セッション! ラウンド・ミッドナイト
文字数 1,660文字
ハル「あ、始めるんだ」
クロ「何」
ハル「セッション」
※平家ファミリー屈指の美少年で笛の名手。教経の従弟。
アンドリュー「(にこにこ)
ハル「(にこにこ)おれたちもプロじゃないし楽しみでやってるだけだから」
クロ「え」
アンディ「ボーカルでもいいですよ。合わせますから」
クロ「ええ?!」
見ると、ステージの設営が終わったところ。
※平家ファミリー屈指の美青年。清盛の五男、知盛の弟。鼓をよくしたという。字はフィリップ。
クロ「うわ何かっけーっ!!」
クロ「あつもりくんはやっぱり笛?」
アンディ「(手にしたエレクトリックフルートを見せる)
クロ「名前あるんだ」
アンディ「うん(にこにこ)自分で改造した」
クロ「すげー(憧)」
クロ「のりつねくんは楽器何なの?」
ハル「ベース(ギター)」
クロ「渋い!!」
アンディ「(教経に)今日はステージで楽器焼かないでくださいね(笑)」
ハル「今日は焼かない(笑)」
クロ「いつもは焼くの??」
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アンディ「いつもは新中納言の兄さんがキイボードでバックアップしてくれるんだけど、出張中だから今日はなし」
クロ「とももりさんキイボードってはまりすぎ!」
ハル「
クロ「平家の皆さんどんだけ焼くの好きなの??」
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クロ「あそこの隅のほうでサックスみがいてるのは?」
ハル「
クロ「シビれる」
※清盛の弟だが、年が離れていて世代的には知盛たちに近い。平家ファミリー屈指の歌人(ボーカルじゃなくて和歌を詠むほう)。字はウィリアム。
クロ「いまセンターでマイク直してる人は?」
アンディ「
クロ「まぶしっ!」
※敦盛の兄(経正が長兄で敦盛が末弟)。平家ファミリー屈指の琵琶の名手。字はヘンリー。
クロ(みんな楽器できてうらやましい!!)
(ていうか)
クロ(仲よくて……うらやましい……(涙))
ハル「義経くんも何かやってよ。何でもいいから」
クロ「ええっ! おれは」
以前にも書いたことだが。
(巻二第三章の最後「間奏曲または幕間劇その2」)
義経といえば優雅に笛を吹いているイメージ。
あれは、いつ、どっから出てきたんかいという話だ。
読者はなにか楽器を習ったことがおありだろうか。
誰でも最初は下手ですよね。(あたりまえ)
下手な練習を他人に聞かれるの、あれめちゃくちゃはずかしいですよね。いや、それ以前に近所迷惑。
小さいときから他人のもとで育った義経に、笛なんか習えるわけがないと思うのだ。
鞍馬の学寮で夜な夜な吹いたりしていたら、先輩の僧たちに「静かにしろ」とどなられるのが落ちだ。
ということで、義経は――
クロ「ごめん、おれ楽器は何もできなくて――」
そうそう。
クロ「ほんとできなくて――」
って、きみ、いま何出そうとしてる? ポケットから。
クロ「ハーモニカくらいしか」
アンディ「ブルースの?! 凄い!!(賛嘆)」
……
……
聞いてないぞ。
持ち歩いてたんかい、ハーモニカ。じゃまじゃなかったんかい?
あ、ミニチュアのやつね。キイホルダーに付けられるサイズの。
あ。
いま、ピンチアウトしたのね。サイズ大きくした。
便利だな!!
ミッドナイトどころか丑三つ時もとっくに回って、もうほとんど夜明けだ。
なのにパリピたちのハイテンションはいっこうに冷める気配がない。
フィリップ重衡(ドラムス)「行くよ」
ハル「おけ」
フィル「ファイブ、シックス、セブンアンエイト」(ティーン)←シンバル入った
このまま彼らにつきあっていると睡眠不足で死ぬ。
作者は先に上がらせてもらうことにします。