これからどうなる? (12月13日16:20)

文字数 3,578文字

――20XX年12月13日 16時20分 青少年特殊捜査本部 1課2係7班オフィス

「……私が居ない間に、そんなことになっていましたのね…。」

雨宮(あまみや)は死んだ瞳で呟いた。

つい先ほど雨宮が帰還し、渦雷(からい)が天道が出て行ったことを伝えたのだ。
雨宮は驚き、死んだ瞳で呟いた。
ひとまず荷物を仮眠室に置き、特捜の制服に更衣することにした。


全員が集まってからミーティングをしたかったため、戻ったばかりの雨宮には悪いが速攻でミーティングに移らせてもらう。


雨宮が着替えている間、晴野(はれの)は雨宮の飲み物の希望を聞き、お湯を用意し始めた。
他の班員も給湯室に向かい、飲み物の準備を始めた。


全員ミーティングルームへと集まる。

気を紛らわすため、各自飲み物を用意した。
全員疲れているのだろう。飲み物に入れる砂糖の量がいつもより多い気がする。というか確実に多い。
この後のミーティングも疲れる話になること間違いなしなので、糖分の過剰摂取は必要だった。


渦雷(からい)はカフェラテに砂糖をたっぷりと。
霧島(きりしま)は珍しくカプチーノを選択し、黒砂糖の塊をいくつか放り込んでいた。コーヒーメーカーは便利である。

普段は飲み物に砂糖などの甘みを入れない嵐山(あらしやま)も、豆乳で作ったマサラチャイ(スパイスチャイ)に蜂蜜を多めに入れていた。……重症だな。
雪平(ゆきひら)は嵐山のマサラチャイを分けてもらったようで、砂糖を多めに入れていた。

晴野、東雲(しののめ)、雨宮はココアだ。
晴野と東雲(しののめ)はココアにマシュマロを大量に浮かべていた。…マシュマロしか見えないが、液体は飲めるのだろうか。
スプーンがあるから、混ぜながら、時にはマシュマロをどかしながら飲むのかもしれない。…恐らく追加分であろう、器に積んでいるマシュマロは見なかったことにしよう。
雨宮もココアにしたらしく、晴野が別の器にマシュマロを積んでいた。好きなだけ入れろという事なのだろう。


テーブルの上にはクッキーやビスケット、チョコレート、ナッツなどのお菓子が置かれ、準備万端だった。

雨宮が席につき、全員が揃う。
雨宮も晴野と東雲(しののめ)に倣い、器にあったマシュマロをココアに…多めに乗せた。…無理して晴雲コンビに合わせようとしなくていいと思うが…。
雨宮も話の内容を察して、多めに入れたかったのかもしれない。


「では、ミーティングを始める。議題は今後のことについてだ。まず最初に現状の確認をし、その後今後について話し合おうと思う。」
「はい。」

渦雷(からい)の進行に、班員は返事をした。

「まず、現状の確認だ。俺らはR国スパイのアレクセイに対してPNGを発行するために、情報を集める仕事をしている。現在もこれは継続中で、作戦を練ってもいる。」

渦雷(からい)は一呼吸置き、続けて発言する。

「だが、いかんせん邪魔が多い。前回はPNGに失敗し、今回がリベンジマッチになるはずなんだが、オフィスへの侵入、情報漏洩未遂、雨宮の拉致、裏切り者の拘束となぜかイベントが目白押しだ。しまいには天道さんが出て行った。」

渦雷(からい)は再度一呼吸置き、続ける。

「そして、倉木さんも裏切り者とまとめて拘束されているため、今現在俺らに上司が居ないという不思議な状況になっている。…このことは後で話し合いたい。さて、これらの件に関して補足がある班員は、それぞれが補足して情報共有してくれ。もちろん言える範囲で良い。」

渦雷(からい)は話しを区切り、班員を見る。
東雲(しののめ)が手を上げ発言する。

「…はい。僕、未だに桜が言った【繋がっている】がわからない。こっちに正確に伝わっていない、ということは完全に裏の動きってことでおk(オッケー)?」
「繋がっている…どういうことですの?」
「え?何それ。kwsk(詳しく)
「あ、そっか。雨宮と晴野(アストライアー)は居なかったっけ。」

