DVDの中身と聞きたいこと (12月9日18:30)

文字数 7,781文字

――20XX年12月9日 18時30分 青少年特殊捜査本部 1課2係7班オフィス

渦雷(からい)は黒沢さんと話し込んでいたため、東雲(しののめ)より戻るのが遅くなっていた。
渦雷(からい)は不安を抱えつつ、オフィスへ戻る。

第二ロックドアを開け、渦雷(からい)は自班オフィスに入室した。
キッチンから何かを炒めている匂いがする。
色々ありすぎて忘れていたが、もう夕飯前だった。

「ただいま。」
「お、おかえりー。居残り組(こっち)は進展なしだ。」
「おかえりなさい。」

デスクから霧島(きりしま)が、キッチンからは嵐山(あらしやま)が声をかけてきた。

「そうか。全員揃っているか?」
「おかえりぃ。――何かあったんか?」
渦雷(からい)リーダー、おかえり。嵐姐(あらしねえ)さんと天道(てんどう)はキッチンで晩御飯作ってるよ。雪平(ゆきひらは僕と一緒に資料室に居るよ。……そっち行こうか?)

天道と東雲(しののめ)が答えた。全員いるようだ。
渦雷(からい)は班員に招集をかける。

秘匿班(スカウト)にてDVDをいただいた。……とある人にみんなで見たほうが良いと言われた。中身はわからないが、この電子モニターで上映したい。東雲(しののめ)、一応ウイルススキャンを頼めるか?」
《了解。そっち行く――あ、僕がいきますね!…ありがと。》

東雲(しののめ)の会話に、雪平の声が混じってスピーカーから流れた。
資料室の扉があき、雪平が出てきた。

渦雷(からい)リーダー、おかえりなさい。……これですね。持って行きますね。――あ。入ります。」

雪平は渦雷(からい)からDVDを受け取ると、東雲(しののめ)に渡しに行った。

《……動画のようだね。ウイルスは――うん、大丈夫そう。雪平と一緒に、そっち行くね。》
「ありがとう。よろしく頼む。」

渦雷(からい)リーダー、水を入れて煮込みはじめるまで待ってもらっていいかしら。今水を入れるところなのよ。ほら、天道。水入れて。もう一つの鍋にも。」
「はいはい計量しましたよっと。」
「夕飯を作ってくれてありがとうございます。いいタイミングで来てください。」
「了解。」

資料室のスライドドアが開き、雪平と東雲(しののめ)が出てくる。
霧島も同じようなタイミングで、ミーティングルームにやってきた。
東雲(しののめ)が電子モニターのDVDデッキを操作し、ディスクを入れる。

映像の読み込みが始まり、再生が開始されたため一時停止にしておく。
どうやらどこかの駐車場の映像のようだ。何の映像だろうか。

天道と嵐山は一区切りついたのだろう。
少ししてからミーティングルームにやってきた。

全員が席に着いたので、再生ボタンを押し、上映を始めた。

「これ、監視カメラの映像?えーと、本日の12時25分の映像だね。」
「駐車場だな。どこだろう――地下か?」
「今のところ、ただの駐車場の映像だけど……何に関係があるのかしら……?」
「……何の変哲もない、駐車場の映像ですね……特に怪しい動きをしている人物は映ってませんね。ナンバープレートが関係しているのでしょうか……?」
「……これ、30秒とかスキップしたほうが良いんちゃう……?1分経ったけど、画面、何も変わらへんで……。」

確かに、画面に映っているのは駐車場の車だけだ。
だが、渡されたからには何か意味があるはず。

「――いや、このまま様子を見よう。きっと、何か動きがあるだろうから……。」

車が使われているなら、雨宮拉致に関する情報かもしれない。
秘匿班(スカウト)に赴くまで雨宮は晴野が助けていると思っていたが、あの黒沢さんが情報を拾えていなかったのだ。
霧島が想定したような最悪のケースも考えられる。

