第42話
文字数 1,266文字
「確かに柊子は、みんなと仲がいいわよね。年上の男性に可愛がられるタイプなのかな。ちょっと羨ましいかも」
「いやいや、そんな風に言わないで。凄く語弊がある言葉だと思うよ」
職場の殆どが年上男性だ。だが、可愛がられているというのとは、少し違うと思う。
「あら、おばさんも、柊子ちゃん、いいと思うわよ?だから、ステキな旦那様を射止めたんじゃないのかしらぁ?」
柊子は思わず首を振る。
確かに見た目はステキな夫だとは思うが、人間は中身が大切だ。
「中村さん、それを言ったら元も子もない気がしますよ?」
秋穂が突っ込んだ。
「まぁ、その行動には理解しがたい面が多いけれど、悪い人ではないでしょうに」
「そういうのは、ダメですよ。他にも女がいる男を、悪い人ではないって理由でステキなダンナなんて認定、できませんよ。ねぇ?柊子」
柊子は苦笑する。
ここもちょっと語弊があるように感じた。
『他にも女がいる男』って個所だ。
貴景の中での真木野の存在は謎だが、世間一般的な関係とは違うようだと、最近は認識し始めている。
「それにしても、清原君には驚いたけど、大蔵さんもちょっと意味深って、おばさんは感じたわ」
「あ、それは同感です」
秋穂は頷いた。
「それって、どういう意味ですか?」
『意味深』とは意味深だ。
どこに意味深を感じているのだろう。
中村は少し顔をしかめた。難問と戦っているような顔だ。
「うーん、それを言い現わすのが難しいのよね。秋穂ちゃん、どう思う?あなたも感じているんでしょう?」
中村は秋穂に目配せした。この二人の間で通じているものの正体は何だろう。
「多分、柊子は近すぎて、見えてないのかもしれないけど、要は大蔵さんも狡い人だなぁ、って事かな」
「ずるい…..」
思わず復唱する。
「あぁ~、そうね。確かにそうかも。端的過ぎる気がするけど」
「え?なんですか?もっと分かりやすく言って下さいよ」
端的と言われてもピンとこない。
「だからさ。あの人、柊子に絶対に、好意を持ってると思うんだよね」
「それは…、そうだと思うよ。でなきゃ、ご飯一緒にしたり、お出かけしたりしないよ」
「えっ?なに?お出かけって?あんた達、ご飯以外にどこかへ行ってるの?」
秋穂が仰天したように目を見開いている。
「あー、話して無かったっけ…。そんなに頻繁じゃないけど、たまーによ、たまーに。二人で美術館とかに絵を観に行ったりとか。この間も浮世絵を一緒に観に行ったし」
「ええー?何それー?」
秋穂だけでなく、中村まで目を剥いている。しかもその顔に、何とも複雑な色を浮かべていた。
「何それ、と言われても…。特に深い意味は無いし…」
二人の醸し出す雰囲気に、しどろもどろになって来る。
「それ、さぁ。やばくない?」
「え?やばいって?全然、やばくないよ。ただ一緒に観に行くだけだし」
「いやいや、相手は既婚者じゃん」
「それを言ったら私だって。なのに、清原くんとどうのこうのとか、そっちの方がやばいでしょう。大蔵さんとは、本当にただの友人で、それ以上なんて無いし」
柊子の言葉に、二人は呆れ顔になった。
「いやいや、そんな風に言わないで。凄く語弊がある言葉だと思うよ」
職場の殆どが年上男性だ。だが、可愛がられているというのとは、少し違うと思う。
「あら、おばさんも、柊子ちゃん、いいと思うわよ?だから、ステキな旦那様を射止めたんじゃないのかしらぁ?」
柊子は思わず首を振る。
確かに見た目はステキな夫だとは思うが、人間は中身が大切だ。
「中村さん、それを言ったら元も子もない気がしますよ?」
秋穂が突っ込んだ。
「まぁ、その行動には理解しがたい面が多いけれど、悪い人ではないでしょうに」
「そういうのは、ダメですよ。他にも女がいる男を、悪い人ではないって理由でステキなダンナなんて認定、できませんよ。ねぇ?柊子」
柊子は苦笑する。
ここもちょっと語弊があるように感じた。
『他にも女がいる男』って個所だ。
貴景の中での真木野の存在は謎だが、世間一般的な関係とは違うようだと、最近は認識し始めている。
「それにしても、清原君には驚いたけど、大蔵さんもちょっと意味深って、おばさんは感じたわ」
「あ、それは同感です」
秋穂は頷いた。
「それって、どういう意味ですか?」
『意味深』とは意味深だ。
どこに意味深を感じているのだろう。
中村は少し顔をしかめた。難問と戦っているような顔だ。
「うーん、それを言い現わすのが難しいのよね。秋穂ちゃん、どう思う?あなたも感じているんでしょう?」
中村は秋穂に目配せした。この二人の間で通じているものの正体は何だろう。
「多分、柊子は近すぎて、見えてないのかもしれないけど、要は大蔵さんも狡い人だなぁ、って事かな」
「ずるい…..」
思わず復唱する。
「あぁ~、そうね。確かにそうかも。端的過ぎる気がするけど」
「え?なんですか?もっと分かりやすく言って下さいよ」
端的と言われてもピンとこない。
「だからさ。あの人、柊子に絶対に、好意を持ってると思うんだよね」
「それは…、そうだと思うよ。でなきゃ、ご飯一緒にしたり、お出かけしたりしないよ」
「えっ?なに?お出かけって?あんた達、ご飯以外にどこかへ行ってるの?」
秋穂が仰天したように目を見開いている。
「あー、話して無かったっけ…。そんなに頻繁じゃないけど、たまーによ、たまーに。二人で美術館とかに絵を観に行ったりとか。この間も浮世絵を一緒に観に行ったし」
「ええー?何それー?」
秋穂だけでなく、中村まで目を剥いている。しかもその顔に、何とも複雑な色を浮かべていた。
「何それ、と言われても…。特に深い意味は無いし…」
二人の醸し出す雰囲気に、しどろもどろになって来る。
「それ、さぁ。やばくない?」
「え?やばいって?全然、やばくないよ。ただ一緒に観に行くだけだし」
「いやいや、相手は既婚者じゃん」
「それを言ったら私だって。なのに、清原くんとどうのこうのとか、そっちの方がやばいでしょう。大蔵さんとは、本当にただの友人で、それ以上なんて無いし」
柊子の言葉に、二人は呆れ顔になった。