裏側の考察 (12月9日14:00)

文字数 8,593文字

――20XX年12月9日 14時00分 青少年特殊捜査本部 1課2係7班オフィス

が終わり、班員はミーティングルームに集まった。
幸いにも盗聴器などは設置されていなかった。

話し合いができる時間は残り1時間半。
今のうちに全て詰めておきたかった。

「では、ミーティングを始める。議題は誘拐事件とそれらに関与しているであろう情報、怪しい動きがあった者の報告などだ。恐らく内部も関わっているはずだから、些細な情報でも共有してくれると助かる。また、誘拐に関して新着情報が入った場合は、それについても話し合いたい。――よろしく頼む。」

「なら、僕からのほうが良いかもね。ただし、これは秘密にしておいてほしい。秘匿班(スカウト)が絡んでいるし、個人情報だから…。」
「わかった。天道には明かさない様にしよう。」

東雲(しののめ)の発言を、渦雷(からい)は天道に伏せることを決めた。

「ありがとう。雨宮(あまみや)は――本名、西園寺桜子。西園寺グループ社長の娘だよ。今回の誘拐は西園寺家の子ども3名全てが狙われている。多分、今の段階では特捜は関係ないと思う。そして、恐らく誘拐したのは阿久津と関わっていたテロリストだよ。R国スパイも関わっている可能性が高い。…根拠はまだ言えない。ごめん。」

「…え。……富裕層だとは思っていたが…まさかの西園寺グループ…。」
「あら…。ピンポイントねぇ…。しかもテロリストまで…。」
「ん!?

西

!??」
「…本当にお嬢様だったんですね…。」

渦雷(からい)をはじめ、班員は驚いた。

西園寺グループといえば、知らない人はいない大企業だ。
それに、前回PNG計画時の安在(R国スパイの協力者)が働いていた会社である東山製薬は、西園寺グループ傘下の企業だ。

嵐山(あらしやま)の言う通り、ピンポイントで事件に関わっていた。
普通、親族が絡んでいる事件からは外される。
警察の暗黙のルールなのに、なぜか雨宮は事件に関わっている。――知らなかったのか?それともわざとか?

「えっと、僕もはじめて知った時は驚いたし、秘匿班(スカウト)ε(イプシロン)――天道のスマホハッキングメンバーと言ったほうがいいのかな?でも、雨宮の正体に盛り上がったよ。だから、晴野(はれの)も安在との時点で…知っている。」

「そう…なのか。」

東雲(しののめ)たちが正体を知った時期に驚いた。
1ヶ月以上前じゃないか。
だが、護衛が目的なら知っていて当然だと思い直した。

「うん。個人情報だから言えなかった。ごめんなさい。」
「いや、確かに俺でも言えない。…ただ、天道さんへの伏せ方は少し考えさせてくれ。事件の根幹に関わりすぎているから、言い方を工夫したい。」
「わかった。そうして。…えっと、続けるね?」

渦雷(からい)は頷き、東雲(しののめ)は話を続ける。

「前回も今回も、僕の居る秘匿班(スカウト)ε(イプシロン)では、西園寺3兄弟のスマートフォンの位置情報を利用して、行動を監視していたんだ。決められた時間にスマホの位置情報を見て、おかしな点がないか見守っていた…。だけど――今回、

。」

東雲は一呼吸おいて、再度話し出す。

アレクセイ(R国スパイ)の狙いは、テロリストとの接触と…多分、天道だから。確かに雨宮たちも候補には上がっていたけど、天道の方が危険度が高いと思われていた。雨宮たちの監視は、R国スパイ(アレクセイたち)が新たに用意するであろう、新たな協力者との接触を防ぐための目的がメインだったんだよ。…万が一失尾(しつび)しても大丈夫なようにね。それほど、西園寺グループの情報漏洩は、日本にとってエグかったみたい。」


失尾(しつび)とは、尾行中に見失って、尾行の対象者を追えなくなることを指す。
警察――主に公安が使う用語だ。


嵐山が考えながら発言する。

「…そっち(イプシロン班)では、

誘拐はそんなに危険視されていなかったのね。」

東雲(しののめ)は頷き、言葉を紡ぐ。

「うん。だからこそ――考えれば考えるほど、おかしな点があるんだ。秘匿班から回ってきた情報なんだけど、3人ともスマートフォンを手放していたんだよ。

という形で

んだ。その直後に誘拐された。だから――僕は護衛していた公安が怪しいと思っている。…繋がってるでしょ、犯人と。さらに、緊急案件(エマージェンシー)をかぶせてまで、晴野の任務を邪魔しに来てた気がするんだ。偶然にしては出来すぎているから、疑うけど。本当に偶然かもだけど…。」


