外出時の攻防 (12月13日13:30)

文字数 2,389文字

――20XX年12月13日 13時30分 青少年特殊捜査本部 1課2係7班オフィス

天道(てんどう)は席を立ち、第二ロックドアへと移動した。

「行ってくるわ。ほな、さいなら。」

そう言うと天道は自然な動作で、そのまま第二ロックドアを開け、ドアの外へと向かう。


――ん!?ちょっと待て!?


「うぉい、待てやゴラァ。」
「どこ行こうとしてんすか。」
「あの、本当に人の話、聞いてます?」
《脳が筋肉に侵されて、ついに認知症になったの?》
「あらぁ?ちょっと待ちなさいね。…ステイ。」

晴野(はれの)霧島(きりしま)渦雷(からい)東雲(しののめ)嵐山(あらしやま)が速攻止めに入る。
デスクからダッシュで入り口まで向かい、天道の腕を掴み、室内へと連れ戻す。

「あれ?もう外出禁止、緩和されたんですか?」

雪平(ゆきひら)がデスクから不思議そうに聞いてくる。

「んなわけないっしょー。ゆっきー、まだまだ継続中だよー。」
「……です、よねぇ??」

晴野の返答に更に悩んでいる様子だった。
雪平は悩みながら、デスクから天道のもとに移動する。

状況を怪しんだ東雲(しののめ)が資料室から出てきて、天道の近くまでやってきた。

こうして天道は班員に囲まれた。


「…あのなぁ、俺にも事情ってもんがあるんやけど……?」

班員に引き留められ、天道はめんどくさそうに回答した。
晴野は引かず、更に問う。

「昨晩はわかる。ラムダさんが呼びに来たからな?だけど、さすがに1人でってのはダメっしょ??」

晴野は天道の情報が流出していることを知っている。
他の上司の情報も流出(本物は未送信の状態だった)していたし、だからこそ適当にでっち上げたものを本物として晴野が送りつけたのだ。
班の侵入の件もある。天道の行動はかなり危険だった。

他の班員も天道はかなり危ないと予測していたし、だからこそ泊まり込むよう要求した。
なのに、本人はあっさり出て行こうとする……危機感が足りていない。

東雲(しののめ)は警戒しながら晴野と霧島の近くに




「この後、重要な情報を持つ協力者に呼び出されとるんや。仕方ないやろ。」

天道の回答に、班員の不安は募る。
周囲を見回すが、天道の意見に賛同している人間はいない。
班の総意は「行かせるべきではない」だった。

渦雷(からい)は天道に説得を試みた。

「だが……さすがに不安です。雨宮の件もありましたし、天道さんの情報も漏れていると聞いています。特捜に泊まるよう頼んだ際に言った通り、天道さんは確実に狙われています。……考え直していただけませんか。」

渦雷(からい)は真っ直ぐ天道を見て発言する。本気で説得に、引き留めにかかっていた。
天道も渦雷(からい)の瞳を見つめていた。だが、天道は意見を曲げない。

「……信用がモノをいう世界やから、行かんといけへんの。わかるぅ?」
「……ですが……!」
「仕事や、仕事。……すぐ戻ってくるさかい。堪忍な。」

……?
後半の、天道の

2

だ。
1度めは確か、阿久津(あくつ)のせいで疑いがかかって、俺に鞄を渡した後の――「ほな、さいなら。」
確か、あの時の状況はスケープゴートに仕立て上げられた上での処罰処刑ルートになる直前で――まさか!?


――やばい。天道を行かせてはならない!!


「――天道さんっ!」
「ほらほら退いた退いた。邪魔や。」

天道はそう言い、再び第二ロックドアを開け、ドアの外へと踏み出す。
渦雷(からい)は天道の腕を掴もうと手を伸ばすが、天道に腕を避けられてしまう。

渦雷(からい)が手を伸ばしたのと同時に、晴野と霧島が気配を消し天道に肉迫したのち、素早く距離を取った。


これ以上は止めない。止めても無駄だった。
結果、天道は特捜から外出した。


第一ドアが閉まり、足音が遠のいていく。

「モニターの電源入れて!共有する!!」

東雲(しののめ)が大きな声で言い、資料室に走っていく。
嵐山がモニターの電源を入れ、他の班員はミーティングルームの席につく。

モニターに映し出されたのはマップだ。


――霧晴(むせい)コンビはあの一瞬で発信機を付けていたのか!


マーカーが移動して……!?
止まった!?

