第50話

文字数 7,989文字

 「…彼女は、変わってしまった…」

 諏訪野伸明は、繰り返す。

 「…以前は、天真爛漫で、誰からも、愛されるキャラクターだった…僕自身、歳が違うから、彼女と結婚するのは、躊躇ったが、人間的には、好きだった…ところが…」

 「…」

 「…あの佐藤ナナの存在が、明るみになるにつれ、リンちゃんは、変わってしまった…」

 「…変わった? どうして?…」

 「…あの佐藤ナナさんは、リンちゃんのライバルなんです…」

 「…ライバル?…」

 「…佐藤ナナさんは、ベトナム人とのハーフだから、褐色の肌の持ち主だが、イメージは、菊池リンと、重なる…どちらも、愛くるしくて、誰からも好かれるキャラ…だから、対抗心を燃やしたというか…」

 「…」

 「…彼女を追い落とすとまでは、言わないが、リンちゃんが、彼女の邪魔をしようとしたことは、間違いない…」

 「…邪魔?…」

 「…寿さんに対してもですが…」

 「…私に対して?…」

 「…おそらく、リンちゃんは、寿さんが、最初から、佐藤ナナさんが、五井南家の血筋を引く人間だと知っていると、邪推したのだと思います…」

 「…邪推?…」

 「…そう…邪推です…五井記念病院に入院して、担当した看護師が、五井南家の血筋を引く女性とは、出来過ぎている…だから、最初から、寿さんは、知っていると、思ったのだと思います…」

 「…」

 「…五井の歴史は、抗争の歴史です…」

 突然、伸明が言った…

 「…一族の争いの歴史です…」

 「…」

 「…だから、一族の争いの中で、消えていった家や、新たに他の分家から、枝分かれして、正式に、五井一族と認められた分家もある…五井一族のメンバーは、その都度、変わる…でも、五井本家と、東西南北の分家だけは、変わらない…」

 「…」

 「…ただ、中身と言うか…本家もそうですが、分家もまた、他の分家の者が、養子に入ったりして、事実上は、血の系統が、変わってくる…だから、今回も、冬馬…菊池冬馬を五井東家から、追い出して、五井東家の当主を、菊池リン…リンちゃんに、継がせて、その夫として、冬馬を、東家に復帰させるなんて、離れ業というか…通常、ありえないというか、考えられないこともできる…」

 「…」

 「…でも、それが、リンちゃんには、気に入らないらしい…」

 「…どうして、気に入らないんですか?…」

 「…やはり、佐藤ナナ…彼女の存在でしょう…」

 「…佐藤さんの?…」

 「…佐藤ナナは、言葉は悪いが、いきなり、出てきた…にもかかわらず、五井本家の養女となることが、決まった…つまり、扱いは、リンちゃんよりも、上になった…」


 「…」

 「…こちらとしては、リンちゃんが、五井東家の当主となることで、バランスをつけたつもりだったが、リンちゃんは、納得しなかった…」

 そう言われれば、わかる気がする…

 いや、

 気がするのではなく、わかる…

 誰でも、いきなり現れた人間が、自分より、上にランク付けされれば、面白いはずがない…

 そういうことだ…

 いくら、バランスをつけたといっても、佐藤ナナの方が上…

 これでは、菊池リンが、面白いはずがない…

 と、同時に、どうして、菊池リンが、五井東家当主になったのか?

 今さらながら、わかった…

 女の、しかも、まだ大学を卒業したばかりの23歳の菊池リンが、なぜ、五井の重要な分家の当主になれたのか?

 わかった…

 すべては、佐藤ナナのため…

 佐藤ナナを、本家の養女として、迎えるためだった…

 「…だから、菊池さんは、変わった…」

 私は、まるで、諏訪野伸明の言葉を奪うように、結論づけた…

 諏訪野伸明は、無言で、頷いた…

 私は、そんな伸明を見ながら、そこまでして、佐藤ナナを五井本家に養女として、迎えること…

 つまりは、五井南家を本家側につかせることが、重要なのか?