確かに、全員のスマートフォンを公安が持っているのはおかしいと思っていた。
遠隔で監視がついているなら、なおさら手放させないはずである。

――内部が絡んでいる。

確信犯だろう。一気に今回の誘拐が怪しくなった。


「テロリストの格言…というか、合言葉を思い出してほしいんだけど。テロリストはいつも【全ての富を貧しい者に。団結せよ】と言ってるよね?……これってさ、西園寺グループが富の象徴として狙われたっていう事を示す証拠じゃないかなって、僕は思うんだ。だから、この誘拐の目的は、あくまで西園寺グループの子どもたち。R国スパイが関わっているのは、あくまでコミンテルンの支援と、西園寺グループの情報欲しさ。特捜は関係ない――そう、思っているよ。」

「…晴野の緊急案件(エマージェンシー)に関して、何か知っていること、もしくは推察できることはあるか?」
「晴野の緊急案件(エマージェンシー)は本当に知らないんだ。だけど――裏切者がいる前提で動いたんじゃないかなって思ったかな。【今日、3人が誘拐される】ってわかっていたから【発信機を本人の衣服か何かに着けて、武装して、追いかけた】が正解だと思うよ。…晴野はもしかしたら、秘匿班(スカウト)の仲間と雨宮たちとともに、数日潜伏するかもね。…裏切り者を潰すために。だから、今回の誘拐については僕は楽観視している。危険なのは次の天道。1課2係7班(こっち)の情報が漏れるのも、このタイミングだと予想しているよ。拷問とかで吐かされるんじゃない?――僕からは以上かな。」


「なるほどな…。」
「次、僕でも良いか?東雲(しののめ)の予想を聞いたからこそ、今一度、考えうる最悪な状況を共有しておきたい。」
「霧島サブリーダ、お願いします。」


「まず――お前ら楽観視しすぎ。晴野の実力、誰も正確に把握してねぇだろうが。だからこそ、晴野についての考察と、成功と失敗したパターンの両方見ていくぞ。」

「晴野についての考察だが――僕は、晴野裏切り者説を推すね。R国スパイと繋がっているというよりかは第三勢力寄りだとは思うし、そうであって欲しいが。…理由は実力が不明なのと、タイミングが良すぎる上に、事前にわかって動いていた節が散見されるから。ポイントは7つ。」

霧島は左手の親指を立てる。
海外風の数え方だ。日本ではあまり見かけないから、違和感を覚えてしまう。

「1、晴野は実習後神社に立ち寄った。…なぜだ?普通、安全の問題で許可なんて下りない。なのに、神社に行ってお守り受けて帰ってきたんだぞ?おかしくないか?…何者かが司令を出すために立ち寄らせた可能性が高い。アナログな接触方法をする必要性、あるのか?スマホでいいだろ。それに――物理的な接触方法はスパイが良く使う手段だ。…疑ってしまうんだよ。」

霧島は人差し指を立てる。

「2、お守りを雨宮に渡していること。ただのエールのつもりなのかもしれないが、好みを把握したうえで用意し、常に身に着けるように言っていただろ?僕はこのお守りの中に発信機が入っていたと考えている。理由は5で話す。」

霧島は中指を立てる。

「3、今朝の晴野の行動がおかしい。雨宮の

。それに…衿を直しながら、衿の裏に何か仕込んでいた。恐らくこれも発信機だ。」

霧島は薬指を立てる。

「4、晴野の手際が良すぎる。発信機は用意周到すぎるし、衿に着ける時の

。アイツ、情報班員(ハッカー)だろ?

