第43話

文字数 7,957文字

 …佐藤ナナか?…

 まさか、彼女が、五井一族とは、思わなかった…

 考えもしなかった…

 それが、現実だった…

 私は、自分の部屋で、ベッドに横になって、考えた…

 藤原ナオキは、ジュン君のいた部屋で、ひとりで、寝ている…

 私は、なかなか寝付けなった…

 当たり前だ…

 諏訪野伸明と、事実上、別れが、決まったことで、精神的ショックが、大きく、ついさっきまで、寝ていたのだ…

 藤原ナオキの作った料理を、二人で、食べて、それから、またベッドに戻った…

 ナオキは、もう、私に話しかけなかった…

 最初は、道化師よろしく、自分が、ピエロになり、私を笑わせて、私を元気づけようとしたが、そんなことは、長くは続かない…

 それが、わかっているから、後は、黙々と、二人で、料理を食べただけだった…

 私は、

 「…ナオキ…ありがとう…」

 と、だけ言って、席をはずした…

 ナオキは黙って、私たち二人が、食べた食器を、洗っていた…

 すでに、熟年夫婦よろしく、私とナオキは、お互いが、なにも言わなくても、なにを、考えているか、わかる…

 もはや、家族に近い…

 いや、

 家族だった…

 私と、ジュン君、ナオキの三人は、間違いなく家族だった…

 だから、私が、諏訪野伸明と結婚するかもしれないことに、ナオキは、口を出さなかった…

 藤原ナオキにとって、私は、姉、あるいは、妹のような存在…

 なぜ、私が、ナオキよりも8歳年下にもかかわらず、姉なのか? というと、力関係というか(笑)…

 事実上、いつも、私が、ナオキをリードしていたからに他ならない…

 だから、年齢は、下で、本当は、妹なんだけれども、実際は、姉の立ち位置…

 いや、

 実際問題、血の繋がった兄妹でも、同じような関係の兄妹は、世間にごまんといるに違いない…

 いわゆる、しっかり者の妹と、頼りない兄というパターン…

 実に、世間にありふれている(笑)…

 兄妹だから、互いの恋愛に干渉しない…

 そんな関係に似ていた…

 すでに、恋人関係から、夫婦関係、そして、今、その関係も終わった…

 卒業したといったところか?

 だから、それぞれの異性関係に鷹揚というか…

 互いが、新しいパートナーを見つけて、幸せになればいい、と、願っている…

 もはや、そんな関係だった…

 そして、藤原ナオキ自身、諏訪野伸明を嫌ってなかった…

 好いていた…

 だから、私と諏訪野伸明との交際に、一切、口を挟まなかった…

 思えば、そんなこともまた、私が、藤原ナオキを信頼する理由かもしれない…

 私は、思った…

 男も女も、生きてゆく上で、出会える人間の数は、限られてくる…

 例えば、生涯に、自分で、見たことのある、人間の数は、限られてくる…

 わかりやすい話、誰もが、一生で、身近に、ルックスのいい男女を見た数は、限られてくる…

 その中で、男女の関係になったりすることは、ほとんど、いないことが、実際のところだろう…

 だから、それがあれば、例えば、交通事故のような…

 例えが、交通事故というのは、適切ではないかもしれないが、それほど、ありえないということだ…

 そして、それが、ありえたときは、神様に感謝する…

 そんな交通事故のような、奇跡が、自分の身に起こったことに、感謝する…

 それで、いいのでは、ないだろうか?

