第32話

文字数 7,488文字

 「…私の立ち位置?…」

 私は、声を出して、言った…

 「…寿さんは、五井の正統後継者…諏訪野伸明の妻となる女…」

 「…」

 「…そんな、寿さんが、周囲から、大事にされるのは、当然…」

 佐藤ナナが、笑う…

 当たり前のことだった…

 が、

 私は、佐藤ナナの言葉を信じなかった…

 なぜなら、佐藤ナナの言葉が、当たり前すぎたからだ…

 だから、私は、

 「…佐藤さんって、私の知っているひとに、よく似ている…」

 と、わざと言った…

 カマをかけたのだ…

 佐藤ナナの浅黒い顔が、わずかに、引きつった…

 緊張したのが、わかった…

 「…その彼女も、佐藤さん、同様、愛くるしくて、チャーミングで、誰からも好かれた…」

 「…」

 「…でも、彼女の任務は、私を見張ることだった…」

 「…」

 「…私の動静を見張り、私が、どんな人間か、逐一報告する…それが、彼女の任務だった…」

 「…」

 「…アナタも、同じでしょ?…」

 私に問いかけに、佐藤ナナは、

 「…」

 と、答えなかった…

 「…日本人と、東南アジア系のひとと、ハーフだということは、わかる…ウソじゃないでしょう…その肌の色を見れば、わかる…でも、ご両親…父親か母親か、どっちが、日本人で、どっちが、東南アジア系のひとか、わからないけれども、ご両親のどちらかが、五井一族の人間ではないの?…」

 私の問いかけに、

 「…」

 と、佐藤ナナは、黙った…

 しかし、その表情は、違った…

 言葉よりも、雄弁に、私の指摘が、間違ってないことを、表していた…

 緊張した表情が、私の言葉が、間違ってないことを、示していた…

 少しばかりの沈黙の後、

 「…どうして、そう思うんですか?…」

 と、小さな声で、私に聞いた…

 「…諏訪野マミさん…」

 と、私は、言った…

 「…知っているでしょ?…」

 が、

 私の言葉に、佐藤ナナは、反応しなかった…

 文字通り、うんともすんとも、言わなかった…

 「…彼女が、以前、面白いことを言ったの…」

 「…どんなことですか?…」

 蚊の鳴くような、小さな声で、答えた…

 「…五井の秘密…」

 「…秘密…」

 「…普通、一族と言うのは、当たり前だけど、同じ苗字…三井は、全員、三井姓…これは、当たり前…でも、五井は、バラバラ…」

 「…」

 「…これは、どうしてか、わかる? と、諏訪野マミさんが、以前、私に聞いたの?…」

 「…」

 「…私は、わからないと答えた…それは、五井のご先祖様が、積極的に、他家に、自分の子供たちを、やったから…男なら、養子に、女なら、嫁にやった…そして、苗字を変え、あらゆるところから、情報を得ようとした…」

 「…」

 「…苗字が変われば、誰も、五井の人間だと、悟られない…これは、忍者の草と同じだと…」

 「…」

 「…つまり、苗字を変えることで、五井一族だと知られず、さまざまな世界に、入り込める…そして、そこで、得た情報を、五井本家に送る…五井本家は、その情報を生かして、商売に有利に運ぶ…例えば、今年、コメの出来が悪いという報告を受ければ、いち早く、誰よりも先に、コメを買い占めて、後で、高値で、売るという具合にね…」

 「…」

 「…それが、五井の強みだと…諏訪野マミさんは、私に言った…」

 「…」

 「…佐藤さん…アナタも同じ…きっと、お父様か、お母様のどちらかが、五井一族じゃないの? それで、五井家の人間に、頼まれて、私を見張っていた…それを、あの冬馬理事長が、知っていたか、どうかは、わからない…冬馬理事長は、ただ、佐藤さんから、私に関する報告を受けていただけかもしれないから…」

