第69話

文字数 7,791文字

…なんというか…

 ここまで、考えると、なにか、今、電話をしている最中の、諏訪野伸明という男が、身近に見えてきたというか…

 決して、遠く離れた存在ではないと、思えるようになってきた…

 なぜなら、あまりにも、人間臭いというか…

 これほどのイケメンで、びっくりするくらいのお金持ちなのに、中身は、普通に、コンプレックスを持っている男…

 それを、考えれば、随分、身近な人間に思えた…

 無論、私とは、違う…

 比較にならない…

 にも、関わらず、身近に感じた…

 いや、

 これは、私が、勝手に身近に感じたに過ぎないのかもしれない…

 ただ、誰でも、そうだが、凄いと思われた人間のたわいもないエピソードを聞いて、身近に感じた例は、枚挙にいとまがない…

 東大出のエリートが、見るからに、まったくの凡人に見えた場合など、その典型だろう…

 例えば、今の時代、同じ年に生まれた出生数が、110万人いて、そのうちの上位、100人に入れなければ、財務省=旧大蔵省には、入れないと言われている…

 財務省は、国家公務員のエリートの頂点…

 いわば、選ばれた人間の集まりだ…

 それは、財務省が、この国の財布を握っているからだ…

 財布=お金を握っているからだ…

 金を握っている者が、一番偉い…

 これは、いつの時代でも、変わらない…

 しかしながら、その選ばれた人間は、あくまで、頭の良さで選ばれている…

 当たり前だが、そこにルックスで選ばれたわけではない…

だから、ルックス=見た目は、関係ない…

 だが、どうしても、一般人は、ルックス=見た目を気にする…

 だから、実際に、そのエリートを見て、

 「…あんなひとが?…」

 と、驚嘆することが、よくある…

 見た目は、まったくの平凡な人物で、頭もよく見えないからだ…

 だから、

 「…どうして、あんなひとが?…」

 と、なる…

 また、実際に接していても、頭の良さが、わからない場合も、多々ある…

 そもそも、例えば、偏差値50程度の高校や大学を出て、東大のトップクラスの人間と接しても、その人間の頭の良さが、わかるはずもない(爆笑)…

 相手の頭の中身が、どの程度か、察するには、自分の頭が、最低でも、同じ程度でなければ、わからないからだ…

 だから、見た目にこだわる…

 頭の中身が、わからないから、堂々としているとか…

 威厳があるとか…

 背が高いとか…

 ルックスがいいとか…

 要するに、一目見て、誰もが、わかることに、こだわる…

 それしか、判断する材料がないからだ(爆笑)…

 また、なにより、見たことも、会ったこともないことが大きい…

 普通に、東大生を身近に知っていれば、誰も、そんなことは、言わない…

 見たことも、会ったこともないから、勝手に想像する…

 まるで、テレビや映画で見たような、長身のイケメンが、もしや、やって来るのではないか?

