エピローグ (11月16日10:50)

文字数 1,892文字

――20XX年11月16日 10時50分 青少年特殊捜査本部 会議室

渦雷(からい)はもやもやした気持ちを抱えながら、会議室に入った。

東雲(しののめ)晴野(はれの)とネフィリムが所属する、秘匿班(スカウト)ε(イプシロン)班は匿名性を重要視していたが、今回渦雷(からい)が参加する秘匿班(スカウト)は、正体を隠すほどではない。
よって、班の存在は秘匿されてはいるが、メンバーは顔を合わせて普通に活動していた。

部屋に居る同じ秘匿班(スカウト)のメンバーにお疲れ様です、とあいさつを交わしていく。

ちなみに、この秘匿班(スカウト)でも上司の意向により、渦雷(からい)は班のまとめ役(リーダー)をしていた。


渦雷(からい)君、お疲れ様。ちょっといいかい?」

着席しようとしたとき、渦雷(からい)は上司に呼び止められた。
手招きされ、上司について廊下に出る。

黒沢(くろさわ)さん…お疲れ様です。何かありましたか?」


黒沢さんは、今日赴いた秘匿班(スカウト)の上司だ。
さわやかな見た目で、いかにも人付き合いが上手そうな雰囲気のにこやかな男性だ。
ネイビーのスーツに同色同素材のベストを合わせている。
今日のネクタイは赤色だった。
首から社員証よろしく、特捜へ立ち入るためのカードキーを下げている。

渦雷(からい)は見た目の美醜は気にしない…というかあまりよくわかっていないが、黒沢さんは顔立ちが整っており、恐らくかなりのイケメンの部類に入るのだろう。
同じ秘匿班(スカウト)の女子が「かっこいい」とよく話しているのを耳にする。

渦雷(からい)は黒沢さんのことをいつもお洒落な人だと思っていた。

ちなみに、黒沢さんの所属は公安部内事(ないじ)課だ。
表担当ではあるが、以前裏に居たこともあり、そのせいか裏事情に詳しい。
必要あれば少ない情報を辿って【秘匿されているはずの裏】に接触して情報を取ってくるという…何というか、とんでもないハイレベルな方向に色々とアクティブな人だった。

どうなってるんだ、この人の情報網は…。時々恐ろしくなる。
優秀であることは間違いないため、黒澤さんは特捜内に秘匿班(スカウト)を持っていた。


「天道のスマホのハッキングの件、なかなか愉快だったよ!アニメかな?ホント、笑いをこらえるのに必死だったよ。あれ、どこかの秘匿班(スカウト)が天道の疑惑の調査としてやったみたいなんだけど、めっちゃ怒ってたねー。渦雷(からい)君たちは大丈夫だった?とばっちり食らってない?」
「詳細は知らないんですが、なぜかネフィリムと東雲(しののめ)が疑われまして…。その…怒り狂った天道さんをはじめて見ました。……とても怖かったです。」

渦雷(からい)は天道の(突撃)を思い出し、青ざめる。


そう、あの天道を(シメ)た一件は「秘匿班が天道の調査を行った」ということになっていた。

天道は元々阿久津の部下だった為、秘匿班(スカウト)ε(イプシロン)の上司が「裏切者かどうかの調査」という名目にし、ハッキングデータを公安部に提供したのだ。
メールの履歴の復元や通話履歴の復元により、天道自身は無実(シロ)と断定された結果、警察や特捜内での居心地が良くなったようだった。

元々(シメ)る(恥ずかしい目にあわせる兼班内のゴタゴタの憂さ晴らし)目的ではあったが、天笠の監視下にまとめて置いてほしかったし、監視されている制限下での行動も見ておきたかった。
天道自身が疑惑をかけられた状態でずっと判別不可(グレー)と見られていては、1課2係7班としても迷惑だ。

天道がシロと断定されたため、これからは動きやすくなる予定だ。
本当、最高のタイミングで(シメ)れて良かった。
ちなみに、ハッキング時の画面と天道の様子は、本日の業務終了後にこっそり班内で上映予定である。