東雲(しののめ)は晴野と雨宮に、経緯を説明した。
桜によると各々が関わっている秘匿班(スカウト)での捜査が、全てこの拉致の一件に繋がっているらしいのだ。

「あー…。【繋がっている】に関しては、多分、裏の領域だと思う。…それこそ公安0課(ゼロ)とか、別班(べっぱん)とかの。階層の浅い裏をやっている私たちから見たら、関係ないって考えたほうが楽かも。」


裏の動きになるため口には出さないが、みんなにはこれで通じるだろう。

秘匿班(スカウト)で突入しに行った先も、資金源になっているうちの1つに関わる場所だった。
資源の利権に絡む勢力は大きいのだ。使い捨ての末端はたくさん存在しているのだろう。


――それに、兄貴が「もうちょいしたら、また海外いかなきゃ。」みたいなメール送って来てたし、そっちで対応してるんじゃね?


…と、晴野は思っていた。


「あー……。なるほどなぁ。」

霧島は気付いたようだった。現場に踏み込んだだけはある。

「何と言いますか…PNGが遠すぎませんこと?」
「それなー。」

雨宮が項垂(うなだ)れ、霧島が同意する。
渦雷(からい)だけでなく他の班員も疲れた表情をしていた。

ただPNGしたいだけなのに、何でこんなゴタゴタに巻き込まれているんだ。
というか渦中に引きずり込まれているんだ?
…本当に、いい加減にしてほしい…。

「あ、でももう詰めの段階に入ってるらしいので、そろそろ終わりそうっすー!」
「同じく。秘匿班(スカウト)での雰囲気的に、多分…1週間以内かそこらで片付きそうだよ。」

晴野たちが午前中に赴いた秘匿班(スカウト)では、PNGに終わりが見えているらしかった。
こういう情報は凄く助かる。

「となると、ますます天道さんが怪しくなりますね……。」
「今頃捕まってたりして…。」

雪平(ゆきひら)の考察に、嵐山が冗談半分に返す。


「……。」

室内に沈黙が流れた。
…本当に捕らえてそうなんだよな……。

空気を変えなければ。


「そういえば…何で権三郎(ごんざぶろう)なんだ?」

渦雷(からい)は気になったことを聞いてみた。
同年代の芸能人を参考にすれば、より名前の精度が上がると思ったからだ。
天道の年齢(30代後半)で権三郎は、さすがに古く感じる。

晴野は気を紛らわせるために飲んでいたココアをテーブルに置き、渦雷(からい)の質問に回答する。

「んー?……あぁ。天道って強いじゃん?フィジカルメンタルクソ(つよ)ゴリラじゃん?」
「あ、ああ……。否定できないな。」
「私の中で強いってさ…何か【ゴンザレス】っぽいなって。」
「ご…。」

どこから引っ張ってきたんだ、その【ゴンザレス】。
確かに強そうな印象はあるが……。

「それで、ゴンザレスだったら日本っぽくないから、ノリと勢いで権三郎にしたの。苗字は京都の銘菓、八つ橋からゴンザレスの5を引いて三橋(みつはし)!!他は超適当!!」

晴野は楽しそうに満面の笑みで答えた。

「ゴンザレスの5って、何ですのよ……。」
「よくわからんけど何となくわかった。」
「確かに、ゴンザレスは強そうに聞こえる。」

雨宮は更に不思議に思い、渦雷(からい)は…晴野らしい名付けだと思った。
東雲(しののめ)は音の響きに納得したようだ。

「ゴンザレ…Gonzales(ゴンザレス)……。スペイン語系の苗字じゃねぇか……。名前ですらない…。」
「もう、これからゴンザレスって呼ぶ??」
「天道ゴンザレスさんですね。」
「いや、さすがにそこは天道権三郎にして欲しいっすww」

霧島、嵐山、雪平が名前について触れ、晴野が最後まとめたようだった。


「てか、だしまきって…。」

霧島が頭を抱えながら軽く項垂れる。
海外育ちだから、日本食にはあまり馴染みがないのだろうか?