だとすれば、1つも見落としたくはなかった。
渦雷(からい)はスキップするのを止めておいた。

12時27分に一人の男が車から降り、自車のそばで待機しているようだ。

12時28分ごろ、1台の車が、先ほどの男のいる車の近くに停車した。
縦の通路を挟んで横の位置だ。
バックで駐車し、ライトを消す。
両方の車が通路側が頭になるように停められていた。

運転席から1人の男が降りてきた。
特に問題はなさそうだ――と思った次の瞬間。

後部座席から降りてきたのは3名の男女と――

雨宮(あまみや)!?」

目隠しと、腕を後ろ手に縛られた雨宮が映っていた。


運転手の2名の男と、腕を掴んでいた男は比較的普通の恰好だが、少し離れている男女は非行に走っていそうな見た目だった。
単なる不良というより、半グレだろうか。
運転手の男から金銭が入っているであろう封筒を受け取り、中身を確認していた。
彼らはここでお役御免になるらしい。


雨宮は男に片腕を掴まれ、歩かされている。
平衡感覚が取れないのか、前が見えないからかはわからないが、雨宮はおぼつかない後取でゆっくり歩いていた。


――まさか、拉致犯が車を乗り換える時の映像だったとは。


渦雷(からい)は両こぶしを強く握った。
班員たちも不安そうな雰囲気が漂っている。
なぜなら、迎えに行ったはずの晴野が、まだ画面に現れていないからだ。


この映像には音声が無いため、何を話しているのかはわからない。
だが、恐らく男は「おい、さっさと歩け。」のように急かしているのだろう。
雨宮はゆっくり歩きながら、後ろ手に縛られている手を動かしている。

数秒後、縄抜けに成功した。
雨宮は目隠しを取り、腕を掴んでいた男を蹴りつけて距離を取った。
即座にしゃがみ込み、右足に履いているベルト付きの革靴の靴底部分をスライドさせ、小さなナイフを取り出し、構えた。


――靴底にナイフをしまっていたのか!!?

武器があってよかったと思った半面、ある種の衝撃のシーンだった。
いったいどこに武器を隠しているんだ。
銃刀法違反に引っかかるぞ……。


半グレの男女は雨宮を見て笑っている様子だ。
弱い人間(えもの)のする、必死の抵抗と思っているのだろう。
運転手が半グレに車の鍵を投げ渡す。
半グレの男は受け取りポケットにしまい、ニヤつきながら雨宮に近付く。

雨宮は近付いてきた半グレの男を倒す――が。
駐車場で待機していた運転手の男が、雨宮に銃を突き付けていた。


観念したのだろう。
雨宮はナイフを地面に捨てる。

「――晴野(はれの)はまだか……?来るよな??」
「天道が邪魔したから、遅くなってるんだよ……でも、突っ込んでくるなら今でしょ……!!!?」

銃を持った男と拉致車の運転手が雨宮に近づこうとしたとき、ハイビームを付けた車がものすごいスピードで駐車場に突っ込んできた。

「あらぁ、暴走車両やん――って、

!!!おぇ、晴野!!?俺の車や丁寧に扱え!!?高かったんやぞ!!!!」
「晴野!!?――良かった。間に合ったのね!!!」
「神展開キターーー!!」

晴野の登場に班員は喜んだ。


急ブレーキをかけ、通路の真ん中あたり(拉致犯の両方の車の間らへん)に停車し、窓から拉致犯に向かって何かを投げた。
雨宮は体勢を崩したのか、地面に倒れ込む。

次の瞬間。拉致犯の周辺で光が炸裂した。


――閃光発音筒(スタングレネード)!?