黒沢さんは青ざめた渦雷(からい)を見て、気の毒に思った。
だが、黒沢さんはこんな世間話がしたかったわけではないらしい。

うわ、大変だったね…と言い、話しを続けた。

「さて、本題に入ろう。この前、安在の件を担当していたの、1課2係7班(きみたち)だよね?」

本当、どうなってるんだ、この人の情報網は…。
表裏あわせて大掛かりに動いたから知っているのか、それとも

のか。
疑問ではあるが、渦雷はそのまま流してみることにした。

「はい。そうです。表裏あわせて動いたはいいものの、安在が包丁でスパイを刺し、アレクセイ(R国スパイ)にPNGを出せなかった件…ですよね?」

黒沢さんは小さく頷いた。
多少詳しく言ってみたが、合っていたらしい。

…本当にこの人の情報網はどうなっているんだ。マジで。
というか、この人に隠し事をできる人は、この世界に存在するのだろうか。

軽く引いていると、黒沢さんが話し出す。

「安在の警備…監視の方が正しいかな?の穴についてだけど、恐らく…絶対に共有されてないよね?」
「――え。犯人わかったんですか!?」

黒沢さんの言葉に渦雷(からい)は驚く。
対して黒沢さんはやっぱりか、といった様子だ。

視線が交錯し、黒沢さんが口を開く。

「それが――どうやら天笠さんが指示を出したらしいんだ。」
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登場人物紹介

本編主人公の渦雷(からい)です。

1課2係7班のリーダーです。

皆さまどうぞよろしくお願いいたします。


雪平、すまないがこの書類も頼む。総務から雪平宛だ。

1課2係7班、サブリーダーの霧島(きりしま)です!

よろしくな!


あ、雪平!

僕、1時間後に用事で出るから、総務の書類終わったらついでに持って行ってやるよ!

あ、ども!晴野(はれの)っすー!

1課2係7班でオペレーターやってるよー!

よろよろ!!


って、ちょ……ゆっきー(雪平)!!!?無事かー!!?

皆さま初めまして。

1課2係7班の雪平(ゆきひら)です。

事件が無い時は、事務や情報整理、書類整理をメインにしています。

共感覚を持っていて、僕の場合は【色】が見えます。

どうぞよろしくお願い致します。


さて、この書類を…あっ!

(バッサー。書類を床に雪崩のように落とす。)

――うわあああぁ!すみませんんん!!

皆さまごきげんよう。

1課2係7班、雨宮(あまみや)ですわ。


雪平、こちらに来た書類はまとめましたわよ。

1課2係7班、嵐山(あらしやま)よ。

よろしく。


雪平。こっちが処理済、こっちが未処理のものよ。

量もあるし、天道に返す分は空きデスクに積んでおくわね。

1課2係7班、情報班員の東雲(しののめ)だよ。

基本、引きこもっているけど…よろしく。


あれ。ネフィリムからチャット入ってる…。

…了解。〔また出たヤバ案件ww面白そうだし、緊急案件RTA参加するので詳細キボンヌw〕…っと。

いつもネフィリム達には手伝ってもらってるしね。

――さて、頑張りますか。

あ、どうも。公安部外事課、天道(てんどう)どす。

警視庁に勤務しながら、青少年特殊捜査本部の1課2係7班の上司をさせてもらっとりますぅ。

ホンマは古巣に戻るか、1課1係に行きたいんやけど…まぁ、よろしゅう頼んます。

警視庁の阿久津(あくつ)だ。

天道の上司だ。どうぞよろしく。

警視庁公安部所属の天笠(あまがさ)です。

1話のエピローグから本編に関わらせていただきます。

読者、そして1課2係7班の皆さん、どうぞよろしくお願いします。

うぽつwww

拙者はネフィリム!

3課1係4班のリーダーでござるwww

いやぁ、何卒どうぞどうぞよろしくでござるww

あ。上から緊急案件RTA入ったんで離脱シャース!ノシ

ホント人使い荒いwwブフォww

者ども!!調査(ハッキング)と工作(クラッキング)の時間ですぞ!!各自開始オナシャス!!

警視庁公安部内事課の斎藤だ。

…一応名乗ったが…俺の自己紹介、本当に必要か??

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