エピローグ (8月31日16:40)
文字数 2,863文字
VS
班員は舞い込んでくる事後処理をしながら、
靴音が響き、第二ドアのロックの解除音がする。
オフィスに入ってきたのは渦雷だった。
「
無事に帰ってきた渦雷を見て、みんながほっとした表情を浮かべた。
お疲れ様、と方々から声がかかる。
「伏魔殿攻略おつ
どこかの神社のおさがりの、お清めの塩らしい。
スタンバイする晴野に苦笑し、断った。
「阿久津、どうなった?」
「パージ成功だ。あと、阿久津がやった罪の他に、上層部に追加で色んな罪を擦り付けらていた。」
「うっわぁ…どいつもこいつもあり得ませんわ…」
「やっぱ塩いる?いや、もう、撒くわー。祓給いー清め給えー…」
バッサー。
頭から塩を被る
「討伐
「上手くいって良かった。またネフィリム達にお礼を持っていかないとな。」
「エナドリでも投げ込めばいいと思うけど。…みんなを大事にしてくれてありがと。」
「…そうだ。変更がある。実は、帰り際に警視総監に会った。その時に今後の話をしたんだ。ひとまず担当はそのままで、上には
倉木は白髪交じりのオールバックで、柔和な顔つきとたれ目が特徴的な男性だ。
阿久津とは別の派閥に所属している。
《あー。あの刑事畑で公安に転身した
おっとり腹黒
!。調べがつく範囲では表所属だね。》すかさず
「誰だー…多分、めっちゃ知らん人だわ。派閥、今度はそっちが優勢になったかぁ。…てか、相変わらず蹴落としイベ巻き込まれ継続中じゃん、やばー。」
「あら、割と良さそうじゃない!狸でも、今後は4班みたいな担当派遣してくれるかもよ?」
確かに、今後、
「期待は禁物です。倉木さんの方針にもよりますが、上が変わったのは嬉しいですね。」
「上に行けば行くほど腹に何か抱えているものだ。こっちに実害がなければ、俺は構わないよ。今度倉木さんと話せる時間が取れるといいんだが……」
――ピッ
そうこう話していると、第一ドアのロックが解除される音がした。
コツコツコツ…
――ピピッ
靴音が響き、第二ドアのロックの解除音がした。
そして、新たな上司である倉木と、その部下となった天道が入室してきた。
「Oh…。」
「……。」
ヤバそうな人間に関して優れたセンサーを持つ
特に雪平は、見てはいけない【色】を見たかのような反応だ。
――この上司、多分、いやかなりヤバいな。
「7班の皆さん、お疲れ様です。この度、この班の管理につく倉木…そうだな、君たちに倣おうか。これからは
「そうですか…
お疲れ様です
。」「
お疲れ様です
。」他の班員も
知ってか知らずか。
「
《…
コイツはヤバいという情報が、班の中で共有された。
「…そういえば。直属の上司は引き続き
大丈夫かな
?」「倉木さん、
心配ありがとうございます
。」「そう?阿久津の件もあったし、
色々不安もあるんじゃないかな
って思うんだけど。」「いやぁ。
貴方よりちゃんと信頼関係築けてはりますので
、お気になさらず。」唐突に遠回しなバトルが始まった。
暗黒空間である。
「今後は私が最終的な権限を持ちます。もし、管理や情報に
不備があれば
、私まで遠慮なく言ってくださいね。」「…ありがとうございます。天笠さん、これからお時間ありますか。」
「ありますよ。」
「では、あちらでこの班の説明をいたします。必要でしたらその後に班員と面談をしていただいて構いません。東雲はオンラインでお願いいたします。未成年や、人見知りの班員もいますので、失礼もあるかと思いますが、お目こぼしお願いします。」
「わかりました。よろしくお願いいたします。」
デスクに居た班員は、渦雷たちを視線で見送る。
「…やっぱ、
「当り前じゃないですかやだー。てか、
積み上げられた書類をべしべしと叩きながら、
事後処理が山積みで、今日も泊りになる予定だ。
天道に付き合ってやる暇はないのだ。
ていうか、助けてやったのに事後処理まで邪魔するつもりかよクソ天道、と
そんあ晴野の視線を受けて、天道が口を開く。
「あー、その…色々とありがとう。助かったわ。」
――今まで1度も、班員に
礼も謝罪もしたことが無い天道が
、礼を口にした
。「え。」
「ん!?」
「は!?」
「あ?」
「Oh…。みんなー…今日は槍が降るぜ…。」
《きも…今日で地球滅亡するんじゃね…?》
「失礼な!!俺を一体何やと思ってんねん!!こんな、人がよくて!融通の利く!!優しくて!強いっ!!!頼りになる、おっちゃんやのにっ!!」
天道は一昔前の少女漫画で涙を流す感じの、きらきらしたオーバーリアクションを披露し、班員に抗議した。
まったくもって似合っていない。目に毒である。
パンパン。
「皆さん、仕事が山積みです。恐らくこの後倉木さんの個人面談が入りますので、集中して急ぎのものだけ片付けましょう。そして、今日は泊まらずに帰れるように、お仕事しましょう!」
「はい!」
雪平の発言に、班員全員が同意した。
「……あえー……こんなスルーの仕方、あるぅ……?」
天道は1人取り残されることとなった。
――ここは、青少年特殊捜査本部。何かに秀でた能力を持つ青少年で構成される組織。
彼らはまた明日も事件を追い続ける。
その、はずだった。
この件を終えた後。
阿久津の件が尾を引き、1課2係7班は厄介なことに巻き込まれていく――。