 「…」

 「…どう、私の推理? 遠からずといえども、はずれてないでしょ?…」

 私の質問に、佐藤ナナは、

 「…」

 と、答えなかった…

 私は、それを見て、

 「…それとも…」

 と、ダメ押しをした…

 「…それとも、もっと、近い関係…」

 「…近い関係?…」

 「…ずばり、菊池リンさんの従妹とか、もっと、血縁が、近い関係…」

 私は、初めて、佐藤ナナの前で、菊池リンの名前を出した…

 彼女は、明らかに、動揺した…

 彼女=佐藤ナナが、菊池リンを知っているのが、明らかになった…

 「…佐藤さん、かわいいわ…」

 「…可愛い? どうして、ですか?…」

 「…菊池さんの名前を出すと、簡単に反応する…」

 私は、笑った…

 真逆に、佐藤ナナは、

 「…」

 と、沈黙した…

 どうして、いいか、わからなかったのかもしれない…

 だから、私は、質問を変えた…

 「…冬馬理事長は、佐藤さんが、五井一族だということを、ご存知だったの?…」

 これは、簡単に答えられる質問だったからだ…

 「…たぶん、知らないと思います…」

 蚊の鳴くような、小さな声で、答えた…

 「…私は、ただ、頼まれただけですから…」

 「…誰に頼まれたの?…」

 「…それは…」

 佐藤ナナが、言い淀んでいると、

 「…綾乃さんも、案外、性格が、悪いんですね?…」

 と、いう声が近くでした…

 私は、その声に聞き覚えがあった…

 若く、可愛らしい、女性の声…

 私が、声をした方を見ると、菊池リンが、立っていた…

 かつて、私を監視していた、五井家のスパイ…

 私が、もっとも、可愛がり、警戒を怠った女だった…

 「…綾乃さんは、もっと、性格がいい女性だと思ってました…」

 菊池リンが、笑いながら、言った…

 私は、彼女を見ながら、相変わらず、愛くるしいと、思った…

 この佐藤ナナと同じ…

 いや、

 佐藤ナナ以上に、愛くるしい…

 佐藤ナナも、同じく、愛くるしいが、佐藤ナナの方が、しっかりしている印象がある…

 それに、比べ、菊池リンの方が、頼りない…

 頼りないゆえに、余計に、愛くるしい…

 頼りないゆえに、男女問わず、つい守ってあげたくなる、可愛さがあるからだ…

 佐藤ナナの場合は、愛くるしいが、守ってあげたくなるような、可愛いさはない…

 佐藤ナナの場合は、その浅黒い肌に、ふさわしく、純粋な日本人にはない、しっかりとした目鼻立ちがある…

 日本人にはない、華やかさがある…

 それが、佐藤ナナの強み…

 この二人は、一見似ているが、違う…

 一見、同じように、可愛いが、可愛さが違う…

 そんなことを考えながら、

 「…お久しぶり…菊池さん…」

 と、言った…

 言いながら、

 …いよいよ、本命登場かな?…

 とも、思った…

 …来るべきものが、来た!…

 とも、思った…

 いずれ、菊池リンが、出てくるとは、思っていた…

 だが、このタイミングで、現れるとは、思わなかった…

 「…随分、早い登場ね…いえ、遅いのかな?…」

 私の言葉に、菊池リンは、

 「…」

 と、答えなかった…

 ただ、ニコニコと、笑っていた…

 「…いずれにしろ、菊池さんのおかげで、この病院に、担ぎ込まれた…お礼を言わなくちゃ…ありがとう…」

 私は、言った…

 そして、それが、皮肉であることに、菊池リンは、すぐに、気付いた…

 「…綾乃さん…どこまで、気付いているの?…」

 菊池リンが、ニコニコ笑いながら、聞いた…

 が、その笑いは、作り笑い…

 目が真剣だった…

 真逆に、今度は、私の方が、

 「…」

 と、うんともすんとも、言わなかった…

