ヒア・カムズ・ザ・サン(アゲイン)(3)
文字数 1,117文字
うわその呼ばれかためっちゃ久しぶり!と驚くクロードだ。
(年下のおれにそんな気をつかってくださって本当申し訳ない。薩摩守どの)
「じつは、大殿が急用で、今朝早く出立して」
「えっ」
「予州どのによろしくと申しておりました」
「そうなんですか」ゆうべのナイスなニット帽が目に浮かぶ。「ご挨拶をしそびれてしまった。申し訳ありません」
「それはいいのです」
ウィリアムが言いよどんでいるのが、ふと気になった。
「どちらへ? もし、うかがってよければ」
「平泉へ」
「平泉」
ぼうぜんとくりかえす。きゅうに心臓が早鐘を打ち出す。
奥州藤原の。
「いや、ご危篤だとか、いますぐということではないですから」
ウィリアムにあわてて打ち消されて、よけい動揺するクロードだ。
(それまじけっこうやばいやつじゃね?)
「ただ、予州どのも一度あちらへお帰りになる、というお気持ちはないのかなと」
「合わせる、顔がなくて」
「そういうことは気になさらないほうがいい」
「予州どのが頼ってこられるのを、秀衡どのも待っておられると思いますよ」
この兄のような人に穏やかに
「急がないとだめでしょうか」
「そんなことはないです。ただ……」
「ただ?」
「『そのうち、いつか』などと思っていると、まにあわない、ということも、あるかもしれないから」
「やっぱやばいやつですよね?! ですよね??」
「いや、あの、落ちついて」
「おれどうしたらいいですか? すぐ行ったほうがいいですか? ああでもおれが行くとめちゃくちゃ迷惑がかかって、あ、いや、いま皆さんにもご迷惑かけていて」
「いやいや、そんな。ほんと落ちついてください」
ウィリアムの笑顔はあくまで優しい。
「本当はずっと祖谷にいてくださっていいんですよ。みんな喜んでいるんです、嘘じゃない。それに」
「それに?」
「もう
「ど、どなたですか」
「ていうかちょっと整理させてください。なんかすごいわかんなくなってきた。
清盛公、秀衡のおやじさんと友だちだったの?
初耳なんですけど」
薩摩守、ふんわりと微笑んでいる。
(なにそのモナリザ的な謎の微笑??)
「そのおれに会いたいっていう人を優先しないとだめですか」
「だめでしょうね」
「なんで?」
「超~ビッグなかたなので」
「えー?」
「清盛公よりビッグなんですか??
誰。
怖すぎるんですけど」
「じらさないで教えてーー!!(泣)」
「はははは」
ウィリアムがじらしているのではない。
作者が眠すぎて、もう続きが書けないだけだ。今夜はここまで。