ダブルダブル
文字数 369文字
いつもお気楽らりらり百パーセントで行けたらいいのだが、行けない。
ばかなのだと思う。
ビッグな物語が苦手だ。
友のために身を投げ出すのはわかるし、すばらしいと思うのに、
お国のために犠牲、となったとたんに、もう理解できなくなる。
この小説のタイトル《ダブルダブル》には、いろいろな意味がこめてある。
ふっと水面に水の泡が昇ってくるように、または木の葉が水面に落ちてくるように、浮かんできたタイトルなのだけど、
いちばん大きな意味は、たぶん、
私は、《もうひとつの物語》を書きたいのだと思う。
義経が死なないですむ物語。
弁慶も、三郎嗣信も、四郎忠信も死なないですむ物語。
殺されないですむ物語。
千年の白狐夫婦が、生き皮を剥がれないですむ物語。
いまのところ――
書けるあては、ない。