?僕と同じように公安系に鍛えられているならわかるが……実力を隠している理由がスパイ技術持ちで、特捜に入り込んでました、とかだったら笑えないぞ。…本当にR国スパイと繋がってないだろうな…。別の国だとしても、怖すぎるから辞めてくれよ…頼むから日本であってくれ。マジで。」

霧島は小指を立てる。

「5、晴野が武器を持って行こうとしていたこと。誘拐を企てているテロリスト相手に、カーチェイスしながら特攻かけに行く気満々だっただろ、絶対。ハリウッド映画かよ。…大体な?事前に戦闘が予測できる、時間指定の発信機だらけの護衛って何だよ。そんな仕事こっちが知りたいわ。」

霧島は右手の親指を立てる。

「6、晴野のパソコンに表示されていた点の数が、スマートフォンと発信機と思われるものを足した数と一致する。これほど仕込むのは異常だろ。普通は発信機を仕掛けても1個だ。バレる危険性が増えるのに複数仕込むとか、狂気の沙汰だわ。しかも、(はな)からスマートフォンを頼りにしていない感じじゃないか!誘拐前にスマートフォンと離されることを知っていた可能性が高いだろ。」

霧島は人差し指を立てる。

「7、音信不通で、帰ってこねぇ!!発信機の情報も綺麗に隠蔽しやがって!!絶対テロリストの代わりに、別の目的で誘拐してんだろが!!違うなら無事とか何か一言寄こしやがれ!!言えなくても、せめて渦雷(からい)リーダーには何か連絡入れろや!」


霧島の考察は、どれもごもっともだった。
やはり、今朝の雨宮の衿は曲がってはいなかったようだ。
渦雷たちが感じていた違和感は正解だった。


「次に、晴野が奪還に成功したパターンだが…晴野裏切り者説で行くぞ。まず、雨宮を奪還後、堂々と拉致すると思う。行く前にウエストポーチを持って行っていた。あの中に銃以外の武器は入れているだろうから、スタンガンが入っていてもおかしくはない。…そして、第三勢力の所に雨宮を連れていく。目が覚めた雨宮は抵抗し、晴野の裏切りを知り――口を割らずに死ぬ。兄弟が解放されていない場合は、兄弟を人質に取り、口を割らせようとするだろうな。…特捜の情報は晴野を通してバレているだろうから、雨宮から引き出す情報は【所属している秘匿班(スカウト)の情報】と【西園寺グループ】関係がメインだろう。情報が手に入った後は、僕たち特捜を狩り放題になる。天道や僕らだけで済むとは到底思えない。組織(特捜)ごとやられる可能性もある。…仮に晴野が2重スパイとして敵に潜り込んでいたとしても、こちらの情報は渡さざるを得ないだろう。」

霧島が一呼吸を置き、続ける。

「…晴野はいつも適当に振舞っていて、

。今回の案件が始まる前までは、そういうヤツだと思っていたが……もし、晴野の本性が血も涙もない冷酷女だったら、更に最悪だ。特捜の個人データをハッキングして、持ち出している可能性だってあるからな。晴野は東雲とネフィリムと同等の実力を持つ、ハッカーだぞ。…今回の件で、一番敵に回したくないって思ったわ。天道がいつも晴野に苦手意識を向けてんのが理解できた。…マジで怖いわ、晴野。」


「最後に、晴野が奪還に失敗したパターンだが…晴野が味方だった場合、最悪だ。待ち構えているのはテロリストとR国スパイ。秘匿班(スカウト)の仲間が倒されていた場合、応援もないまま拷問されるだろう。女性の場合はより酷い目にあう。位置情報もわからないため、誰も助けに行けない。そのうえ大使館内で行われていたら、最悪だ。治外法権の関係で、居場所がわかっても助けに行くことができない。……雨宮の兄弟が一緒に攫われていた場合は、雨宮の口を割らせるために、兄弟を痛めつけるはずだ。晴野は使命感から命に代えても守り抜くだろうが、先に雨宮の精神が壊れるだろう。向こうが雨宮が特捜と知っていたとしても、知らなかったとしても…兄がこんな目にあうのは自分のせいだと思うだろうから。」