雨宮は急いで【晴野が運転する天道の車】の助手席に回り、乗り込む。
晴野は拉致犯の銃を撃って強制的に武装解除させ、ついでに利き腕と片足を撃ちぬいた。
他の犯人の足も同様に撃ちぬいていく。


「――すごい。やり口がプロだ。」

渦雷(からい)は驚いていた。
晴野はとてもスムーズに、犯人を殺さないよう撃ちぬいている。
霧島と嵐山の考察は、あながち間違ってはいないだろう。
もしかしたら、霧島と似たような育てられ方なのかもしれない。

他の班員も晴野の登場と、その手腕に盛り上がった。

「拉致時に閃光発音筒(スタングレネード)が使われていたわよね?……晴野なりの意趣返しかしら。素敵よ。」
拉致時(自分たちと)とおんなじ手でやられるとかwwざまぁwwww行け―!!アストライアー頑張れー!!」
「晴野さん!頑張れー!!もっと撃ってー!!」
「あー、やっぱ何発か外してんなぁ。銃はあまり得意じゃないのは

な。というか――なぁ……晴野、何で銃を持っているんだ……?特捜からは持ち出せていないはず――あ。」
「――へ!?銃の出所に心当たり、あるん??」

霧島は気付いたようだ。
対して、天道は気付いていない。
渦雷が会話を引き継いだ。

「……天道さん、まさか……いつも通り、助手席のダッシュボードに銃、しまいました?」

「――……あ!!!!!?」

使われたのは天道の愛銃だった。

映像では、晴野が拉致犯の車のエンジン部分を撃ちぬく。
2台とも綺麗に撃ちぬけたようで、ガソリンに引火し、爆発炎上した。


「銃を持っていたのは、そういうことでしたか。――わぁ。拉致犯の車が2台とも爆発しました!!たーまやー!!」
「なるほどなー。晴野ナイス機転!!……ってか、何となく嵐山の予測が当たってそうだな。……上が日本ならいいけど……。どっかの国のスパイが特捜に入ってきてるとかはやめてくれよ……?」
「晴野の実力が、想像以上に高い……。俺も頑張らないと……。天道さんの車が、AT限定でも運転できるタイプのセミオートマだったのも良かったな。」
「あらぁ。やるじゃない!意趣返しに、奪還に、足止めまで……最高よ!!雨宮と帰ってきたら、思いっきり褒めてあげなくちゃ!!茶菓子はケーキがいいかしらね?それとも、和菓子のほうが良いかしら。」
「ふふ。さすがだね。――何かすっきりした!!ここ最近で一番楽しかったかも!!わぁ、ネフィリムに動画送りたいー!!秘密なんだろうけど……!!!でも、この感動と楽しみをすぐにでも共有したい!!!」
「……気持ちはわかるが、ネフィリムへの共有は情報を持ってオフィスに訪ねてきた時か、事件が片付いた後にしてくれ。」
「はーい。わかったよ。――あー楽しかった。……ふふ。」

班員は雨宮の無事に喜び一色だ。
だが、天道は素直に喜ぶことができなかった。

「……雨宮を無事奪還できてて良かったけど…最悪な事態にはなっとらんくて、安心した…けんど…嘘やろ……!?確実に始末書やん……。いったい、晴野、何発撃っとんねん…!?…どないしよ……。てか、俺の車、結局どこ行ったんや――!?」


天道の叫びがむなしく室内に響いた。

本当に、どこにあるんだろうな。天道の車。
……案外近くに乗り捨てられてたりして。……まさかな?



「さて、DVDも見終えて、雨宮と晴野の無事がわかったからこそ、みんなに聞きたいことがある。」

「何やー。なにかあったんー……?」

渦雷(からい)の発言に、机に突っ伏し、落ち込んだ様子の天道が返答した。
やめろ……30代後半の男性が拗ねても可愛くないぞ……。
渦雷(からい)は言いたいことを飲み込み、天道にこたえる。

「実は、先ほど行ってた秘匿班(スカウト)のメンバーに、奇妙な助言をもらったんだ。」
「助言ー?……誰にぃー?」
「…(さくら)、という女子なんだが……。」
「え、誰?あんさんら知っとる??」

天道は彼女を知らないようだ。
他の班員に話題を振った。

「いや……知らない。」

霧島の答えに、渦雷(からい)は驚いた。
霧島は特捜に就職(正規雇用/フルタイム)しているため、どこかで見かけていてもおかしくはないはず。

「あれ?有名じゃないのか?……その、独特だし…白髪赤目だからかなり目立つと思うんだが……。」
「聞いたこと無いわね。」

同じく特捜に就職(正規雇用/フルタイム)している嵐山が否定した。
……桜はステルス機能でも持っているのだろうか??