「あー……。お出汁が入ったジャパニーズオムレツ。卵焼きの一種だよ。……おいしいよ。」

東雲(しののめ)が補足する。
だが、霧島としては「犬につける名前ではないよな?」ということが言いたかった様子だ。

「あーいや、それは分かるけど。食べたことあるし。…ん?じゃぁ、おせちの中のぐるぐるなのは…??」
「あ、おせちは伊達巻。はんぺん…魚のすり身が入っているから、卵焼きとはちょい違うね。」
「あら?お母様に作っていただかなかったんですの?確か、お母様は日本人でしたわよね?」

晴野の回答に、雨宮が質問を重ねた。
霧島は一瞬言い淀んだ。

「……あまり料理はしない人だったからな。」

霧島は雨宮から視線をそらし、答えた。

…本当は「料理はメイドの仕事」という人だったのだが。
一度何かがきっかけで料理に挑戦した際、食べ物ではなく消し炭(暗黒物質)を作成していたんだよなぁ……。あの日はさすがにMotherから逃げたわ。兄とともにFatherに泣きついた記憶がある。

まぁ、今は言わなくていいだろう。その時になれば

だろうし。


「そうねぇ...ちょうど卵もあるし、今日の晩御飯は和食にする?ネフィリムが持ってきてくれたお魚がそのまま余ってるし、焼き魚とだし巻き卵、味噌汁、白米、和え物、お漬物で良いんじゃないかしら?」
「お!それならお魚解凍してくるっすー!キッチンの上に放置でいい感じになりそう!」

何となく話しの裏側を察した嵐山が助け舟を出し、晴野が乗っかった。
霧島は内心ほっとし、晴野に言葉を返す。

「ありがとう。任せた!」
「うぃす!いてきっす!!」

晴野はキッチンへと向かい、冷凍庫から人数分のお魚を取り出すのだった。
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登場人物紹介

本編主人公の渦雷(からい)です。

1課2係7班のリーダーです。

皆さまどうぞよろしくお願いいたします。


雪平、すまないがこの書類も頼む。総務から雪平宛だ。

1課2係7班、サブリーダーの霧島(きりしま)です!

よろしくな!


あ、雪平!

僕、1時間後に用事で出るから、総務の書類終わったらついでに持って行ってやるよ!

あ、ども!晴野(はれの)っすー!

1課2係7班でオペレーターやってるよー!

よろよろ!!


って、ちょ……ゆっきー(雪平)!!!?無事かー!!?

皆さま初めまして。

1課2係7班の雪平(ゆきひら)です。

事件が無い時は、事務や情報整理、書類整理をメインにしています。

共感覚を持っていて、僕の場合は【色】が見えます。

どうぞよろしくお願い致します。


さて、この書類を…あっ!

(バッサー。書類を床に雪崩のように落とす。)

――うわあああぁ!すみませんんん!!

皆さまごきげんよう。

1課2係7班、雨宮(あまみや)ですわ。


雪平、こちらに来た書類はまとめましたわよ。

1課2係7班、嵐山(あらしやま)よ。

よろしく。


雪平。こっちが処理済、こっちが未処理のものよ。

量もあるし、天道に返す分は空きデスクに積んでおくわね。

1課2係7班、情報班員の東雲(しののめ)だよ。

基本、引きこもっているけど…よろしく。


あれ。ネフィリムからチャット入ってる…。

…了解。〔また出たヤバ案件ww面白そうだし、緊急案件RTA参加するので詳細キボンヌw〕…っと。

いつもネフィリム達には手伝ってもらってるしね。

――さて、頑張りますか。

あ、どうも。公安部外事課、天道(てんどう)どす。

警視庁に勤務しながら、青少年特殊捜査本部の1課2係7班の上司をさせてもらっとりますぅ。

ホンマは古巣に戻るか、1課1係に行きたいんやけど…まぁ、よろしゅう頼んます。

警視庁の阿久津(あくつ)だ。

天道の上司だ。どうぞよろしく。

警視庁公安部所属の天笠(あまがさ)です。

1話のエピローグから本編に関わらせていただきます。

読者、そして1課2係7班の皆さん、どうぞよろしくお願いします。

うぽつwww

拙者はネフィリム!

3課1係4班のリーダーでござるwww

いやぁ、何卒どうぞどうぞよろしくでござるww

あ。上から緊急案件RTA入ったんで離脱シャース!ノシ

ホント人使い荒いwwブフォww

者ども!!調査(ハッキング)と工作(クラッキング)の時間ですぞ!!各自開始オナシャス!!

警視庁公安部内事課の斎藤だ。

…一応名乗ったが…俺の自己紹介、本当に必要か??

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