 と、思った…

 まったくの門外漢の私には、見当もつかないが、やはり、重要なのだろう…

 今、諏訪野伸明が、言ったように、五井南家を本家側につかせることで、五井本家は、一族内で、イニシアチブを握ることができる…

 つまりは、なにをするにしても、一族で、意見が通りやすいということだ…

 それが、重要なのだろう…

 五井は、十三家…

 仮に、それぞれの分家の代表が、13人集まって、アレコレ、自分の意見ばかり、主張すれば、まとまるものも、まとまらない…

 だから、13人といっても、差をつける…

 本家と、東西南北の分家…

 その他の分家と、だ…

 13人が、平等では、話が決まらないからだ…

 だから、誰もが、本家になりたいし、東西南北の分家になりたいに違いない…

 その本家にしても、30%の力しかない…

 東西南北の分家は、10%ずつ…

 合わせて、70%…

 その%は、五井保存会の株の所有率…

 それで、力関係を決める…

 思えば、絶妙な配分だと思う…

 この配分では、本家といえでも、一家だけでは、主導権を握れず、他の分家と、力を合わせるしかない…

 つまりは、本家の独走を許さず、さりとて、本家は、他の分家に比べ、有利な力を持つ…

 そういうことだ…

 しかしながら、本家だけでは、一族をリードできない…

 他の分家と力を合わせるしかない…

 本家にとって、悩みどころだが、本当は、これが理想なのかもしれない…

 なぜなら、本家が圧倒的な力を持てば、他の分家は、本家の家臣に過ぎなくなってしまうからだ…

 本家が、絶対的な力を持てば、他の分家が、

…それはおかしいから、やめろ!…

と、口を挟むことができなくなる…

 おそらく、五井の先祖は、それを恐れたのだろう…

私は、思った…

しかしながら、そんなご先祖様が、考えた五井の統治システムが、今、諏訪野伸明を苦しめているとは、皮肉に他ならない…

ある意味、本家の独走を許さない、画期的なシステムが、本家の人間を苦しめているとは、まさに、皮肉だ…

と、ここまで、考えて、気付いた…

なぜ、この伸明は、そこまで、本家の力を強化したいのだろう?…

もしかしたら?

もしかしたら?

なにか、一族が、反対するかもしれないことを、やりたいからかもしれない…

私は、考えた…

通常ならば、一族が反対して、できないことを、なにか、やりたいのかもしれない…

そう、気付いた…

そして、もしかして、それは、私との結婚かも?

私、寿綾乃との結婚かも?

そう、思った…

同じ五井一族でもなんでもない、私との結婚が、通常ならば、五井一族が、了承するはずもない…

しかしながら、五井南家が本家側につけば、推しきれると、思ったのかもしれない…

いや、

私との結婚に限らず、何事も、一族で、了承を取ろうとするたびに、いつも、紛糾していては、堪ったものではない…

そういうことだろう…

それを回避するために、佐藤ナナを本家に養女として迎える…

そういうことだろう…

私は、思った…

と、同時に、なぜ、米倉平造に、五井情報を格安で、譲ったのか?

ふと、疑問に思った…

米倉平造は、たしかに、ベトナムで、五井南家の血を引く、佐藤ナナを見つけ、五井本家に差し出すというと、語弊があるが、橋渡しを務めたかもしれない…

が、

たかだか、それだけのことで、どうして、五井家は、米倉平造に五井情報を格安で、譲ったのか?

