秘匿班εでの対応 (12月13日10:50)
文字数 3,486文字
今日オフィスに居るのは
多分また分室で、時間が来るまでダイヤモンドアートかスクラッチアートに励むのだろう。存分に楽しんでほしい。
時間を確認し、必要なものを持つ。
「んじゃ、
「行ってらー。」
「おー。行って
「あ!行ってらっしゃいませ!」
ちなみに
完全秘匿性の班なので、顔を合わせないよう、時間指定で向かうのだ。
晴野は会議室に入り、上司の受付を済ませ、7番の個室に入る。
パソコンの電源を入れ、チャットを開く。
本日のリーダーはタンジェントさん、サブがサインさんで、書記がコサインさんらしい。
取りあえず班の秘匿チャットにて挨拶をする。
〔乙乙!!〕
すぐに返信が返ってきた。
〔乙〕
〔乙でーすww〕
〔乙〕
〔乙。なぁ、結局西園寺3兄妹の件どうなったの??これにて
〔乙。あーあれ異質過ぎない??どう考えてもおかしいっしょ。何で全てのスマホを公安が持ってるんだよ。絶対拉致に協力してんだろ。クソが。〕
〔あーね?ここだけの話、別の秘匿班で怪しそうな奴らに探り入れたけど、シロだったわ。本当胸糞悪い。
〔乙。
〔え、マジ!?マ!?〕
〔あー。うちの班ではそろそろ解放されそうって聞いたンゴ〕
〔ん!?どっちが正しいんだ!?〕
〔は?マジで捕まってんの!?うちの班ではどっかの秘匿班が誘拐して、逆にテロリストを脅したって聞いたンゴよ??〕
〔まって情報錯綜しすぎ〕
〔は?テロリスト??テロリストが拉致?誘拐?したわけ??〕
〔どゆこと?安全なの?それとも危険度MAXなの?〕
ここで悩んでいるのはナンバー3、4、8、9の4名。
ナンバー1(ラムダ)、2(焔)、5(ネフィリム)、6(東雲)、7(晴野)以外は内情を知らないのだ。
書き込まずに成り行きを見守るが、他の班では情報が結構錯綜しているらしい。
また、内情の一部を共有されている班もあるように思えた。
なんだよ「逆に脅した」って。失礼な。うちの兄貴の仲間が頑張っただけじゃないっすか、やだー。
とりあえず晴野は挨拶だけして、その他は沈黙を貫くことにした。
すると、上司が入ってくる。
会議開始になるのだろう。
席につき、最初に発言したのはタンジェントだ。
「これより秘匿班
班員は手を止め、マジックミラー越しに上司陣を見る。
タンジェントは一呼吸置き、続けて発言する。
「今日呼んだのは3つの用件があったからだ。1つめは西園寺3兄妹の拉致について、2つめは1課2係7班の侵入の件について、3つめがハッキングの依頼だ。――まず、この間の拉致のケースクローズから説明したい。ただし、ここで聞いたことは全て外に漏らすな。生命の危険があるからな。……いいな?」
〔はい〕
〔おk〕
〔了解。〕
〔りょ〕
〔らじゃー〕
〔〇〕
〔了解です〕
〔おけまる〕
〔イエッサ〕
再びタンジェントが話し始める。
「拉致だが、西園寺3兄妹を拉致したのはテロリストとその手下…SNSなどで集められた若者だ。公安も関与し、わざとスマートフォンから西園寺3兄妹を離れさせていた。犯行には
「西園寺3兄妹だが、とある秘匿班が救出した。拉致したテロリストが車を乗り換えるタイミングで、西園寺3兄妹の奪還に成功している。時間で言うと、拉致からおおよそ15~30分以内だ。その後、秘匿班の分室にて匿っていると情報を得た。」
タンジェントは関係ない部分は伏せつつ、必要な部分だけ開示していく。
サインとコサインがリーダーをしていないのは、今回の件に深く関わっているからだった。
いつもなら関係がある案件を担当するのだが、かなり裏がある案件の為、そこまで深く関わっていないタンジェントが進行役になった。
「ただ、拉致自体は有ったことにしておかねば、今後の別件に関わってしまう為、各方面に工作した結果【西園寺3兄妹は泣きながら身代金を待ってる】という情報になった。ちなみに今晩までには西園寺家に帰宅する予定だ。……このことを知っているのは、ごく一部の関係者のみ。絶対に漏らすな。」
〔無事でよかったー!!〕
〔りょ〕
〔マジか。安心した。〕
〔公安ヤバすぎ。てか、また何か裏で動いてんすか?〕
「…悪いが、この後の件については答えられない。だが、繋がっているからこそ漏らさないでほしい。最後に勝つのは我々だ。いいな。」
〔はーい〕
〔おkです〕
〔了解。〕
〔りょ〕
〔らじゃー〕
〔〇〕
〔了解です〕
〔おけまる〕
〔イエッサ〕
「次に、2つめの1課2係7班の侵入の件についてだが、
〔え〕
〔は!?〕
〔ファッ!?〕
〔コレ一番だめなやつじゃね!?〕
〔逆に何で入ってこれてんだよwwwwwおかしいだろwwww〕
一気にチャット欄がざわつく。
「静粛に。…ちなみに、出勤が無かった、または早上がりしていて誰も居なかった2つの班も被害に遭っていた。こちらに関してはパソコンの情報を抜き取られたのみだったが。……本命は1課2係7班だったのだろう。」
サインが補足をした。
焔によると、そのうちの1つの班はザックの班らしい。
もう1つは2課1係だったらしく、のちの公安内部の混乱に繋がったようだった。
タンジェントが話しを再開する。
「侵入した残りの2名は公務員……というか、警察官だった。直属の上司は
タンジェントの話をサインが引き継ぐ。
「
〔
〔うちもトラップもうちょい仕掛けてみるかぁー。〕
〔もういっそのこと1課1係を特捜内で警羅巡回させてたほうが良くねー?〕
〔確かに。警備員欲しいわ。〕
タンジェントが話しを再開する。
「最後…3つめがハッキングの依頼だ。R国スパイ再入国と拉致、特捜への侵入は全て繋がっている。そのためPNG発行後に、我々からR国スパイに素敵な
話しを一旦区切り、とても素敵な笑みを浮かべ、タンジェントは再度話し出す。
「実は【ナンバー5】と【ナンバー6】に対して先日
〔はい。〕
〔おkwwwwww〕
〔了解。祭りだなww〕
〔りょwww〕
〔らじゃー!!やってやろうじゃんw〕
〔ヒャッハーwwwww〕
〔了解です。楽しみましょうw〕
〔おけまるー!!楽しみww〕
〔イエッサ!フルボッコにしてしんぜようww〕
「これは
〔乙っしたー!!ノシ〕
〔乙!緊急案件楽しもうなー!ノシ〕
〔乙ノシ〕
〔西園寺3兄妹が助かっているようで安心したわ。乙ノシ〕
〔乙ノシ〕
〔乙ノシ〕
〔乙ノシ〕
〔乙!夜勤明けなので家帰って寝まーすノシ〕
〔乙ノシ〕
晴野は順番を待ち、退室してオフィスへと戻るのだった。