 私は、考える…

 私の人生にとって、藤原ナオキと知り合ったことは、間違いなく、僥倖だった…

 ありえない奇跡だった…

 何億円もの宝くじに当たった奇跡だった…

 だから、これ以上、なにかを望むのは、間違っているのかもしれない…

 それ以上は、贅沢すぎる…

 高望みし過ぎるということだ…

 料理でいえば、すでに、私のお腹は、食べ過ぎて、満腹状態…

 これ以上は、食べれない…

 そんな状態に似ている…

 幸運という料理で、満腹状態…

 だから、これ以上、幸運は、詰め込めない…

 そう考えればいい…

 なにより、これ以上の幸運を掴みたいというのは、欲深…

 身の丈に合っていない…

 そして、これ以上の幸運を望んでも、一体全体、その先になにが、待っているのか? とも、思う…

 自分が、考えてもいない幸運を掴んだ人間で、歴史上の人物でいえば、豊臣秀吉が真っ先に思い浮かぶが、秀吉の晩年は、悲惨だった…

 いや、秀吉自身は、悲惨ではないのかもしれない…

 秀吉自身は、最後まで、天下人だった…

 が、後継者の秀頼は、殺され、豊臣家は、滅亡した…

 それは、秀吉の死後、わずか、17年後のことだ…

 つまりは、17年だけ、悲惨な結果が、先延ばしされたことと同じだ…

 それを、思えば、私もまた同じ…

 まだ、癌は、完治していない…

 全盛期の秀吉と違い、私には、すでに先が見えている…

 死という終着点が見えている…

 それを、思えば、今さら、結婚も妊娠も、ちゃんちゃらおかしいのかもしれない…

 できない夢は見ない…

 できないことは、語らない、が、私の信条だったはずだ…

 その信条は、できもしないことを、真顔でいい、そして、できないことを、恥ともなんとも思っていない人間を、目の当たりにして、生まれた…

 そんな人間には、決して、なりたくない…

 いわば、私の反面教師だった…

 さらにいえば、一歩間違えば、塀の中に落ちるかもしれないという人間も目の当たりにしたこともある(苦笑)…

 そして、そういう人間は、すべからく、すべて、自信家だった…

 空虚な自信に満ちていた(笑)…

 性格も悪く、頭も悪い…

 他人様に比べて、取り立てて、秀でたものは、なにも、持っていない…

 なにも、持ってないにも、かかわらず、自分は優れていると、自負していた(笑)…

 そして、当時は、そこまで、思わなかったが、やはり、なにも、持っていないから、自信家なのだろうと、今は、思う…

 東大を出た人間が、身近にいれば、普通の大学を出た人間は、それが、どれだけ、凄いことだか、わかる…

 だが、偏差値40の工業高校を出たような人間は、わからない…

 そもそも、まともに勉強をしたこともないから、どこまで、成績が、良ければ、東大に入れるのか、わからないからだ…

 見当もつかないからだ…

 だから、その価値がわからない…

 東大を出た人間でも、例えば、絵に描いたような、わかりやすいオタクならば、それを見て、バカにする…

 自分の方が、優れていると、心の底から、思うのだ…

 そして、そんな人間になにを言っても、無駄…

 無駄だ…

 会社にいれば、たとえ、リストラはされずとも、出世など、無縁…

 そのうちに、歳をとれば、オレは、大学を出なかったから、出世できなかったと、周囲に吹聴してまわる…

 本当は、大学を出なかったのではなく、大学に行けなかったのが、正しいのだが、決して、そうは言わない…

 いかに、自分に都合よく、真実を捻じ曲げるか(笑)…

 隣で、聞いていると、思わず、吹き出しかねない…

 そんな人間が、稀にいる…

 それも、また事実だ…

 そんな人間を間近に見て、つくづく自分は、そんな人間には、なりたくないと思った…

 そして、同時に、なにも持たない人間の強さを思った…

 なにも持たないから、ある意味、無敵…

 無双状態だ…

 そして、その先にも、なにもないだろう…

 ある意味、最初から、詰んでいる…
 
 結末が見えている…

 私が、そんな人間を見て、つくづく、感じたのは、人間は、平等ではない…

 いかに差を持って生まれたのか?