「うーん……?…あ!いわゆる【白蛇ちゃん】――あの、【光輝く純白】の子ですね!!ちょっと変わってるっていう噂を耳にしたこともあります。渦雷(からい)リーダー、同じ秘匿班(スカウト)なんですか!!羨ましい!!!!」
「【光輝く純白】……雪平にはそう見えているのか。」
「はい!とても綺麗なんですよ!!上司陣のあの汚い【色】を見た後に彼女に出会えたら、心が浄化されます。……まぁ、滅多に会えませんが。」

雪平は知っているようだった。見かけたこともあるらしい。
どうやら、特捜内ではちょっとしたレアキャラになっているようだった。
見えた【色】がきっかけでファンになったのだろうか。雪平は桜に対して心酔している様子だ。


「雪平がそう言うなら、悪い子ではなさそうだね。ちょっと会ってみたいかも。」
「白蛇……?そう呼ばれているのか?…凄いあだ名だな……。というか、シロウサギとかじゃないのか。一般的にはそっちが出てきそうだが……。」
「白兎っつったらダークなお薬(アドレナクロム)のことになるから避けとんちゃうん?知らんけど。」
「あら。なんか、神社に居そうなあだ名ね。ご神木の上、祠の陰から見守ってくれそうね。見た目も神秘的だし。」
「彼女の所属は不明ですが、特捜の制服とネクタイピンを持っているので、身内ですよ。本当、綺麗ですよねー!」
「雪平、私たちは【色】が見えないのよ……。ごめんなさいね。でも、確かに神秘的で綺麗だと思うわ。」
「そうだな――って、はぁ!?所属不明!!?……なんだそりゃ。」
「ええ……。普通、所属、言うくない??……変わってるって、そういうことなの??」

「――まさか……【触れず(ノーインフォ)の5課】か!?」

「え、何それ。ネーミングだっさ。」

あまりの中二病漂うネーミングに東雲(しののめ)が突っ込んだ。

ノーインフォとは、ノーインフォメーション(No Information)の略だろう。
ホテル業界などで、外部からの問い合わせに答えないことを指す言葉だ。
つまり、5課は5課で独立しており、関係者以外立ち入り禁止になっているのだろう。

「俺が言い始めたんやない。……いや、だとしたらなぜ秘匿班(スカウト)に参加しているんや……?」

天道は桜の所属している課に心当たりがあるようだ。
東雲(しののめ)は天道に質問する。

「5課って何している所?そういえば、噂や仕事内容、一切聞かないんだけど……?」
「5課の仕事内容は公開されてへん。正直、わからん。そのうえ秘匿班(スカウト)に引き抜くことも、原則ご法度や。許可されるのは、向こうから参加したいと言ってきたときのみ。――なぁ、渦雷(からい)……あんさんの秘匿班(スカウト)の上司、何者(なにもん)や?」

急に渦雷(からい)に話が振られてしまった。
確定したわけではないが、どうやら5課と関わるのは相当大変なことらしい。

「……そう言われましても…普通の公安の人です。」
「――普通、のぉ……?普通なら5課と関わること無いはずなんやけどなぁ……?」

――黒沢さん……あなた、本当に何者なんですか。


渦雷(からい)は情報網がものすごい上司に思いを馳せた。

話が脱線したため、一旦戻すことにする。

「――えーと、話を戻すと……桜から【秘匿班(スカウト)のことを聞け】と言われたんだ。【全部繋がっているから】って……だから、話せる範囲で聞いても良いだろうか。もちろん、大枠で良い。……天道さんもお願いします。」