霧島が一呼吸を置き、続ける。

「それに、拷問に耐えきるのは雨宮では無理だ。――兄たちの無事と引き換えに、素直に吐くだろう。だが、向こうはそんな優しくないから、手のひらを返して殺されるか一生利用されるかのどちらかだろうけどな。晴野は情報がばれた時点で、知らぬ存ぜぬが通用しなくなるから、終わりだ。恐らく、晴野自体には価値を見出さない可能性が高いだろう。ごく普通の一般庶民っぽいし。ハッカーの実力も隠しそうだし。……生かされたとしても、晴野なら気力さえあればどこかで復讐するだろう。そして――次は僕らだ。アレクセイのPNG発行に関わっているということもバレるだろうから、初っ端から拷問祭りだろうよ。スパイに協力する(協力者になる)か死ぬか選べって感じだろ。相手の目的によっては、芋づる式に関係者が殺されていくかもな。」


霧島の予測はゾッとするものだった。
だが、現実味が薄い部分もあるのでは?と渦雷は思ったので、聞いてみることにした。


「霧島サブリーダー…本当に拷問までやるのか?この現代で?殺しも……現実であり得るものなのか?」
渦雷(からい)リーダー…敵に情けを求めんなよ…。あー、強いて言えば、天道との仕事の都合で、――見たことがある、し……気分悪くなるから、これ以上は言わない。だが、拷問も殺しも過去の遺産ではない。現在も使用されている

の手段だ。……僕が軽く体験済みだ。…うん。これ以上は聞かないでくれ。」


――は?
――霧島サブリーダー、まさかの実体験済み!?


「ど、どんだけ死線かいくぐってるの…!?こ、こここ怖すぎなんだけど!?よく生きてたね!?」

東雲(しののめ)は震えながら発言した。
嵐山も雪平も顔色が悪い。俺もぞっとした。

……霧島サブリーダー、よく生きてたな…。
何かの拍子で、霧島の体に傷を見つけることがあったとしても、絶対に触れないでおこうと思う。


「もし、楽観視していいなら――晴野たち秘匿班がそれぞれ暴れて、裏切り者を狩りまくって、明日くらいに笑いながら雨宮と戻って来て、天道に車の件で怒られて大喧嘩をする。…これが一番平和で安心できるんだけどな。…世の中、そんな簡単には行かないだろ。最悪のケースまで行くかはわからないが、東雲の話を聞いて、一方的に安全だと判断して構えるのは違うと思う。あと、さっき気付いたんだが――悪いが、

。」


――なぜ霧島が狙われるんだ?

霧島は、天道が持つ秘匿班(スカウト)に所属しているため、面識があるのだろうか。
それだとかなり厄介だ。

「え。なぜ。天道の弟子だから?」

東雲(しののめ)も同じことを思ったようだった。

「弟子じゃねぇ。…My mother…あー、僕の

が…

西

なんだよ。父親と駆け落ち同然でイギリスに行ったから、日本の血縁者とは今まで関わりが無かったんだ。……東雲の話ではじめて知ったけど――雨宮、まさかの従妹(いとこ)だったわ…。僕、今、従兄妹(いとこ)が揃いも揃って誘拐されているのかよ。感情がもうわからんわ……。」


どんな確率だ。
雨宮の本名を聞いたとき、霧島だけ反応が微妙に違ったが――どうやら、血縁者だったから驚いていたらしい。
霧島は感情の整理が追いついていないようだった。


「……戻ってきたら、雨宮の従兄(いとこ)のお兄ちゃんだぞ☆とか言ってみたら?…和むかもよ?多分。」
「いらないだろ。それに、言う必要もないんじゃないか?特捜は本名禁止のルールだし。今回は雨宮の本名と家を知ってしまったが。」
「えー。言わないんですか……。まぁ、確かにそうですけど。」
「ご両親が何かの拍子に日本に来て、雨宮の家族と会ったときが見物ね。」
「……まさかのドッキリ企画になってる……?」
「あー。万が一そうなることがあったら、事前に明かすことにするわ……。んで?他のメンバーは、今回のことをどう思ってんの?」

霧島は班員に切り返した。
雪平が答える。

「僕は――晴野さんは味方で、奪還成功後に潜伏する説ですね。表裏の、しかも大掛かりな作戦にバックアップを用意しないなんて、あり得ませんから。だから、晴野さんは成功してるし、雨宮さんと一緒に居ると考えます。ただし、秘匿班(スカウト)の特性上、恐らく数日は行方をくらますのではないでしょうか。発信機の信号を消すのも、スマホが音信不通になるのも用意周到ですし。車も潜伏先も用意しているでしょう。楽観視かもしれませんが、現実的ではあると思います。」