 そんな思いだった…

 むろん、偏差値40の工業高校を出た人間は皆、同じだとは、言えない…

 しかし、偏差値の低い人間の方が、やはり、今言ったような、わけのわからないことを、言いだすのは、たしかだった…

 偏差値の高い人間で、そのような発言をする人間の数は、偏差値の低い人間に比べて、はるかに、少ない…

 が、

 少ないだけで、やはり、一定数存在する…

 それは、厳然たる事実だった…

 そして、それは、私も同じだった…

 同じように、わけのわからないことをしていた…

 矢代綾子が、寿綾乃を名乗る…

 自称する…

 そんな、ある意味、犯罪者が、五井家の御曹司と結婚できるはずもない…

 普通に考えれば、誰もが、わかること…

 それでは、今、例に挙げた、人間と、同じだ…

 自分のことだから、わからないのだ…

 自分のことだから、周囲が、自分をどう見ているのか、わからない…

 その典型だった…

 そう考えれば、思わず、冷や汗をかく…

 羞恥心で、いたたたまれなくなる…

 そして、それが、私、寿綾乃の真実なのかもしれなかった…

 そして、そんな人間は、さっさと死ぬべきだとも思った…

 自分自身、生きている価値があるのか、どうか、懐疑的だった…

 疑問だった…

 結局、行きつく先は、自分自身を責めることだった…

 なぜか、そこに行きついた(苦笑)…

 やはり、それは、自分が、諏訪野伸明と結婚できるかもしれないと、考えた、愚かさから、来ていた…

 平凡な寿綾乃=矢代綾子が、大金持ちの御曹司と結婚できるかもしれないと、本気で、考えた、愚かさから、来ていた…

 いかに、身の程知らずか…

 考えれば、考えるほど、自分が、いかに、愚かか、考える…

 悩む…

 所詮は、高卒…

 短大にもいっていない…

 やはり、そんな、自分の学歴のなさから来たとも、思えてくる…

 学歴がないにもかかわらず、私は、幼い頃から、周囲から、しっかり者と、見られていた…

 しっかり者=できるヤツと、周囲から、見られていた…

 だから、実力以上に、周囲から、見られていた…

 そういうことだ…

 そして、それが、私には、プラスだった…

 生きてゆく上で、プラスだった…

 なぜなら、誰もが、私に接した人間は、私を軽く扱わないからだ…

 ルックス=美人に生まれたせいもあるが、おおげさに、言えば、会社で、部長とか、取締役かと、思われたかと思うほど、重々しく扱われる…

 丁重に扱われる…

 そして、それは、能力の有無とか、頭の善し悪しとは、まるで、関係がない(笑)…

 単純に、ひとは、私を、重要人物のように、扱ってくれるということだ(笑)…

 これが、有利だった…

 いかに、東大を出ようと、大金持ちの子息に生まれようと、軽い人間は、軽い…

 そして、それは、頭の良さや、性格の良さとは無縁…

 ただ、軽いのだ…

 それゆえ、周囲から、軽んじられる…

 せっかく、頭が良く生まれたにもかかわらず、周囲は、そうは見ないのだ…

 頭の良い人間は、相手が、頭が良ければ、それを見抜くことができるが、それができる人間は、ごく少数…

 やはり、ひとは、外見で、判断する…

 外見というのは、ルックスは、もちろんのこと、その人間の雰囲気によるところも、大きい…

 いかに、頭が良くても、軽く見られる人間は多い…

 また、わかりやすい話、集団で、リーダーシップを取れれば、その人間は、優れていると、単純に考える…

 頭が良い人間は、普段の言動から、その人間の能力をはかることができるが、そうでない人間は、ひどく単純に、ひとを判断する…

