww面白そうだし、緊急案件RTA参加するので詳細キボンヌw〕…っと。

いつもネフィリム達には手伝ってもらってるしね。

――さて、頑張りますか。

あ、どうも。公安部外事課、天道(てんどう)どす。

警視庁に勤務しながら、青少年特殊捜査本部の1課2係7班の上司をさせてもらっとりますぅ。

ホンマは古巣に戻るか、1課1係に行きたいんやけど…まぁ、よろしゅう頼んます。

警視庁の阿久津(あくつ)だ。

天道の上司だ。どうぞよろしく。

警視庁公安部所属の天笠(あまがさ)です。

1話のエピローグから本編に関わらせていただきます。

読者、そして1課2係7班の皆さん、どうぞよろしくお願いします。

うぽつwww

拙者はネフィリム!

3課1係4班のリーダーでござるwww

いやぁ、何卒どうぞどうぞよろしくでござるww

あ。上から緊急案件RTA入ったんで離脱シャース!ノシ

ホント人使い荒いwwブフォww

者ども!!調査(ハッキング)と工作(クラッキング)の時間ですぞ!!各自開始オナシャス!!

警視庁公安部内事課の斎藤だ。

…一応名乗ったが…俺の自己紹介、本当に必要か??

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