 菊池リン同様、ニコニコとした表情を、わざとした…

 「…食えない女…」

 菊池リンが、吐き捨てるように、言った…

 これまで、一度も見たことのない、彼女の言葉だった…

 そして、私は、おそらく、その姿こそが、彼女の真の姿だと、悟った…

 可愛らしい顔の下に潜んだ、真の姿だと、気付いた…

 「…アナタが、諏訪野伸明さんを、利用しようとしているのは、わかる…」

 私は、言った…

 私の言葉に、菊池リンの表情が、固まった…

 「…菊池さん…アナタが、自分の考えで、動いてるのか、それとも、誰か、アナタの背後にいるのかは、わからない…」

 私は、考えながら、一語一語、ゆっくりと言った…

 「…でも、ここにアナタが現れたことで、私は、ようやく、自分の役割に気付いた…」

 「…役割?…」

 「…五井家の女帝、諏訪野昭子さんが、私を、息子の伸明さんと、結婚させようと、なぜ、公言するのか、わかった…」

 「…」

 「…昭子さんは、私に、伸明さんを、守ってもらいたかった…」

 「…守る? …誰から?…」

 「…菊池さん…アナタから…」

 私の言葉に、菊池リンは、

 「…」

 と、絶句した…

 「…諏訪野伸明さんは、先代当主、建造さんの子供ではない…だから、それを知った五井家の一部の人間は、伸明さんを、当主にしたくなかった…」

 「…」

 「…だから、おそらく、本音では、昭子さんは、菊池さん、アナタと、伸明さんの結婚を望んでいた…」

 「…どうしてですか?…」

 「…アナタの祖父は、諏訪野義春…建造さんの実弟…つまり、アナタは先代当主の血を引いている正統後継者…その正統後継者のアナタと、伸明さんを結婚させることで、伸明さんが、五井家の当主にふさわしいと、一族に示すことができる…」

 「…」

 「…でも、それが、できなかった…」

 「…どうして、できなかったんですか?…」

 「…アナタの背後にいる人たち…」

 「…」

 「…伸明さんと、菊池さんが結婚すれば、結果的に、その人たちに、五井本家が、乗っ取られると、昭子さんは、気付いた…」

 「…」

 「…それで、急遽、私の出番となった…」

 「…」

 「…なにしろ、私は、癌…あと何年、生きれるか、わからない…伸明さんと結婚しても、何年いっしょにいられるか、わからない…これは、ある意味、実に都合がいい…」

 「…なにが、都合がいいんですか?…」

 「…伸明さんの傍にいて、アナタたちから、守る…そして、その間に、菊池さんを担いで、五井本家に弓を引くひとたちを処分する…そういう絵を描いた…」

 「…」

 「…それが、真実…」

 私の言葉に、菊池リンが、黙った…

 「…」

 と、なにも言わなかった…

 「…私もまさか、菊池さんが、五井本家を乗っ取る中心にいるとは、思わなかった…」

 「…」

 「…でも、そう考えれば、わかるというか…すべての謎が解ける…」

 「…どう、解けるんですか?…」

 「…アナタが、誰の指示で、私を五井記念病院に運ぶか、菊池冬馬に連絡したこと…」

 「…」

 「…アレは、昭子さんの指示ね…」

 「…昭子さんの指示? …どうして、そう思うんですか?…」

 「…アナタが以前、五井家のスパイとして、私を監視していた…でも、アナタが、誰の指示で、監視していたのか、わからなかった…」

 「…」

 「…最初は、建造さんの指示であることは、明白だった…でも、建造さんは、急死した…にもかかわらず、菊池さんは、私を監視し続けた…ということは、誰かの指示で、私を監視し続けたことになる…そして、それは、普通に考えれば、昭子さんの指示以外にない…亡くなった先代当主、建造さんの妻である、諏訪野昭子以外にない…」

