レッド・レイン (6)
文字数 416文字
死に場所を
ずっと 探して いる ような 気が してた
〈四郎 戻れ 四郎〉
そうか はは
おれの時間はとっくに止まって いたんだ
あの日
〈四郎〉
理解できない許せないこの世界に おれはとっくに 生きることを やめていたんだ
幸せになるとか夢を持つとか
おれには
関係ない と
〈四郎〉
ああ だからおれは惹かれたんだ あの人に 初めて会った日から
いつも笑いながら破滅へ突っ込んでいく あの戦いかた
あの人も
生き急ぐしか 能のない人で
勝っても勝ってもどんなに勝ちを重ねても どんなに勝利の白旗で陸を海を埋めつくしても その先には
明るく開けた虚空以外 何もなく
おれの
死に場所にも ちょうど良く
〈四郎!〉
ドウシテ?
ドウシテ?
オレガ死ネバヨカッタノニ 母サン
父サン
〈戻れ――〉
衝撃波。
無音の。
悲鳴とも咆哮ともつかぬ、けだものの。
時空を裂く――
刹那、
大地を揺るがす轟音がそれにとってかわった。