 と、期待する…

 自分でも、そんなことはないだろうと、思いながらも、どこかで、期待する…

 そういうことだ…

 いわば、雲の上の存在…

 普通の人間が、生涯会うことのない人間…

 にもかかわらず、自分と同じように考える人間が、思いのほか、大きい…

 いつのまにか、諏訪野伸明のことを考えながら、違うことを、考えていた…

 いつものことだ(笑)…

 「…寿さん…」

 伸明が、いきなり、私の名前を呼んだことで、私は、我に返った…

 「…なんでしょうか?…」

 「…冬馬…アイツのことを、どう思いますか?…」

 いきなり、伸明が、聞いた…

 私は、面食らったというか…

 思わず、

 「…どうして、そんなことを…」

 と、聞いた…

 なぜ、いきなり、伸明が、そんなことを、私に聞くか、わからなかったからだ…

 「…さっき、寿さんが、ボクに、冬馬のことをどう思うのか、聞くからですよ…」

 伸明が答えた…

 「…だったら、そういう寿さんが、冬馬のことを、どう思うのか、知りたくて…」

 当たり前のことだった…

 「…寿さん…冬馬をどう思います?…」

 伸明の言葉に返答に困った…

 どう言おうか、考えた…

 しかし、ウソをつくのは、嫌だ…

 しばし、悩んだ挙句、

 「…好きではありません…」

 と、答えた…

 伸明は、

 「…」

 と、無言だった…

 「…ですが、嫌いでもありません…」

 「…どういうことですか?…」

 「…好きか、嫌いか、問われれば、嫌いです…ですが、顔を見たくなるほど、嫌いかと言われれば、そこまで、嫌いじゃない…そういうことです…」

 私の言葉に、またも、伸明は、

 「…」

 と、沈黙した…

 それから、しばし、沈黙した後、

 「…正直なひとだ…」

 と、爆笑した…

 私は、驚いた…

 まさか、電話の向こうで、伸明が、爆笑するとは、思わなかったからだ…

 「…だから、寿さんに、憧れる…寿さんを好きになる…」

 「…」

 「…世の中には、誰でも、わかるウソを平然とついて、平気な人間もいる…」

 伸明が、思いがけないことを、言い出した…

 「…そんな人間には、心底なりたくないし、付き合うのは、ごめんだ…」

 「…」

 「…だが、少なくとも、寿さんは、そんな人間じゃない…」

 誰のことだろう?

 ふと、思った…

 それとも、一般論だろうか?

 「…とにかく、今日は、寿さんに、連絡出来て、良かった…」

 「…」

 「…では、これで、失礼します…」

 と、言って、一方的に、電話を切った…

 私は、唖然とした…

 まさか、一方的に、電話を切られるとは、思わなかったからだ…

 …似合わないというか…

 ありえない言動だった…

 伸明が、忙しいのは、わかる…

 五井家当主として、さまざまな業務があるだろう…

 その忙しい業務の合間を縫って、私に、電話をかけてきたに違いないからだ…

 しかしながら、私の了解も得ず、一方的に、電話を切るとは、思わなかった…

 一体、どうしたのだろう?

 それとも…

 それとも、もしかしたら、これが、伸明の正体なんだろうか?

 ふと、思った…

 これまで、私は、お行儀の良い、いわば、金持ちのお坊ちゃまとしての、諏訪野伸明しか、見ていなかった…

 それは、言葉は悪いが、見てくれというか…

 どこか、他人行儀の諏訪野伸明しか、見ていなかったということだ…

 交際は、しているが、まだ、いっしょに暮しているわけではない…

 セックスも、まだ、していない…

 セックスをすれば、なにか、変わるかといえば、そんなことはないが、ただ、相手が、馴れ馴れしくなる可能性が高い…

 ありていにいえば、

…オレは、この女と、寝た…

 …私は、この男と、寝た…

 と、いうことで、素(す)の姿を見せるというと、大げさだが、少しは、等身大の、自分の姿を見せることが多い…

 セックスをする上で、大きな利点は、コレ…

 コレだ!

 これまで、見せなかった態度を見せるかもしれない…

 私は、まだ、伸明と、寝ていない…

 ならば、これから、伸明と寝れば、伸明の別の側面を見ることが、できるのだろうか?

