赤い糸 ・5 …城崎ver.<2>
文字数 830文字
「法医学とは違った、人命を救うための白衣も似合ってるね」
「そうか?」
「うん。だけど…、まさか患者さんに怒鳴ったりして、怖い思いさせてないよね?」
「何度言っても効かない患者には、ビシッと言わないといけないときだってある。患者の為だからな」
「…ふーん」
「どうした?」
「柚月ちゃんと同じことを言うんだね」
「…<柚月>? なんだ、藤沢のことを知ってるのか?」
「うん。知ってるも何も…今、仲良く一緒に暮らしてるから」
「えっ!?」
「……なーんて。びっくりした?」
「あ、ああ…、まあな…」
「でも、僕が柚月ちゃんのおうちに居候させてもらってるのは、ほんと」
「そうなのか…!?」
「っ、あはは、そんなに驚いちゃう?」
「いや…、その、居候って、結局は一緒に住んでるってことだろ?」
「あの子と僕の関係が気になる?」
「…、そういうわけではないが…」
「あはは、そのわりには、気にしてそうだよ?」
「それは、先輩医師として藤沢と関わってるから…、」
「ふーん、そう」
当惑した自分をありありと見せつけてくれる久動さんの姿がツボに入って笑ってしまいながら、医局の方に目を配る。
「ねえ、そろそろ仕事に戻ったほうがいいんじゃない?」
「…あ、ああ、そうだな、つい話し込んでしまった。…とりあえずは、おまえが元気そうで良かったよ。今度また見かけたら声を掛けてくれよ?」
「気が向いたらね」
「ったく…。そういえば、おまえ、風邪を引きやすいうえに悪化させやすいんだから、普段からあまり無理するなよ?」
「そんなの平気だよ」
「平気じゃないから言ってるんだ。おまえはいつも根を詰めるところがあるからな…、もう少し自覚しろよ」
「なにそれ…、なんだか僕のお父さん見たい」
まだ若い久動さんに心から皮肉って言って見せたのに、目の前の堅物は全く意に介さずといった感じで。
「もしも何かあったら、おまえの親父にでもなんでもなってやるから、とにかく無理はするなよ?」
相変わらずの誠情を貫いて、少し心配そうに優しい笑みを広げて返した。
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「そうか?」
「うん。だけど…、まさか患者さんに怒鳴ったりして、怖い思いさせてないよね?」
「何度言っても効かない患者には、ビシッと言わないといけないときだってある。患者の為だからな」
「…ふーん」
「どうした?」
「柚月ちゃんと同じことを言うんだね」
「…<柚月>? なんだ、藤沢のことを知ってるのか?」
「うん。知ってるも何も…今、仲良く一緒に暮らしてるから」
「えっ!?」
「……なーんて。びっくりした?」
「あ、ああ…、まあな…」
「でも、僕が柚月ちゃんのおうちに居候させてもらってるのは、ほんと」
「そうなのか…!?」
「っ、あはは、そんなに驚いちゃう?」
「いや…、その、居候って、結局は一緒に住んでるってことだろ?」
「あの子と僕の関係が気になる?」
「…、そういうわけではないが…」
「あはは、そのわりには、気にしてそうだよ?」
「それは、先輩医師として藤沢と関わってるから…、」
「ふーん、そう」
当惑した自分をありありと見せつけてくれる久動さんの姿がツボに入って笑ってしまいながら、医局の方に目を配る。
「ねえ、そろそろ仕事に戻ったほうがいいんじゃない?」
「…あ、ああ、そうだな、つい話し込んでしまった。…とりあえずは、おまえが元気そうで良かったよ。今度また見かけたら声を掛けてくれよ?」
「気が向いたらね」
「ったく…。そういえば、おまえ、風邪を引きやすいうえに悪化させやすいんだから、普段からあまり無理するなよ?」
「そんなの平気だよ」
「平気じゃないから言ってるんだ。おまえはいつも根を詰めるところがあるからな…、もう少し自覚しろよ」
「なにそれ…、なんだか僕のお父さん見たい」
まだ若い久動さんに心から皮肉って言って見せたのに、目の前の堅物は全く意に介さずといった感じで。
「もしも何かあったら、おまえの親父にでもなんでもなってやるから、とにかく無理はするなよ?」
相変わらずの誠情を貫いて、少し心配そうに優しい笑みを広げて返した。
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