謎がある…

だから、私は、しばし、迷ったが、伸明に、

「…ひとつ、お聞きしていいですか?…」

と、聞いた…

「…なんですか?…」

「…さきほどの五井情報の件ですが、どうして、五井家は、米倉平造に、格安で、譲ったんですか?…」

「…それは、さっきも言ったように、米倉平造氏が、佐藤ナナさんを、ベトナムで、見つけてくれて…」

「…でも、それにしても、大きな会社を格安で、譲るほどのことですか? 格安というのは、十億、二十億、安いのではないでしょう…五十億、百億、安く譲ったのでしょう…」

私の質問に、目の前の伸明は、言葉を失った…

「…たしかに…寿さんの言うことは、わかる…」

ゆっくりと、言った…

「…寿さんが、不思議に思っても、おかしくはない…」

「…」

「…佐藤ナナ…彼女は、米倉平造氏の養女だったんです…」

「…エッ? …養女?…」

あまりにも、意外な言葉だった…

「…自分の養女にすれば、他家に養女にやるときでも、自分の意見が、重要になる…あらかじめ、それを見越して、米倉平造は、佐藤ナナを、自分の養女にしたんです…」

「…」

「…実に、したたかな男です…すべてを見越して、あらかじめ、できる手は打っておく…米倉は、彼の代で、飛躍的に成長しました…その一端が、垣間見えます…」

「…垣間見える? …どうして?…」

「…佐藤ナナさん…彼女をベトナムで、見つけ出し、日本で生活させる…その面倒を米倉平造は見ました…当然、お金がかかります…そして、佐藤さんの面倒を見ても、佐藤さんが、必ずしも、将来役に立つか、どうかは、わかりません…」

「…」

「…それが、わかっていても、金をかける…生活の面倒を見る…しかも、彼女は、必ず、将来役に立つと信じて、養女にまで、しています…」

「…」

「…なかなか、できることじゃない…奇貨居くべしと言う言葉がありますが、まさに、彼はそれを実践しています…養女にすることで、五井家としても、佐藤ナナのみならず、その養父となった、米倉平造とも、交渉せざるを得なくなった…その交渉の過程で、五井情報の名前が出た…」

「…」

「…いわゆる、交換条件です…佐藤ナナさんを、五井家に養女として、差し出すことを、条件に、五井情報を、米倉に格安で、譲る条件を出されました…言葉は悪いですが、米倉平造が、ただの佐藤ナナさんのスポンサーならば、そこまで、することはないです…ただ、佐藤ナナが、正式に、米倉平造の養女となっていた…これがネックというか…五井家に養女として、迎えるに当たり、義理の父親となっている、米倉平造の意向を無視できなくなった…そういうことです…」

仰天の事実だった…

たしかに、この伸明が言う通り、米倉平造が、ただの佐藤ナナのスポンサーならば、たとえ、彼女を、五井家に養女として、迎えるとしても、米倉平造に発言権はない…

…せいぜい、佐藤ナナの来日時の恩人という程度の立ち位置に過ぎない…

なにより、佐藤ナナが、五井家の養女になろうが、どうしようが、米倉平造には、なんの権限もない…

ところが、彼女を事前に、養女としていたならば、話は変わる…

いわば、娘さんを五井家にもらいたいと、伸明は、米倉平造に頼まなければ、ならなくなる…

養父となる、米倉平造の意向を無視できなくなる…

そういうことだ…

それが、わかっているからこそ、米倉平造は、佐藤ナナを、養女にしたのだろう…

なんと、ずるがしく、したたかな男だろう…

そして、なんと有能な男だろう…

私は、思った…

と、同時に、気付いた…

佐藤ナナが、米倉平造の養女ならば、佐藤ナナの本名は、どうなのだろう?

本当に、佐藤ナナの名前が本名なのだろうか?

それとも、通名…

一般に使われてる名前に過ぎない?…

本名は、別にある?

たとえば、歌手の和田アキ子のように…

和田アキ子は、自ら認めたように、通名…

本名ではない…

かといって、芸名でもない…

通名…

通常、使用している名前だ…

本名は、別にある…

そういうことだ…

だから、今度は、それを聞いた…

「…ということは、佐藤ナナという名前は、通名ですか? …本名は、米倉ナナ?…」

「…おっしゃる通りです…佐藤ナナは、通名…戸籍上は、米倉ナナです…」

伸明が、告げる…

そして、それを知ると、色々見えてくるものがあったというか…

果たして、米倉平造が、五井情報を手に入れたことだけで、満足するか、そんな疑問も、脳裏に、よぎった…

が、

さすがに、それを口にすることは、できない…

そんなことを、思っていると、

「…米倉平造は、したたかな男です…」

と、伸明が、繰り返した…

「…が、同時に、自分を知っている男です…」

「…自分を知っている? …それは、どういう…」

「…自分の限界…自分になにができて、なにができなくて…その限界を知っている…だから、やみくもに、なにかをしかけてくる心配はない…だから、その点では、安心できる…」