 期待した…

 が、

 と、そこまで、考えて、自分自身の考えに爆笑した…

 思わず、吹き出した…

 それでは、まるで、子供…

 十代や、そこらのお子ちゃまだ…

 諏訪野伸明も、すでに、四十代前半…

 たかだか、一回、女と寝たぐらいで、態度が、豹変するお子ちゃまでは、ありえない…

 一回寝れば、急に馴れ馴れしくなり、まるで、昔からの親しい友人のように、なんでも、話しかけてくる…

 もし、そんなことがあると、すれば、それは、幻想だ…

 間違いなく、幻想だ…

 私は、自分で、自分の考えに、爆笑した…

 そんなことより、本当は、一刻でも長く、諏訪野伸明と、接すること…

 そうすることによって、見えてくるものがある…

 結婚は、学校時代の友人や、職場の同僚が、多いのは、身近に、接することで、どういう人間か、わかってくるからだ…

 いっしょに、仕事をしたり、同じクラスで、勉強したりして、どういう人間か、目の当たりにするからだ…

 それゆえ、ある意味、安心して、付き合える…

 事前に、相手が、どんな人間か、わかっているからだ…

 それが、前提にある…

 が、

 私と、伸明には、それがない…

 会うのは、ときどきだし、電話も、それほど、するわけじゃない…

 だから、なんだか、付き合っているといっても、他人行儀…

 どこか、壁があるというか…

 素(す)の、諏訪野伸明という男を、まだ見ていない気がする…

 だから、とりあえず、セックスを考えたが、これも、バカげている…

 一度でも、セックスをすれば、互いに、素(す)の姿を見せあうものではあるまい…

 現に、さきほどの、結婚相手と出会う場所として、学校時代の友人や、職場の同僚が、多いといったのは、要するに、それ以外は、男女が、出会う場所がないことの裏返しでもある…

 そして、学校や会社で、出会い、結婚しても、

 「…こんなひととは、思わなかった…」

 と、男女ともに嘆くのは、良く聞く話だ…

 要するに、学校や会社で、知り合い、男女の関係になっても、相手の本当のことは、良くわからない…

 五年、十年と、いっしょに、住んでいるわけではないからだ…

 とりわけ、学校や会社では、背伸びして、自分の良いところだけ、見せている者も多い…

 いわば、公(おおやけ)の自分を意図的に見せている…

 だから、私(わたし)の自分は、公(おおやけ)の自分とは、まるで、違う…

 別人…

 大げさにいえば、その可能性もある…

 もっとも、これは、大げさ過ぎるが、公(おおやけ)の姿を見て、私(わたし)の姿と異なる、ひとは、多い…

 例えば、いつも、公(おおやけ)では、礼儀正しく、きちんとした人間だと思っていたひとが、私(わたし)では、いつも、横柄で、周囲に怒鳴りまくっている…

 よく聞く話だ(笑)…

 学校や、会社では、少しでも、良い自分を見せようと、努力している…

 言葉は悪いが、大げさにいえば、会社や学校での自分は、公(おおやけ)での自分だから、少しでも、よく見せたい…

 テストでいえば、100点に近い、優秀な自分を見せたい…

 だが、私(わたし)では、そんな必要は、一切ないから、素(す)の自分を見せる…

 そういうことだ(笑)…

 だから、当てにならない…

 それを、前提に、結婚するのだから、世の中、離婚する人間が多いのも、わかる…

 それまで、見てきた相手と結婚した相手が、微妙に違う…

 男女ともに、そんな感じだろう…

 だから、男女ともに、

 「…こんなひととは、思わなかった…」

 と、嘆く人間が、この世の中に多いのだろう…

 私は、思った…

 いつのまにか、伸明から、世間一般の男女まで、話が、広がった…

 妄想が、広がった…

 いつものことだった(笑)…


 その夜、ナオキが、帰ってきて、早速、今日の出来事を話した…

 ナオキが、どういう感想を言うのか、興味があったからだ…

 他人の意見を聞くのは、大事…

 どんなことでも、そうだが、自分以外の人間の意見を聞くことで、自分では、考えられない意見を聞くことができるからだ…

 昔、亡くなった母から、バブル時代の話を聞いたことがある…

 バブル時代は、景気がメチャクチャいいから、大げさに、いえば、どんな人間でも採用した…

 が、

 バブルが弾け、たちまちバブル時代に採用された多くの人間が、リストラされた…

 それを、聞いていた子供時代の私は、ふと、思った…

 「…だったら、リストラされたひとたちは、その後、どうしたの?…」

 と、母に聞いた…

 単純な疑問だった…

 バブル期=景気のいい時代に採用された人間が、景気が悪くなったから、一斉にリストラ=クビにされた…

 だったら、クビになった人間は、その後、どうなったのだろ?