 「…」

 「…そして、ジュン君に、ジュン君が、藤原ナオキの血が繋がった息子ではないことを、電話で教えた…これも、たぶん、昭子さんの指示…そして、これは、私の勘だけど、ジュン君に、クルマで、私をはねるように、菊池さんは、ほめかしたんじゃないの…無論、本気で、殺そうとしたわけじゃない…とにかく、私をケガさせて、病院に運ぶ…そう考えた…」

 「…」

 「…そして、菊池さんは、ともかく、昭子さんの真意は、それで、伸明さんの気持ちが、私に向かうことを、期待した…」

 「…どうして、そう思うんですか?…」

 「…私が死にかければ、伸明さんが、私を好きなら、私に気持ちが向かう…それを期待した…」

 私の言葉に、

 「…それは、違います…」

 と、初めて、菊池リンが、反論した…

 「…どう違うの?…」

 「…綾乃さんは、自分に都合よく考え過ぎです…」

 「…」

 「…私は、ただ、ジュン君に、ジュン君の父親は、藤原ナオキじゃないと、言っただけです…そして、寿さんと、ユリコさんの会話の内容を伝えただけです…」

 「…でも、私が、会社を辞めることまでは、伝えた…」

 「…」

 「…いずれにしろ、私が、ジュン君になにかされるような状況を作った…」

 「…」

 「…結果、アナタは、昭子さんに踊らされた…」

 「…どういうことですか?…」

 「…昭子さんの指示で、私を見張り、私が、事故に遭うのを、目撃した…」

 「…」

 「…にもかかわらず、菊池さん…アナタは、結局のところ、伸明さんと、結婚できないどころか、今も誰かに利用されてる…」

 私の言葉に、

 「…利用ではありません…自分の意思です…」

 と、菊池リンが、ハッキリと答えた…

 「…自分の意思?…」

 「…五井の正統な血を引かない伸明さんに、五井家の当主の資格はありません…」

 菊池リンの本音が出た…

 が、

 その本音を誰が、彼女に吹き込んだのだろうか?

 それが、謎だった…

 その言葉を彼女に吹き込むのは、彼女、菊池リンの祖母、和子だが、どうしても、彼女には、思えない…

 和子は、姉の昭子同様、女傑…

 肝が据わった女だ…

 そんなことをするとは、どうしても思えなかった…

 だから、

 「…おばあさまは…和子さんは、ご存知なの?…」

 と、聞いた…

 諏訪野和子が、菊池リンの行動を支配しているようには、どうしても、思えない…

 やはりというか、私の質問に、

 「…」

 と、菊池リンは、答えなかった…

 「…菊池さん…」

 と、私は、言った…

 「…なに、綾乃さん…」

 「…アナタのいうことは、わかる…」

 と、私は、言った…

 「…なにが、わかるんですか?…」

 「…諏訪野伸明さんが、建造さんの血を引かないから、当主の資格がないということ…」

 「…」

 「…でも、それをいえば、建造さんは、自分の血が繋がった秀樹さんを、後継者にしたくなかった…どうしてだか、わかる?…」

 「…わかりません…」

 「…秀樹さんは、欲が強すぎた…だから、建造さんは、秀樹さんを嫌った…」

 「…」

 「…いえ、嫌ったというよりは、それでは、五井一族をまとめられないと、思ったんだと思う…当主というのは、ある意味、王様と同じ…周囲から、担がれてる…」

 「…」

 「…その周囲から、担がれる人間が、人一倍、欲が深いと、周囲とうまくいかない…どんなことにも、オレがオレがと、でしゃばったり、どんな些細な取引でも、オレにも、分け前をよこせというようなことを、やりがちになる…だから、結果的に、うまくいかない…」