「…安心?…」

「…米倉平造も経団連に加入している、一流の経営者です…自分もその自覚があるし、周囲の目もある…だから、どこまで、やっていいか、あるいは、これ以上は、やっては、まずいという線引きが、できる…それを、考えれば、たしかに抜け目のない男だが、極めて、常識人ですから、恐れることはない…」

「…」

「…むしろ、恐れなくちゃならないのは、佐藤ナナ…彼女かもしれない…」

「…どうして、佐藤さんなのですか?…」

「…彼女は、ベトナム生まれ…日本人じゃない…」

「…どういうことですか?…」

「…ルールと言うか…日本人ならば、ここまでは、OKだけど、これ以上は、NGというルールが、口に出さなくても、なんとなくわかる…でも、それが、来日して、数年では、わからない…いい例が、大相撲の横綱の白鵬や朝青龍です…」

「…白鵬や朝青龍?…」

「…土俵の上で、強いから、横綱になれたんですが、やはり、どこまで、やっていいか、わからない部分がある…最初から、日本生まれならば、たとえ、肌の色が、違っていても、言葉にしなくても、ここまでは、やっていいが、これ以上は、ダメということが、基準としてわかる…」

「…」

「…具体的には、ただ強ければいいものじゃないし、たとえ、勝つにしても、ルールには、違反してなくても、変化するとか、正々堂々勝負しないと、ブーイングが起こる…つまりは、どこまで、やっていいのかが、わからない…」

「…」

「…その匙加減というか、バランスが、外国人には、わからない…まあ、これも、ボクや寿さんが、ベトナムに行っても同じで、現地のひとが、目を潜めるようなことをしがちです…」

「…」

「…だから、どうしても、彼女が、心配になる…彼女を養女にしたのは、母の昭子や、妹の和子叔母様にも、了承してもらったんですが、やはり、不安がある…」

「…」

「…それが、杞憂に終われば、いいんでしょうが…」

伸明が、言った…

たしかに、伸明の言うことは、わかる…

要するに、文化が違えば、ルールが違うということだ…

ベトナムでは、OKなことも、日本では、NGということはあるし、その逆もあるだろう…

そして、その違いが、難しい…

だから、やっていいことと、やってはいけないことの区別がつかないから、周囲が混乱する…

白い目で見る…

そういうことだ…

だから、それを考えれば、伸明が、佐藤ナナを恐れる気持ちもわかる…

こちらが、考えること以上のことを、なにか、しでかすかもしれないからだ…

私は、思った…

「…でも、佐藤さんなら、大丈夫じゃ、ないんでしょうか…」

私が、言うと、伸明が、反論した…

「…とんでもない…」

「…とんでもない?…」

「…菊池リン…リンちゃんがよい例です…まさか、佐藤さんに、あんなにも、対抗心を燃やすとは、思わなかった…まさに、ひとは、見かけによらないというか…リンちゃんを、子供の頃から知っているボクの目からしても、ありえない変化というか…」