 それは、非常に、わかりやすいことで、すべてを判断する…

 例えば、英語を話したり、中国語を話したりすると、凄いと、判断する…

 そして、その先が、なにもない…

 普通の人間ならば、どこの高校を出ているか、とか、どこの大学を出ているか、など、聞いて、偏差値を調べて、その能力を判断するが、びっくりするほど、それがない…

 要するに、なにが、できるか、できないか、だけで、見る…

 それだけで、判断する…

 単純に、十人のメンバーを率いて、そのメンバーをまとめられれば、凄いと、感じる…

 いかに、東大や京大を出ていようと、メンバーをまとめられず、英語も話せないと、使えないヤツと、単純に判断する…

 ある意味、非常に、わかりやすい判断(爆笑)…

 別の見方をすれば、そういうふうにしか、ひとを判断できない…

 言葉は悪いが、その程度の能力しかないということだ…

 だから、会社にいても、出世とは、無縁だし、仮に出世しようものなら、周囲から、さんざ陰口を叩かれるのは、目に見えてる…

 が、

 普通は、出世とは、無縁だし、結婚相手もまた、同じような、能力の相手と結婚する…

 そうでなければ、話が合わないからだ…

 偏差値40の人間が、東大や早慶のような高学歴な人間と結婚することは、まずないし、仮にあった場合は、大抵が離婚する…

 なぜなら、例えば、テレビで見る番組や、読む本が違う…

 高学歴の人間と、そうでない人間は、興味の対象が異なるからだ…

 これは、単純に、いい、悪い、の話ではない…

 おおげさに言えば、人間の種類が、違うと思えばいい…

 だから、いっしょに、生活をしてはいけないと、考えればいい…

 そう考えれば、気が楽だし、納得する…

 だが、彼ら、彼女らは、そうは、考えない…

 人間は、すべからく、平等と考える…

 そして、当時は、わからなかったが、その根底には、コンプレックスがある…

 単純に、自分が、同世代の人間に比べて、学歴で劣っている…

 だから、仕事では、負けないと、豪語する…

 実際に、口にする…

 そして、実際に、仕事で、負けるかと、言えば、正直、負けない場合も多い…

 例えば、パソコンの入力や、郵便配達や、宅急便の配達を例にとれば、わかりやすいが、学歴で、差が付く仕事は、案外少ないものだ…

 まして、新卒で、高卒と大卒が同じ仕事について、どちらが優れているかと、問われれば、本人の適性によるところが大きい…

 要するに、飲み込みが早く、手が早ければ、最強…

 最強だ…

 ただし、頭が悪ければ、その先がない…

 だから、一生、同じレベルの仕事をしなさいと、なる…

 マネジメントができないからだ…

 ひとの上に立てないと判断されるから、誰も、それ以上の仕事を与えない…

 それが、わからない…

 それが、理解できない…

 そして、そういう人間は、案外、いるものだ…

 私は、以前、アルバイトをして、それを間近に見て、思った…

 そして、何度もいうが、人間の能力の差を痛感した…

 それは、私が、若き日に、いくつかの会社で、アルバイトで、働いた経験が大きい…

 要するに、ある会社では、MARCH(明治・青山・立教・中央・法政)レベルの人間が、主流だったのに対し、別の会社では、偏差値40の工業高校出身者だったり、名のない大学卒の人間が、ゴロゴロいた…

 すると、当然のことながら、会社の雰囲気が、まるで、違う…

 わかりやすい例えでいえば、毎年、東大や京大が数人、合格する、その地域のトップ高校と、偏差値40の工業高校や、偏差値50や、そのちょっと上の普通高校との違いと思えばいい…