 「…」

 「…それを、建造さんは、見抜いていた…あるいは、恐れていたんだと思う…だから、自分の血が繋がった息子にもかかわらず、秀樹さんを、後継者にしようとしなかった…」

 「…」

 「…菊池さん…アナタには、その教訓をよく覚えていて欲しい…」

 私が、言うと、菊池リンの表情が、考え込んだ…

 「…アナタの背後にいるのが、誰なのかは、わからない…でも、見当はつく…」

 「…誰なんですか?…」

 「…五井一族なら、菊池重方(しげかた)、冬馬、父子…」

 「…」

 「…五井一族以外なら、菊池重方(しげかた)の派閥の領袖、大場小太郎代議士か、あるいは、米倉平造…」

 「…」

 「…その中に、いると思う…」

 菊池リンの顔色が、変わった…

 それから、すぐに、

 「…綾乃さんって、やっぱりバカじゃないんですね…」

 と、笑った…

 だが、その笑いは、引きつっていた…

 表情が、歪んでいたと言っていい…

 「…菊池さん…ひとつ、聞いていい?…」

 「…なんですか?…」

 「…菊池さんは、伸明さんを、追い落として、どうするつもり?…」

 「…どうするって、どういう意味ですか?…」

 「…伸明さんを当主の座から、引きずり降ろせば、誰を、代わりに、当主の座に就けるの?…」

 私の質問に、一瞬、動揺したが、

 「…それは、五井家の正統な血を継ぐものならば、誰でも、いい…重方さんでも、冬馬でも、誰でもいい…」

 と、答えた…

 私は、その答えに、ピンときた…

 「…五井東家…菊池重方(しげかた)、冬馬、父子は、追放され、菊池さん…アナタが、五井東家を継ぐことになったそうね…」

 「…なにが、言いたいんですか?…」

 「…ということは、どう? 普通に考えれば、重方(しげかた)さんと、冬馬さんの、五井家での復帰・復権はない…」

 「…」

 「…むしろ、重方(しげかた)、冬馬、父子が、追放されて、歓迎する人物…大場小太郎さんや、米倉平造さんが、アナタの後ろ盾じゃないの?…」

 「…」

 「…その表情では、図星のようね…」

 が、

 それには、答えなかった…

 「…今にわかります…」

 と、だけ、言って、踵を返して、歩き出した…

 その背中に、

 「…菊池さん…もう帰るの?…」

 と、声をかけた…

 が、

 反応はなかった…

 黙って、もはや、一度も、私や、佐藤ナナを振り返ることなく、歩き去った…

 私は、唖然としたが、それよりも、ショックの方が、内心大きかった…

 いずれ、現れると思っていたが、まさか、このタイミングで、菊池リンが、現れるとは、思っていなかったからだ…

 「…彼女…たぶん、使われてる…」

 ポツリと呟いた…

 私の言葉に、佐藤ナナが、ビックリして、私を見るのが、わかった…

 「…どうして、そう思うんですか?…」

 「…ここに現れたのが、そう…以前の彼女ならば、こんな真似はしなかった…」

 「…」

 「…そして、伸明さんの正統性…これも、以前は、主張しなかった…仮に、以前から、伸明さんが、建造さんの血が繋がった父子ではないと知っていても、そんなことは、主張しなかった…」

 「…どうして、ですか?…」

 「…菊池さんは、五井の分家で、しかも女…自分が、当主になりたい気持ちなど、これっぽっちもないに決まっている…」

 「…」

 「…それが、今は別人…以前と、まるで、違う…誰かから、影響を受けているに決まっている…」

 「…」

 「…問題は、それが、誰か? 誰か、わからなければ、菊池さんの今後の行動が読めない…」

 言いながら、それは、アナタもいっしょね、と、言ってやりたかった…

 佐藤さん、アナタもいっしょね、と言ってやりたかった…

 そう、傍らの佐藤ナナに、言ってやりたかった…

 が、

 言わなかった…

 私もバカではない(笑)…

 たった今、この場で、菊池リンと、やり合った、すぐ後で、今度は、佐藤ナナと、やり合うのは、困る…

 そういうことだ(笑)…

 だから、私と佐藤ナナは、黙って、二人して、ベンチに座っていた…

 ときどき、吹いてくる風が、冷たかった…

 なんだか、この後の騒動が、なんとなくわかる冷たさだった…

                
 
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