第41話
文字数 1,234文字
「それなら、清原の申し出、OKしちゃえばいいじゃん。いい機会じゃない」
「えー?やだよ」
即座に却下する。
「なんでよ」
「なんで、って。そんなの当然じゃない。結婚してるんだよ?カレカノの状態ならまだしも…。それに、そうじゃなくたって相手が清原くんってのも、ちょっとね」
「まぁ確かに清原じゃあ、役不足かとは思うけど。でも、ダンナには少しお灸が必要じゃない?いくらアシとは言えさ、妻を放ってアシを助けに行くなんて、夫としてどうなのよ。同じ目に遭わせてやればいいんだよ。そしたら少しは、こっちの気持ちも分かるんじゃない?」
「まぁ確かに、秋穂ちゃんの言う事にも一理あるとは思うわね」
黙って聞いていた中村が思案気に言った。
「ダンナさんは、アシを助けに行く事で柊子ちゃんが嫌な気持ちになるって事が、分かっていないんだろうし、もしかしたら理解できないのかもしれないわね。それなら同じ立場になるしかないのかも。…ただ、同じ立場になっても平気って事も、あり得そうな気がしなくもないわ。柊子ちゃんのダンナさん…」
中村の指摘に、秋穂と柊子は顔を見合わせる。
確かに、そこだ。何も感じない人の可能性は大きい気がした。
そういう所が、鈍いと言うか能天気と言うか。
「それにしても、清原君にはビックリね。愉快な男の子よね。ちょっと変わっていると言うか。恋愛対象にはなりにくい相手だと思うから、柊子ちゃんの気持ちは分かるわ」
「ですよねぇ。面白い子だし、趣味が少しは被っているから、お喋りしている分には楽しいけど、それ以上の気持ちなんて露ほども生じないのに、当て馬って…。呆れて物も言えないですよ、本当に」
「ならさぁ、ならさぁ、大蔵さんはどうよ。柊子、あの人とも仲良しじゃない。しかも、雰囲気、いいじゃない。二人で一緒にいる所を傍から見てると、いい感じだよ。実際、一部で『あの二人、怪しくない?』って言われてるし」
「ええっ?」
秋穂の言葉に動揺する。
「一部で言われてるって、本当?」
何よりそこが一番気になるところだ。噂をされているのを耳に挟んだことが無かったから尚更だ。
「え?知らなかったの?」
秋穂の方が驚いたように目を剝いている。
「知らないよー、そんな事」
「ありゃぁ。まさに知らぬは当人ばかりなり、だったんだ」
秋穂の言葉により一層、ショックを受けて、中村の方へ視線を向ける。
中村は首を振った。
「大丈夫よ。『一部』って秋穂ちゃんが言ったでしょう?なんでもそういう事に結びつけたがる人間って、どこにでもいるんだから。殆どの人たちは、ただ仲が良いだけって分かってるから」
中村の言葉に、柊子は少し安堵した。
「柊子ちゃんは、確かに大蔵さんとは仲良しだけど、柿原主任とだって仲がいいし、他の男性社員とだって気兼ねなく話してて、垣根があまりないじゃない。さっぱりしてると言うか、ドライと言うか。だから皆、分かってるわよ」
男の方が圧倒的に多い職場だけに、男性社員との間に垣根を作っていてはやっていけない。
「えー?やだよ」
即座に却下する。
「なんでよ」
「なんで、って。そんなの当然じゃない。結婚してるんだよ?カレカノの状態ならまだしも…。それに、そうじゃなくたって相手が清原くんってのも、ちょっとね」
「まぁ確かに清原じゃあ、役不足かとは思うけど。でも、ダンナには少しお灸が必要じゃない?いくらアシとは言えさ、妻を放ってアシを助けに行くなんて、夫としてどうなのよ。同じ目に遭わせてやればいいんだよ。そしたら少しは、こっちの気持ちも分かるんじゃない?」
「まぁ確かに、秋穂ちゃんの言う事にも一理あるとは思うわね」
黙って聞いていた中村が思案気に言った。
「ダンナさんは、アシを助けに行く事で柊子ちゃんが嫌な気持ちになるって事が、分かっていないんだろうし、もしかしたら理解できないのかもしれないわね。それなら同じ立場になるしかないのかも。…ただ、同じ立場になっても平気って事も、あり得そうな気がしなくもないわ。柊子ちゃんのダンナさん…」
中村の指摘に、秋穂と柊子は顔を見合わせる。
確かに、そこだ。何も感じない人の可能性は大きい気がした。
そういう所が、鈍いと言うか能天気と言うか。
「それにしても、清原君にはビックリね。愉快な男の子よね。ちょっと変わっていると言うか。恋愛対象にはなりにくい相手だと思うから、柊子ちゃんの気持ちは分かるわ」
「ですよねぇ。面白い子だし、趣味が少しは被っているから、お喋りしている分には楽しいけど、それ以上の気持ちなんて露ほども生じないのに、当て馬って…。呆れて物も言えないですよ、本当に」
「ならさぁ、ならさぁ、大蔵さんはどうよ。柊子、あの人とも仲良しじゃない。しかも、雰囲気、いいじゃない。二人で一緒にいる所を傍から見てると、いい感じだよ。実際、一部で『あの二人、怪しくない?』って言われてるし」
「ええっ?」
秋穂の言葉に動揺する。
「一部で言われてるって、本当?」
何よりそこが一番気になるところだ。噂をされているのを耳に挟んだことが無かったから尚更だ。
「え?知らなかったの?」
秋穂の方が驚いたように目を剝いている。
「知らないよー、そんな事」
「ありゃぁ。まさに知らぬは当人ばかりなり、だったんだ」
秋穂の言葉により一層、ショックを受けて、中村の方へ視線を向ける。
中村は首を振った。
「大丈夫よ。『一部』って秋穂ちゃんが言ったでしょう?なんでもそういう事に結びつけたがる人間って、どこにでもいるんだから。殆どの人たちは、ただ仲が良いだけって分かってるから」
中村の言葉に、柊子は少し安堵した。
「柊子ちゃんは、確かに大蔵さんとは仲良しだけど、柿原主任とだって仲がいいし、他の男性社員とだって気兼ねなく話してて、垣根があまりないじゃない。さっぱりしてると言うか、ドライと言うか。だから皆、分かってるわよ」
男の方が圧倒的に多い職場だけに、男性社員との間に垣根を作っていてはやっていけない。