続々・この差は何だ
文字数 1,660文字
敦盛「源氏の皆さんが遊びに来てくれましたよー」
平家一同「おおー」(拍手)
~数分後~
源氏ブラザーズ、デロンギのエスプレッソマシンで飲み物選びほうだいの歓待を受け、大はしゃぎ。
義経「トモっちは何飲んでるの?」
知盛「うん? レギュラーのブラック」
源氏ブラザーズ「!」
源氏ブラザーズ「(大人だ)……」(赤面)
知盛「え? あ、気にしないで! みんな好きなの飲んで。おれいま糖分ひかえてるだけだから」
源氏ブラザーズ「(大人だ大人)……」(よけい赤面)
~さらに数分後~
平
※平家ファミリー屈指の美青年。清盛の五男、知盛の弟
頼朝「重衡さん」(立ち上がる)
重衡「どうかそのままで! 本当申し訳なかった」(頭を下げる)
頼朝「(あたふた)なんで」
重衡「いやおれの凡ミスで東大寺焼いちゃって。大仏の頭溶けて落ちちゃって(汗)」
頼朝「それはもういいよ」
重衡「言い訳になるけどあれほんと想定外だったんですっ」
頼朝「わかってますって」
重衡「大仏さんのあたま再建してくださってほんとありがとうございました(涙)」
頼朝「(困惑)そんな言われると……辛い……」
重衡「あれでしょ、その勢いでついでに鎌倉にも建ててくださったんですよね? 大仏!」
頼朝「違うよ」
有名な鎌倉の大仏だが、なんといつ誰が建てたかよくわかっていないそうだ。
少なくとも頼朝ではないらしい。
~さらに数分後~
頼朝「(しみじみ)いまだから言うけど」
重衡「何」
頼朝「わたし、あの頃、こっそり後白河院に根回しして、和平工作してたの」
源平一同「うそ?!?!」
頼朝「ほんと。昔みたいに、源平並んでお仕えするのはどうでしょうって」
史実です。例の九条兼実くんの日記『玉葉』に記されているそうです。
平家ファミリー「聞いてないよ……」(騒然)
知盛「院は何て?」
頼朝「すごく喜んで『まかせて』って」
知盛「じゃどうして実現しなかったんだろう、和平」
頼朝「その……」
知盛「何」
頼朝「
※当時の平家の総大将。清盛の三男、知盛の兄
平家ファミリー「宗盛
知盛「……いないか」(一同しかたなく着席)
頼朝「宗盛さんが『徹底抗戦が大殿(清盛)のご遺言なので!』って」
一同「あー……」
頼朝「でもあとで聞いたら、清盛さん『そんなこと言ったかな?』って」
平家ファミリー「ダディ!!!」「グランパ!!!!!」(総立ち)
知盛「……いないか」(一同しかたなく着席)
重衡「でもそのあと朝廷から和平交渉あったときに拒否ったの知盛兄だよ?」
知盛「まあね」
重衡「ひどいよ。おれ人質になってて、おれと三種の神器と交換でどう?っていうのだったのに。おれ見殺し」
知盛「見殺しじゃないよ(にやり)」
重衡「どうして」
知盛「おまえ殺すはずないと思ったもん。『殺しちゃうよ?』って言うから『どうぞどうぞ』って言ったらやっぱり殺さなかった」
重衡・頼朝「そういう読みか!」
知盛「三種の神器が欲しいのは向こうなんだから。こっちは強気で」
頼朝「なるほど」
重衡「でもおれけっきょく斬られた」
知盛「おまえは寺焼いたからお寺さんに処刑されたの。おれたちより長生きしたじゃない。三か月くらいだけど」
重衡「そっか」
頼朝「忘れてたの?」
重衡「忘れてた」
知盛「いろいろあったなー」
頼朝「ほんと。そんないろいろ交渉してたのにね。うちのバカ弟が空気読まないで速攻かけちゃって」
全員、義経を見る。
義経「え? え何、おれ???」
頼朝「もう~わたしの苦労も知らないで! 九郎!」
義経「ぷぷぷ」
頼朝「(気づいて)そこで笑うか~!!(怒)」
一同「まあまあまあまあ」(二人を引き離す)
重衡「もう飲んで! カフェモカでもカフェラテでもどんどん飲んじゃって!」
頼朝「ありがとう(涙)」
重衡「なに敦盛、ピノじゃなくて! ハーゲンダッツ出してきて」
敦盛「はい!」
源氏ブラザーズ「ハーゲンダッツ常備してるの?!」
義平「(小声で)おれブラックサンダーでじゅうぶんなんだけど」
全成「(小声で)あるわけないでしょ、ここに」