「あんにゃろ…。」
「やっぱ、バレてたか……クソッ。」

マーカーは特捜の立体駐車場の手前の廊下で止まっている。
どうやら東雲(しののめ)が渡し、晴野と霧島が仕掛けた発信機は捨てられたようだった。

「ヴォイド!今から言う品番を調べて!FRXX-XXXXX29……こっちはどう!?」

晴野は東雲(しののめ)に指示を出した。
どうやら先ほどの発信機の前に、別の発信機を天道の所持品に仕込んでいたらしい。


――晴野、用意周到だな!?天道の行動を見抜き、前々から仕込んでいたのか!?


《待って。検索を――同期した!》

同期に成功し、マップに新たなマーカーが表示された。
車で移動しているのだろう。交差点を直進していた。
班員は安堵し、息をついた。

「!これ、移動中だな。よし…これで何かあった時追えるな。」

霧島は両こぶしを握り、安堵する。
そこに、雪平が素朴な疑問をぶつけた。

「ですが…何でわざわざ発信機を外したのでしょうか。」
《確かに……。危険性については何度も話していたはずだよね…。》

東雲が悩み、不安な空気が漂ってくる。
嵐山と渦雷(からい)は気にせず、晴野を褒めることにした。

「さすがね。晴野。これで――!?」
「っ!!信号が消えた!?」

突然信号が消え、嵐山と渦雷(からい)が驚いた。
他の班員も騒然としている。

《うっわ…多分、通信を無効化する箱かポーチにしまったね……。げ。スマホも圏外だ。》
「おいおいバレたのかよ…。何か

、積んでやがったか。」

怒ったところで意味をなさない。
東雲(しののめ)と霧島があくまでも冷静に状況を分析する。
残る手段はスマートフォンのGPSだが、こちらも同じように通信を遮断する箱かポーチにしまっているようだった。

恐らく天道は発信機を調べる機械を持っていて、それを使って信号に引っかかったタイミングで自身の所持品を調べたのだろう。
ここまでされたら、お手上げである。


「――ふざけんな。もうアイツなんか知らねぇ!!勝手に死ねええええ!!!」

晴野はわなわなと震え、怒り任せに絶叫した。
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登場人物紹介

本編主人公の渦雷(からい)です。

1課2係7班のリーダーです。

皆さまどうぞよろしくお願いいたします。


雪平、すまないがこの書類も頼む。総務から雪平宛だ。

1課2係7班、サブリーダーの霧島(きりしま)です!

よろしくな!


あ、雪平!

僕、1時間後に用事で出るから、総務の書類終わったらついでに持って行ってやるよ!

あ、ども!晴野(はれの)っすー!

1課2係7班でオペレーターやってるよー!

よろよろ!!


って、ちょ……ゆっきー(雪平)!!!?無事かー!!?

皆さま初めまして。

1課2係7班の雪平(ゆきひら)です。

事件が無い時は、事務や情報整理、書類整理をメインにしています。

共感覚を持っていて、僕の場合は【色】が見えます。

どうぞよろしくお願い致します。


さて、この書類を…あっ!

(バッサー。書類を床に雪崩のように落とす。)

――うわあああぁ!すみませんんん!!

皆さまごきげんよう。

1課2係7班、雨宮(あまみや)ですわ。


雪平、こちらに来た書類はまとめましたわよ。

1課2係7班、嵐山(あらしやま)よ。

よろしく。


雪平。こっちが処理済、こっちが未処理のものよ。

量もあるし、天道に返す分は空きデスクに積んでおくわね。

1課2係7班、情報班員の東雲(しののめ)だよ。

基本、引きこもっているけど…よろしく。


あれ。ネフィリムからチャット入ってる…。

…了解。〔また出たヤバ案件ww面白そうだし、緊急案件RTA参加するので詳細キボンヌw〕…っと。

いつもネフィリム達には手伝ってもらってるしね。

――さて、頑張りますか。

あ、どうも。公安部外事課、天道(てんどう)どす。

警視庁に勤務しながら、青少年特殊捜査本部の1課2係7班の上司をさせてもらっとりますぅ。

ホンマは古巣に戻るか、1課1係に行きたいんやけど…まぁ、よろしゅう頼んます。

警視庁の阿久津(あくつ)だ。

天道の上司だ。どうぞよろしく。

警視庁公安部所属の天笠(あまがさ)です。

1話のエピローグから本編に関わらせていただきます。

読者、そして1課2係7班の皆さん、どうぞよろしくお願いします。

うぽつwww

拙者はネフィリム!

3課1係4班のリーダーでござるwww

いやぁ、何卒どうぞどうぞよろしくでござるww

あ。上から緊急案件RTA入ったんで離脱シャース!ノシ

ホント人使い荒いwwブフォww

者ども!!調査(ハッキング)と工作(クラッキング)の時間ですぞ!!各自開始オナシャス!!

警視庁公安部内事課の斎藤だ。

…一応名乗ったが…俺の自己紹介、本当に必要か??

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