プロローグ (12月22日11:00)
文字数 1,620文字
本日より宗教編です。
意味不明なカルト宗教が出てきます。「各宗教の本職が見たらぶん殴りたくなるカルト」という設定で創作しています。
【創作なんちゃって祝詞について】
神道、仏教、キリスト教、スピリチュアルのハイブリッドカルトとして創作していますので、祝詞の中に「主」や「業」などが入っています。
大字と小字に分けられず読みにくかったので、切りの良いところでスペースキーを入れています。
万葉仮名(送り仮名)は祝詞によって異なる字があてられる場合も多くあります。
漢字の読みも作り手によって変化する場合が多々ありますが、このカルトではこの字と読み方で最後まで通します。
どうぞよろしくお願いいたします。
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――20XX年12月22日 時分 都内某所 御霊磨き聖慈愛院蓮の伽藍堂救世会 拝殿
「祈りましょう。世界の為に。」
『祈りましょう、世界の為に!』
教祖が宣言し、祈り始める。
ここは、
昨今のスピリチュアルブームに乗じて信者が急増している、宗教法人格を持ったカルト宗教団体だ。
宗教名からして意味が解らないと思った方は、まっとうな感覚をお持ちだろう。
…もう一度言おう。意味が解らない方は、まっとうな感覚をお持ちだ。
宗教名からわかる通り、この拝殿内はいささか疑問点が多い。
わかりやすく言うと、ものすごくぶっ飛んでいる。
中央の祭壇がいい例だ。
雛人形の豪華な祭壇を思い浮かべてほしい。
あんな感じに、3段になっているのだが……。
正面の壁中央に、巨大な
祭壇の頂の段に祭られているのは、左側に貼り付けにされたキリスト像、右側に神宮大麻。
曼荼羅を頂点とし、三角形になるよう飾られている。
この時点でおかしいが、三角形の底辺中央(キリスト像と神宮大麻の間)にピラミッド型のオルゴナイト(手のひらサイズ)が置かれ、中段段には
下段には複数の数珠、木魚、線香台と線香、金幣(釣下げ型)が祭壇に祭られている。
祭壇左右の床には「適当に切り出したものを置きました!」と言いたげな、大きなパワーストーンが複数置かれ、更なるカオスを呼んでいた。
めちゃくちゃである。
だが、信者は信じて疑わない。
手首と親指をクロスさせ、指を開き、蓮の花に見立てる。
教祖が先導する祈りの
「
『――
教祖の祈りの先導に合わせ、信者は熱心に祈り続けるのだった。
――20XX年12月22日 時分 都内某所 宗教施設の外周辺
公安のとある班は
最近信者が急増したカルトで、活発的になっているため、人員を増やしての対応だった。
本来なら中に公安の捜査員を送ったり、協力者を作りカルト内スパイとして運用する。
だが、このカルトはなぜかそれができなかった。
取り込もうとした信者はいつの間にか居なくなっていて。
送り込んだ捜査員は追い出されたり、裏切ったり、失踪したりする。
おかしいくらいにガードが固すぎるのだ。
こちらでガサ入れしようにも、いつも圧力がかかり中止になる。
いつの間にか情報が漏れている。
誰だ?いつ知った?どうやって流れた?
不安は募るが、今できることは監視するのみ。
捜査員は今日もカルト宗教施設を見張るのだった。