続けて、嵐山が答える。

「私は晴野は味方で、今日明日で戻ってくるか連絡がつくかのどちらかね。情報共有後にこちらから味方を通して仕掛けたほうが、秘匿班(スカウト)の存在も伏せれて色々と都合が良いでしょうし。……あと、緊急案件(エマージェンシー)が出た晴野の秘匿班(スカウト)だけど――私は一般的な公安警察系ではないと思っているわ。関わっているのって、もう少しダークな組織っぽくない?……例えば公安ゼロ課とか、別班とか。事前に誘拐がわかっていたということは、それだけの情報収集能力があるということ。……結構闇が深い秘匿班(スカウト)だと思うわ。天道の件でやる気なかっただけじゃなく、実力を隠す必要があったのかもね。」


最後に渦雷(からい)が返答する。

「俺は雪平と同じように、晴野が味方で奪還後に潜伏する説を推す。そして、秘匿班(スカウト)については嵐山と同じ意見だ。秘匿班(スカウト)が動いているから、サポートがあって欲しい…。霧島さんの話を聞いた後では、本当に…切実に、サポートがあって欲しい。」

渦雷は少し涙目だった。
霧島の話で誘拐のリスクを軽めに見積もっていたことに気付き、晴野たちの状況にかなり不安になっていた。
渦雷自身が誘拐に無縁だったこともあるだろう。
だが、天道さんの

一瞬の切り替わりの意味を、上辺だけでもわかった気がする。

「えーと、渦雷リーダー……大丈夫か?その、怖がらせたかもしれないが、リスクを把握する意味で言っただけだから。晴野ならきっと笑いながら雨宮と戻ってくるだろ?…うん。そうに違いない。大丈夫大丈夫。アイツ、いっつもノリに任せて行動する、適当なヤツじゃん。」

渦雷は感情があまりなく、恐らく感情面の発達(感情の豊かさに関して)が人より遅いのだろう。
霧島は渦雷のメンタルケアに務めることになった。

対して、東雲は今後のことを考えて唸っていた。
嵐山が切り出す。

「さて、これ……天道にどこまで話す?――どこ切り抜いても地獄よね。」
禿同(はげどう)。話が全て秘匿班(スカウト)関わってるし、何なら個人情報駄々漏れだからね。……僕が天道を追い払いたかった理由はこれだよ。勝手に話していいもんじゃない。」
「僕は天道を信用しても良いと思っているが、余計な行動が多いからそこが心配。大事な部分はしょって言ったとしても、つぎはぎだらけで意味通じそうか?」

東雲が嵐山に同意した。霧島も説明に悩んでいる。
雪平は渦雷に聞く。

「伏せ方が厳しい部分がありますよね……。どうしますか?」

「……雨宮に関してはご家庭の事情で狙われた。晴野は多分、天道の車で雨宮を奪還しているはずだが、秘匿班(スカウト)が絡んでいるから身を潜めていると思う。阿久津の一件で関わっていたテロリストとR国スパイが繋がっていて、誘拐は彼らの犯行の可能性が高い。また、雨宮の誘拐が成功するよう、公安にまぎれた裏切り者が居るから、探して(シメ)たい。また、緊急案件(エマージェンシー)が重なった件もあって、上は一切信用できない。情報がどこまで漏れているかは不明だが、恐らく天道さんはアウト。次は天道さんが狙われると思うし、天道さんが終わったら俺らだと思う。また、霧島も危ないかもしれない。詳細は秘匿班(スカウト)経由の情報だから言えない。――隠しながら要約するとこんな感じか?……どこまで知らぬ存ぜぬで行けるんだろう……。」


「綺麗にまとめたなー。根拠聞かれても答えられないが。」
「そうね。これで行きましょう。これ以上言えないわ。」
「良い感じですね。あ、僕、調査部に雨宮さんたちの護衛をしていた公安の人の名簿を送ってもらえるよう、頼んでみますね。」

霧島、嵐山、雪平は説明に賛同した。

「そう言うしかないと思うよ。…あ、僕から別件で補足。1課2係7班(僕らの)オフィスに侵入した犯人はまだ捜査中だけど、かなり絞れているっぽい。だけど――確実な証拠確保のために泳がせているだろうから、気を付けてほしい。これからも朝の