 仮に教師として、その高校に赴任すれば、その違いに愕然とする…

 その衝撃に似ていた…

 あまりにも、人間のレベルが違うのだ…

 会社=職場の雰囲気がまるで、違う(笑)…

 それは、そこにいる人間のレベルが、まるで、違うから…

 残念ながら、それが、事実だった…

 そして、優秀な人間は、総じて、性格も良く、そうでない人間が多く集まった会社は、性格も悪い人間が多かった…

 私は、それを痛感した…

 いや、

 私だけではない…

 私と同じ経験をすれば、誰もが、同じように、思うに違いない…

 私が言うことが、ウソだと思う人間は、単純に、そのような経験をしたことがないからだ…

 同じような経験をすれば、同じような考えに行き着く…

 そういうものだ(笑)…

 そして、もし、そのような経験がなかったとすれば、むしろ、それは、自分自身の幸運に感謝すべきだろう…

 人間、苦労など、しないに限るが、私の持論だ…

 苦労しないで、生きてゆければ、これほど、楽なことはない…

 だが、

 もし、苦労をするのならば、若いときがいい…

 誰もが、オジサンや、オバサンになって、苦労はしたくないものだ…

 単純にさきほどの例で上げれば、頭が良く、性格もいい人間が多数いる職場から、頭が悪く、性格も悪い人間が多い職場で、働くことは、困難だ…

 できない…

 要するに、悪いところから、いいところへ、いくことはできるが、その逆はできないということだ…

 だが、追い詰められれば、やらなくてはならない…

 だから、もし、自分の人生のある時期で、それをやらなければならないと、すれば、若いときに限る…

 誰もが、同じだが、歳をとって、環境が悪化することは、避けたい…

 若ければ、まだ耐えられるかもしれないが、歳をとれば、それがきつくなるからだ…

 思えば、私にとって、その経験が、おおげさにいえば、人生を決定づけた…

 そして、その経験が、今の私を作ったといえる…

 どんな家庭に生まれ、どんな高校や大学を出るか?

 置かれた環境によって、当然のことながら、出来上がる人間は、変わる…

 MARCH(明治・青山・立教・中央・法政)レベルの人間が、主流だった職場の人間に、偏差値40の工業高校出身者だったり、名のない大学卒の人間が、ゴロゴロいた職場の雰囲気を説明しても、わからないに違いない…

 そもそも、そんな職場が、存在すること自体、理解できないからだ…

 経験したことがないから、そんな職場が、あること自体、想像できない…

 そういうことだ…

 そう考えてみると、いかに経験=体験が大切か、わかる…

 いくら、説明しても、見たことがなければ、わからない…

 そういうことだ…

 経験=体験が、いかに、人間にとって、重要か…

 そういうことだ…

 私は、ボンヤリと、ベッドに横になりながら、そんなことを、考えた…

 考え続けた…

 
 それから、数日経っても、諏訪野伸明から、連絡はなかった…

 実のところ、内心、伸明からの連絡を期待していた…

 待っていたといっていい…

 ある意味、自分から、別れを告げたようなものだが、やはり、未練があった…

 それは、やはり、伸明と、直接、話しあったわけではないからだ…

 あの別れ話は、諏訪野マミと、菊池冬馬としたものだった…

 だから、正確にいえば、あの二人が、誰の指示で、動いていたのか、わからない…

 諏訪野伸明が、関与していたのかも、怪しいからだ…

 あのとき、簡単に、自分から、別れを受け入れておいて、こんなことを、言うのは、自分勝手極まりないが、やはり、心の奥底では、諏訪野伸明からの電話を待っていた…

 伸明の口から、はっきりと、私と、別れる…

 あるいは、

 別れない…

 と、聞かせてもらいたかった…

 諏訪野マミと、菊池冬馬の前で、あれほど、はっきりと、別れると断言したにも、かかわらず、内心は、これだった…

 我ながら、実に、自分に都合がいいというか…

 どれほど、自分に都合よく、物事を考えているか…

 自分でも、呆れるが、誰に、どんなことを言われようと、やはり、諏訪野伸明から、直接、言われたかった…

 それは、やはり、なにより、どう考えても、諏訪野マミと、菊池冬馬から、別れを告げられたのが、大きい…

 だから、間接ではなく、直接言われたかった…

 と、思う…

 要するに、男に振られた女が、直接、男に、別れを告げられていないから、納得していない…

 そういうことだ(苦笑)…

 直接、言われれば、ああ、そうなんだと、思うが、間接に、別の人間から、告げられたから、納得しない…

 いや、

 納得しないのではない…

 もしや?

 と、思っているのだ…

 未練が、残っているのだ…
 
 だから、諏訪野伸明と会って、ハッキリさせたい…

 白黒つけたいと、思った…

 が、

 それは、すぐに、打ち破られた…

 私の希望が、木っ端みじんに、打ち砕かれた…

 なにげなく、パソコンを開くと、ヤフーニュースに、五井の御曹司、結婚…

 という文字があり、諏訪野伸明の名前と、顔写真が、載っていた…

                

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