?……違う案件だとは思うが……。」

不思議そうに霧島が返答してくる。

「一応聞いておきたい。あ、あと桜が1課2係7班(俺ら)の情報漏洩は、片っ端から潰してくれているようだ。今のところ班の情報は漏れていないと言われたから、安心して欲しい。」
「……その情報、信じていいのね?」
「あ、大丈夫です!白蛇ちゃんは嘘は言いませんよ。人を騙すことも出来ないはずです。なにせ【純白】ですから。しかも【光輝いて】いますし!!」

嵐山の確認に、雪平が返答する。
雪平のテンションが高い。
……よくわからないが、これが「推し活」というものなんだろうか。

雪平が再度口を開いた。

「あ、なら僕から言いますね!僕は最近入国してきたテロリストを追いかけたり、情報を調べてまとめています。調査部系ですね。調査対象は……今一番盛んなのはアラブ系、とだけにさせてください。……他は今は動いていません。」

雪平の情報を聞き、東雲が口を開いた。

「……雪平がそんなに信用するなら……。えっと。僕の1つめの秘匿班は、みんなに言った通り、スマートフォンのGPSを利用した雨宮の監視。……こんなことになって、調査解除になってしまったけど……。…今日行ってきたのは、特許技術申請前の大事なデータをハッキングしようとしたバカを追いかけることかな。とあるエネルギー系だよ。……他は今は動いていないから、この2つだね。」

嵐山も口を開いた。

「私は……。そうね、最近は海外出稼ぎについてね。国内外の売春――パパ活のブローカー(仲介者)の男が所属している組織が怪しいから、その調査よ。……他は今は動いていないわね。」

霧島も疑問に思いながら口を開いた。

「僕は…不法入国者への対応や、その調査の一部のお手伝いがメインだな。…別件で日本国内に入ってきた、外交官として入国していないマフィアと繋がっているスパイの捜査もしてはいるが。……他は今は動いていない。」

天道は言わないつもりだったが、今は信用スコアを少しでも稼いでおきたかった。
それに、班員が何ができるかをあらためて知るいい機会でもあった。

天道も口を開き、案件を軽く説明する。

「……俺は国際犯罪の疑いがある案件を抱えとって、明日別の秘匿班にて発表するつもりやった。K国C国関係や。…まぁ、基本は阿久津系の残党狩りと、霧島が()うたスパイの捜査をしとるけど…。」

確かに、聞いてみたがバラバラだ。

渦雷(からい)リーダーは?」
「俺は……少し前に起こった刑事事件の犯人を、裏から追いかけている。犯人は半グレ(犯罪集団)のメンバーなんだが、どうも国内外の犯罪組織と繋がって資金援助を受けているみたいなんだ。現在調査中だ。……他は今は動いていない。」

霧島に聞かれ、渦雷(からい)も明かせる範囲で素直に話した。

「晴野は恐らく雨宮の奪還と、その後の護衛だよなぁ?……あー、あと天道経由の緊急案件(エマージェンシー)で裏切り者の調査か?……他にもあるんだろうけど。」
「雨宮さんの秘匿班については、一切情報がありませんね……。まぁ、普通、秘匿班のことは他人に明かしませんが。」
「だよなぁ。」

霧島と雪平が居ない班員の秘匿班について推測する。

「……んで?これ、本当に繋がっとるん??」
「……これ、実は裏で繋がってるってマジ?バラバラにしか見えないんだけど。」

天道と東雲が死んだ目で聞いてくる。
渦雷(からい)は2人に返答する。

「桜は……渡されたDVDを見て、中身を知らない状態で【大丈夫】って、【ぐっすり寝てる】って言ってたんだよな……。」
「……ええ…。何じゃそりゃ……。」

天道は更に混乱してるようだ。
他の班員も疑問の表情を浮かべている。――雪平以外は。
雪平は桜を疑うことすらせず信じているようだ。

渦雷(からい)自身も軽く混乱していると、言い忘れていたことを思い出した。
2つ新情報があったのだ。

「あ。忘れるところだった。……雨宮と言えば、拉致に関して捜査本部が立っていないらしい。」
「へ!?何で何で!?おかしいやろ!?」
「俺は、晴野の居る秘匿班が、拉致犯もろとも秘密裏に処理した可能性が高いと思っている。また、怪しい動きをしている公安がいるらしいから、十分に気を付けて欲しい。」