「…」

「…なまじ、知っているから、余計に、驚きました…」

伸明が、力を込めて、力説する…

たしかに、伸明の言うことは、わかる…

なまじ、子供の頃から、知っているから、菊池リンの変貌が、驚きなのだ…

アイドル並みのルックスに、頼りない物腰というか…

つい、周囲の者が、面倒を見てあげたくなる、愛くるしく、頼りないキャラクター…

それが、誰かに嫉妬をメラメラと見せれば、見ている方が、驚く…

まさか、そんなキャラクターとは、思わなかったからだ…

まさに、これまで、見たことのない一面を見たという気持ちになる…

あるいは、すでに、その面は、菊池リンの、学生時代の友人、知人…

具体的には、中学や、高校、大学時代の友人、知人は、見たことがあったかもしれない…

クラスの人間は、知らずとも、仲がいい、友人たちは、知っていた可能性も高い…

なまじ、生まれが良く、ルックスもいい…

つまり、生まれつき、すべてを持って生まれてきている…

すると、大抵は、傲慢な人間が出来上がる…
ありていに、言えば、美人の女のコに、

「…あのコ、キレイね…」

と、言っても、大抵は、頷かないというか…

心の中では、面白くないと、思っている人間が、多い(笑)…

…自分の方が、もっと美人だとか…

…数年前ならば、私の方が上だったとか…

とにかく、自分と比べられるのが、納得しないというか…

それを見れば、つくづく、人間は、嫉妬の生き物ということが、よくわかる…

そして、それを思えば、以前、会社の人事担当者と話したことを、思い出した…

…採用面接で、なにが、わかるか?…

という話になり、その人事担当者が、

…なにもわからない…

と、返したからだ…

…なにも、わからないって?…

私は、その返答に唖然とした…

すると、その人事担当者は、こう言った…

…履歴書を見て、どこの高校や大学を出たか、見れば、その学校の偏差値を調べれば、その人間の頭がわかる…

…具体的には、偏差値60の高校を出て、偏差値55の大学に入学したとか…

…そういうことは、わかる…

でも、ただ、それだけ…

実際に、その仕事をやってみないことには、その仕事ができるかどうかは、わからない…

そう、言った…

当たり前のことだ…

そして、性格…

見るからに、真面目で、おとなしそうと思って、採用した人間が、平然と、仕事で、手を抜いたり、ウソの報告をしたり、する…

…一方、どう見ても、ヤンキーあがりの不良だが、仕事は真面目で、誠実な仕事をする…

こんな報告が、人事に上がって来る…

だから、見た目では、なにもわからない…

そう、人事担当者は、私に告げた…

それを、今、思い出した…

今さらだが、それを思い出した…

そして、それを思えば、私にしても、同じ…

学生時代の友人、知人と、いっしょに仕事をした覚えはない…

だから、仮に、仲が良かった、友人、知人と、いっしょに、仕事をすれば、今、言った、人事担当者と同じように、意外な一面を見るに違いない…

学生時代には、知らなかった一面が、見れるに違いない…

案外、ずる賢かったとか…

仕事が、遅いとか…

学生時代には、基本的に、学校の成績や、スポーツの成績、人間性しか、見ないし、見れない…

性格が、いいとか、悪いとかを、含めて、だ…

それが、見えなかった部分が、勉強ではなく、仕事をすることで、見えてくるのだろう…

私は、思った…

つまりは、フィールドが違えば、違う景色=人間性が、見えてくるということかもしれない…

私は、考える…

わかりやすい例えで、言うと、野球やサッカーをしても、わからなかったことが、水泳やフェンシングをしたら、見えたというか…

まったく、畑違いの分野だから、見えてきたということが、世の中には、あるからだ…

私が、そんなことを、考えてると、

「…つくづく、ひとは、わからない…」

と、伸明が、嘆いた…

「…だから、余計に不安に思うんです…」

伸明が、続ける…

「…佐藤ナナさん…彼女は、菊池リンに似ている…まさかとは、思うが、菊池リンと、同じように、こっちが、思ってもいない行動に出られでもしたら、困る…」

…なるほど…

…たしかに、そう言えば、わかる…

菊池リンと、佐藤ナナは、肌の色の違いはあれども、そのキャラが似ている…

アイドル並みのルックスを持ち、愛くるしい…

誰からも愛されるキャラ…

だからこそ、伸明が、佐藤ナナを恐れるのは、わかる…

せっかく、五井本家に、養女として迎えて、佐藤ナナが血を引く、五井南家を、味方にして、五井一族の主導権を握った…

それが、フイにされるような、ことをされては、困る…

まさかとは、思うが、佐藤ナナが、なにかを冒しては、困る…

なまじ、佐藤ナナと、菊池リンが、似ているから、心配なのだろう…

伸明の苦悩が、わかった…

               
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