と、人の出入りの都度の

、必ず2人くらいはオフィスに残るのを続けよう。」

東雲(しののめ)も賛成だったが、他に持っていた情報を公開してくれた。
候補は絞れているらしい。
十分気を付けるようにしよう。

「んー。僕からは特にないですが、最近スパイやテロリストの入国が多いみたいです。どこで繋がっているかわかりませんので、気を付けておくに越したことは無いでしょうね。…まぁ、いつもの通りなのですが。」

雪平は公安の情報を伝えてくれた。
元々入ってきていたようだが、最近は公安が尾行する入国者が増加しているようだ。
アレクセイの仲間も入ってきている可能性がある。気を付けたい。

「私からの補足や情報はないわね。」
「僕もないな。」
「俺もない。――他になければミーティングを終了するが、いいだろうか?」

嵐山と霧島、渦雷は共有できるような情報は持っていなかった。

「なら、天道が戻る前にお昼ごはんにするか。武装待機で食べれていなかっただろ。」
「そうね。昨日の残りの鍋にを温めてくるわね。」
「嵐山さん、お願いします。僕は調査部にメッセージ送ってきます。」
「確かにおなかすいたね。緊張感で忘れてた。……僕、机拭くね。」
「そうだな。武装は夜までこのままにしておこう。俺もデスクでメッセージを確認してくる。解散。」

やることを決め、各自解散する。
天道が来るまでの間に、遅めのお昼ご飯を食べる渦雷(からい)たちだった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

本編主人公の渦雷(からい)です。

1課2係7班のリーダーです。

皆さまどうぞよろしくお願いいたします。


雪平、すまないがこの書類も頼む。総務から雪平宛だ。

1課2係7班、サブリーダーの霧島(きりしま)です!

よろしくな!


あ、雪平!

僕、1時間後に用事で出るから、総務の書類終わったらついでに持って行ってやるよ!

あ、ども!晴野(はれの)っすー!

1課2係7班でオペレーターやってるよー!

よろよろ!!


って、ちょ……ゆっきー(雪平)!!!?無事かー!!?

皆さま初めまして。

1課2係7班の雪平(ゆきひら)です。

事件が無い時は、事務や情報整理、書類整理をメインにしています。

共感覚を持っていて、僕の場合は【色】が見えます。

どうぞよろしくお願い致します。


さて、この書類を…あっ!

(バッサー。書類を床に雪崩のように落とす。)

――うわあああぁ!すみませんんん!!

皆さまごきげんよう。

1課2係7班、雨宮(あまみや)ですわ。


雪平、こちらに来た書類はまとめましたわよ。

1課2係7班、嵐山(あらしやま)よ。

よろしく。


雪平。こっちが処理済、こっちが未処理のものよ。

量もあるし、天道に返す分は空きデスクに積んでおくわね。

1課2係7班、情報班員の東雲(しののめ)だよ。

基本、引きこもっているけど…よろしく。


あれ。ネフィリムからチャット入ってる…。

…了解。〔また出たヤバ案件ww面白そうだし、緊急案件RTA参加するので詳細キボンヌw〕…っと。

いつもネフィリム達には手伝ってもらってるしね。

――さて、頑張りますか。

あ、どうも。公安部外事課、天道(てんどう)どす。

警視庁に勤務しながら、青少年特殊捜査本部の1課2係7班の上司をさせてもらっとりますぅ。

ホンマは古巣に戻るか、1課1係に行きたいんやけど…まぁ、よろしゅう頼んます。

警視庁の阿久津(あくつ)だ。

天道の上司だ。どうぞよろしく。

警視庁公安部所属の天笠(あまがさ)です。

1話のエピローグから本編に関わらせていただきます。

読者、そして1課2係7班の皆さん、どうぞよろしくお願いします。

うぽつwww

拙者はネフィリム!

3課1係4班のリーダーでござるwww

いやぁ、何卒どうぞどうぞよろしくでござるww

あ。上から緊急案件RTA入ったんで離脱シャース!ノシ

ホント人使い荒いwwブフォww

者ども!!調査(ハッキング)と工作(クラッキング)の時間ですぞ!!各自開始オナシャス!!

警視庁公安部内事課の斎藤だ。

…一応名乗ったが…俺の自己紹介、本当に必要か??

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み