 子供ながら、疑問だった…

 だが、母は、私の質問に、面食らった様子だった…
 
 「…そういえば、そこまでは、考えなかった…」

 と、苦笑した…

 「…たしかに、あの時代は、誰が見ても、おかしかった…異常だった…だから、会社の採用でも、それまでとは、一転して、レベルが下がったのは、一目瞭然だった…」

 「…」

 「…でも、リストラされたひとたちが、その後、どうなったのかは、考えなかった…きっと、私が、そのひとたちと、接することがなかったから、余計ね…」

 母が笑った…

 「…そして、どんなことでも、自分以外のひとの意見を聞くことは大事ね…自分では、思いもしないことを、言ってくれる…」

 と、言った…

 そんな母の言葉が、今も脳裏に残る…

 他人の意見を聞くことで、それまで、自分が、考えもしなかった考えを聞くことが、できるからだ…

 そして、それは、頭の良し悪しは、あまり関係がない…

 例え、東大を出ていても、周囲の状況の変化に気付かない人間も多い…

 だから、母の言ったバブル時代を例に取れば、

 「…こんなことは、ありえないから、この景気が終われば、きっと、ここ数年、採用された人間の多くのひとのクビを切るよ…一気にレベルが下がったからね…」

 と、言っても、わからない…

 例えば、この会社は大手だから、そんなことは、ありえないとか…

 要するに、採用された人間ではなく、会社を見ているから、そんなことは、ありえないと、信じているのだ…

 人間を見れば、それまで、採用された人間とは、明らかに違うレベル…

 一気にレベルが下がったのが、誰の目にもわかる…

 だが、そんなことは、考えない…

 いくら、東大を出て、頭が良くても、そんなことを、考えない人間も、数多い…

 それが、現実だ…

 いわば、世間知が低いというか…

 周りが、見えない…

 今、目の前で、なにが、起こっているか、わからない…

 勉強が出来る能力と、別の能力が、必要と、わかる…

 ただ、勉強が出来ても、ダメということが、わかる顕著な例だ…

 真逆に、偏差値40の工業高校を出ていても、一目で、わかる者もいる…

 世間知というと、大げさだが、直観で、わかるのだろう…

 それは、勉強が出来る頭の良さとは、違う、頭の良さが、あるのだと、思う…

 また、そういう人間は、鋭い…

 会社で、誰と誰が付き合っているかなど、同じ職場の人間が、知らないことでも、直観で、わかる…

 上司との不倫を含めて、同じ職場で、男と女が、付き合っていたとする…

 すると、どうしても、ちょっとしたことで、馴れ馴れしさが出る…

 それを見逃さないのだろう…

 男も女も一度、男女の関係になれば、馴れ馴れしさが、出てくるのは、当然…

 しかしながら、職場で、互いに付き合っているのを、公表しないカップルは、多い…

 そもそも、結婚するかどうか、わからないし、また公(おおやけ)で、付き合っていることを、公表することで、マイナスになることも多い…

 だから、公表しない…

 秘密にするということだ…

 しかしながら、勘の鋭い人間は、簡単に、その男女が、秘密裏に付き合っていることに、気付く…

 そういうことだ(笑)…

 私が、そんなことを、考えていると、

 「…諏訪野さんは…」

 と、ナオキが、話し出した…

 「…きっと、綾乃さんに、なにかを、求めているんだと思うよ…」

 実に、意外な言葉だった…

 「…私に、なにかを求めている? …一体、なにを私に?…」

 「…それは、諏訪野さんじゃないから、わからない…」

 「…」

 「…でも、男が女を好きな場合、相手になにかを求めている場合が、多い…もっとも、これは、女が男を好きな場合も、同じだけれども…」

 「…」

 「…一番ありがちなのは、背の低い男が、背の高い女に憧れること…これは、わかるだろ?…」

 「…自分にないものを、求めている…」

 「…その通り…」