渦雷は班員に向けて忠告した。

「裏がエグい、裏がエグい……。」
「関係者しか知らないってことですか……。」
「やっぱり、ダークな感じねぇ……?」
「マジかー……ぐっちゃぐちゃだな……。」
「……何や、この案件……。」

「俺も思うよ……ただ、アレクセイをPNGしたいだけなのにって……。」
禿同(はげどう)!マジでそれ!!!」

渦雷(からい)の呟きに東雲が同意した。

「まぁ、とりあえず……今後関係してそうな情報もらったら、言える範囲で共有するってことで良いか?」
「そうだな……みんなが賛成してくれるなら、それで行こう。」


全員の賛同を得た。
だが、依然として案件の内容の複雑さに混乱している。

とりあえず晩御飯を食べよう――そう思った渦雷(からい)たちだった。




――DVDを渡しに来た晴野兄((ほむら))が、天道の車をガソリンを満タンにした状態で、特捜の駐車場に停めていてくれていたことに気付くのは……もう少し先のことである。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

本編主人公の渦雷(からい)です。

1課2係7班のリーダーです。

皆さまどうぞよろしくお願いいたします。


雪平、すまないがこの書類も頼む。総務から雪平宛だ。

1課2係7班、サブリーダーの霧島(きりしま)です!

よろしくな!


あ、雪平!

僕、1時間後に用事で出るから、総務の書類終わったらついでに持って行ってやるよ!

あ、ども!晴野(はれの)っすー!

1課2係7班でオペレーターやってるよー!

よろよろ!!


って、ちょ……ゆっきー(雪平)!!!?無事かー!!?

皆さま初めまして。

1課2係7班の雪平(ゆきひら)です。

事件が無い時は、事務や情報整理、書類整理をメインにしています。

共感覚を持っていて、僕の場合は【色】が見えます。

どうぞよろしくお願い致します。


さて、この書類を…あっ!

(バッサー。書類を床に雪崩のように落とす。)

――うわあああぁ!すみませんんん!!

皆さまごきげんよう。

1課2係7班、雨宮(あまみや)ですわ。


雪平、こちらに来た書類はまとめましたわよ。

1課2係7班、嵐山(あらしやま)よ。

よろしく。


雪平。こっちが処理済、こっちが未処理のものよ。

量もあるし、天道に返す分は空きデスクに積んでおくわね。

1課2係7班、情報班員の東雲(しののめ)だよ。

基本、引きこもっているけど…よろしく。


あれ。ネフィリムからチャット入ってる…。

…了解。〔また出たヤバ案件ww面白そうだし、緊急案件RTA参加するので詳細キボンヌw〕…っと。

いつもネフィリム達には手伝ってもらってるしね。

――さて、頑張りますか。

あ、どうも。公安部外事課、天道(てんどう)どす。

警視庁に勤務しながら、青少年特殊捜査本部の1課2係7班の上司をさせてもらっとりますぅ。

ホンマは古巣に戻るか、1課1係に行きたいんやけど…まぁ、よろしゅう頼んます。

警視庁の阿久津(あくつ)だ。

天道の上司だ。どうぞよろしく。

警視庁公安部所属の天笠(あまがさ)です。

1話のエピローグから本編に関わらせていただきます。

読者、そして1課2係7班の皆さん、どうぞよろしくお願いします。

うぽつwww

拙者はネフィリム!

3課1係4班のリーダーでござるwww

いやぁ、何卒どうぞどうぞよろしくでござるww

あ。上から緊急案件RTA入ったんで離脱シャース!ノシ

ホント人使い荒いwwブフォww

者ども!!調査(ハッキング)と工作(クラッキング)の時間ですぞ!!各自開始オナシャス!!

警視庁公安部内事課の斎藤だ。

…一応名乗ったが…俺の自己紹介、本当に必要か??

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み