これからどうなる? (12月13日16:20)
文字数 3,578文字
「……私が居ない間に、そんなことになっていましたのね…。」
つい先ほど雨宮が帰還し、
雨宮は驚き、死んだ瞳で呟いた。
ひとまず荷物を仮眠室に置き、特捜の制服に更衣することにした。
全員が集まってからミーティングをしたかったため、戻ったばかりの雨宮には悪いが速攻でミーティングに移らせてもらう。
雨宮が着替えている間、
他の班員も給湯室に向かい、飲み物の準備を始めた。
全員ミーティングルームへと集まる。
気を紛らわすため、各自飲み物を用意した。
全員疲れているのだろう。飲み物に入れる砂糖の量がいつもより多い気がする。というか確実に多い。
この後のミーティングも疲れる話になること間違いなしなので、糖分の過剰摂取は必要だった。
普段は飲み物に砂糖などの甘みを入れない
晴野、
晴野と
スプーンがあるから、混ぜながら、時にはマシュマロをどかしながら飲むのかもしれない。…恐らく追加分であろう、器に積んでいるマシュマロは見なかったことにしよう。
雨宮もココアにしたらしく、晴野が別の器にマシュマロを積んでいた。好きなだけ入れろという事なのだろう。
テーブルの上にはクッキーやビスケット、チョコレート、ナッツなどのお菓子が置かれ、準備万端だった。
雨宮が席につき、全員が揃う。
雨宮も晴野と
雨宮も話の内容を察して、多めに入れたかったのかもしれない。
「では、ミーティングを始める。議題は今後のことについてだ。まず最初に現状の確認をし、その後今後について話し合おうと思う。」
「はい。」
「まず、現状の確認だ。俺らはR国スパイのアレクセイに対してPNGを発行するために、情報を集める仕事をしている。現在もこれは継続中で、作戦を練ってもいる。」
「だが、いかんせん邪魔が多い。前回はPNGに失敗し、今回がリベンジマッチになるはずなんだが、オフィスへの侵入、情報漏洩未遂、雨宮の拉致、裏切り者の拘束となぜかイベントが目白押しだ。しまいには天道さんが出て行った。」
「そして、倉木さんも裏切り者とまとめて拘束されているため、今現在俺らに上司が居ないという不思議な状況になっている。…このことは後で話し合いたい。さて、これらの件に関して補足がある班員は、それぞれが補足して情報共有してくれ。もちろん言える範囲で良い。」
「…はい。僕、未だに桜が言った【繋がっている】がわからない。こっちに正確に伝わっていない、ということは完全に裏の動きってことで
「繋がっている…どういうことですの?」
「え?何それ。
「あ、そっか。雨宮と
桜によると各々が関わっている
「あー…。【繋がっている】に関しては、多分、裏の領域だと思う。…それこそ
裏の動きになるため口には出さないが、みんなにはこれで通じるだろう。
資源の利権に絡む勢力は大きいのだ。使い捨ての末端はたくさん存在しているのだろう。
――それに、兄貴が「もうちょいしたら、また海外いかなきゃ。」みたいなメール送って来てたし、そっちで対応してるんじゃね?
…と、晴野は思っていた。
「あー……。なるほどなぁ。」
霧島は気付いたようだった。現場に踏み込んだだけはある。
「何と言いますか…PNGが遠すぎませんこと?」
「それなー。」
雨宮が
ただPNGしたいだけなのに、何でこんなゴタゴタに巻き込まれているんだ。
というか渦中に引きずり込まれているんだ?
…本当に、いい加減にしてほしい…。
「あ、でももう詰めの段階に入ってるらしいので、そろそろ終わりそうっすー!」
「同じく。
晴野たちが午前中に赴いた
こういう情報は凄く助かる。
「となると、ますます天道さんが怪しくなりますね……。」
「今頃捕まってたりして…。」
「……。」
室内に沈黙が流れた。
…本当に捕らえてそうなんだよな……。
空気を変えなければ。
「そういえば…何で
同年代の芸能人を参考にすれば、より名前の精度が上がると思ったからだ。
天道の年齢(30代後半)で権三郎は、さすがに古く感じる。
晴野は気を紛らわせるために飲んでいたココアをテーブルに置き、
「んー?……あぁ。天道って強いじゃん?フィジカルメンタルクソ
「あ、ああ……。否定できないな。」
「私の中で強いってさ…何か【ゴンザレス】っぽいなって。」
「ご…。」
どこから引っ張ってきたんだ、その【ゴンザレス】。
確かに強そうな印象はあるが……。
「それで、ゴンザレスだったら日本っぽくないから、ノリと勢いで権三郎にしたの。苗字は京都の銘菓、八つ橋からゴンザレスの5を引いて
晴野は楽しそうに満面の笑みで答えた。
「ゴンザレスの5って、何ですのよ……。」
「よくわからんけど何となくわかった。」
「確かに、ゴンザレスは強そうに聞こえる。」
雨宮は更に不思議に思い、
「ゴンザレ…
「もう、これからゴンザレスって呼ぶ??」
「天道ゴンザレスさんですね。」
「いや、さすがにそこは天道権三郎にして欲しいっすww」
霧島、嵐山、雪平が名前について触れ、晴野が最後まとめたようだった。
「てか、だしまきって…。」
霧島が頭を抱えながら軽く項垂れる。
海外育ちだから、日本食にはあまり馴染みがないのだろうか?
「あー……。お出汁が入ったジャパニーズオムレツ。卵焼きの一種だよ。……おいしいよ。」
だが、霧島としては「犬につける名前ではないよな?」ということが言いたかった様子だ。
「あーいや、それは分かるけど。食べたことあるし。…ん?じゃぁ、おせちの中のぐるぐるなのは…??」
「あ、おせちは伊達巻。はんぺん…魚のすり身が入っているから、卵焼きとはちょい違うね。」
「あら?お母様に作っていただかなかったんですの?確か、お母様は日本人でしたわよね?」
晴野の回答に、雨宮が質問を重ねた。
霧島は一瞬言い淀んだ。
「……あまり料理はしない人だったからな。」
霧島は雨宮から視線をそらし、答えた。
…本当は「料理はメイドの仕事」という人だったのだが。
一度何かがきっかけで料理に挑戦した際、食べ物ではなく消し炭(暗黒物質)を作成していたんだよなぁ……。あの日はさすがにMotherから逃げたわ。兄とともにFatherに泣きついた記憶がある。
まぁ、今は言わなくていいだろう。その時になれば
分かる
だろうし。「そうねぇ...ちょうど卵もあるし、今日の晩御飯は和食にする?ネフィリムが持ってきてくれたお魚がそのまま余ってるし、焼き魚とだし巻き卵、味噌汁、白米、和え物、お漬物で良いんじゃないかしら?」
「お!それならお魚解凍してくるっすー!キッチンの上に放置でいい感じになりそう!」
何となく話しの裏側を察した嵐山が助け舟を出し、晴野が乗っかった。
霧島は内心ほっとし、晴野に言葉を返す。
「ありがとう。任せた!」
「うぃす!いてきっす!!」
晴野はキッチンへと向かい、冷凍庫から人数分のお魚を取り出すのだった。