 「…」

 「…でも、そんなわかりやすい例は、世の中に案外多いけれども、意外なことも、結構ある…」

 「…意外? …どういうこと?…」

 「…以前、知っていた女性の例だけれども、いかにも、気が強く、しっかり者で、学校でも、職場でも、誰かに、頼られる存在の女性がいた…ちょうど、綾乃さんみたいな…」

 「…私みたいな?…」

 「…でも、意外や意外…その女性は、父親ほども年齢の男と、結婚したんだ…」

 「…どういうこと?…」

 「…ファザコン…」

 「…ファザコン? …ファーザーコンプレックス?…」

 「…その通り…その女性は、小さいときに、父親を亡くして、無意識のうちに、父親を求めていた…だから、学校でも、会社でも、誰かに頼られる姉御肌の人間にも、かかわらず、心の底では、父親を欲していた…自分を守ってくれる父親が、欲しかったんだろう…」

 「…」

 「…だから、年上…自分より、20歳は、上でないとダメ…どんなに頼れる男でも、同年代ではダメ…彼女の中では、受け入れられない…」

 「…」

 「…だから、それを知ったときは、実に驚いたし、面白いと思った…」

 「…面白い? …どうして、面白いの?…」

 「…だって、綾乃さんのように、しっかりした女性が、実は、ファザコンで、誰かに頼りたいなんて…誰も思わないよ…」

 ナオキが、爆笑した…

 私は、それを見て、ひどく頭に来た…

 「…ひどい、ナオキ…一体、私をなんだと思っているの?…」

 「…しっかり者のお姉さん…」

 ナオキが、即答した…

 「…だから、案外、諏訪野さんも、そんな綾乃さんに、惚れたんじゃ…」

 「…どういう意味?…」

 「…諏訪野さんも、見かけに寄らず、案外、気が弱い…だから、綾乃さんに、守ってもらいたいんじゃ…」

 「…バカなことを…」

 私が、言うと、ナオキが、笑いながら、

 「…そう…たしかに、バカなことかもしれない…でも、真相は、案外、そんなバカなことが多い…世の中、そんなものさ…」

 と、言った…

 私は、開いた口が塞がらなかった…

 そして、こんな大事なことを、ナオキに相談したことが、間違いだと気付いた…

 「…ナオキ…アナタに聞いたのが、間違いだった…」

 「…それは、どうも…スイマセン…」

 ナオキが、おどける…

 私は、頭にきて、そんなナオキを目の前で、睨んだ…

 が、

 すぐに、プッと吹き出した…

 目の前のナオキが、道化師よろしく、わざと、変な顔をしていたのだ…

 わざと、ひょっとこのように、口を曲げていた…

 「…ナオキ…どうして、アナタ、そんな顔を…イケメンが、台無しよ…」

 「…すねているのさ…大好きな綾乃さんに、叱られて…」

 「…叱る? …いつ、私が、ナオキを叱ったの?…」

 「…今…たった今さ…」

 ナオキが、主張する…

 そして、また、わざと、ひょっとこのように、口を曲げた…

 私は、

 「…止めて、そんな顔をしないで…」

 と、笑いながら、ナオキに頼んだ…

 が、

 ナオキは、止めない…

 私は、ふと、ナオキの心情を思った…

 …おそらく、自分が、道化師に徹して、私を笑わせようしている…

 そんな事実に、気付いた…

 たぶん、今の話で、諏訪野伸明もまた、謎の多い人物だと、悟ったに違いない…

 だから、私を笑わせようとした…

 空気を変えようとしたのだ…

 そんな事実に、気付いた私は、今さらながら、この藤原ナオキという男の優しさに気付いた…

 決して、自分には、得がたい人物…

 あらためて、それが、わかった…

 にもかかわらず、諏訪野伸明に惹かれた…

 諏訪野伸明の闇を知るにつけ、さらに惹かれた…

 つくづく、自分は、自分勝手…

 自分勝手、極まりない女だと、悟った…

                
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