守りたいもの ・1

文字数 454文字

城崎さんの探偵事務所の建替工事が進む中、現場の進捗状況を見に行く彼について行くことになった。

正確には、非番だった私が、ちょうど大学病院へ行く用事があったために、
『車で送ってあげるから一緒に行こう』…と誘われたからだ。

「…失礼します」

バッグとノートパソコンを片手に、城崎さんが所有する車に乗り込む。

事務所兼居宅が全焼したとき、城崎さんはこの車で寝泊まりして過ごそうと考えたらしい。
大きなワンボックスカーなどではない、ステーションワゴンのシボレー。
長期間過ごすには窮屈で、体への負担も半端ないのは想像に難くない。

『つまらないこと考えないで、甘えられる人に甘えればいいんですよ』

思わず口を突いて出た私の言葉に、城崎さんは嬉しそうに笑っていた。

困っている人は放っておけないから。
そこは、父親譲りな思考だと思う。


でも、もしも居候する人が、城崎さん以外の人、だったら…?


ある程度許容して、今のようにその人と関わっていたのだろうか。


そんな選択肢を勝手に散りばめては、考え込んでしまう日々が続いている気がする、今日この頃。



ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

藤沢柚月(フジサワ ユヅキ)23歳

主人公

特異な経歴ゆえに若くして医師


H162cm

城崎咲也(キザキ サクヤ)26歳

私立探偵事務所の所長


H179cm

真鍋颯太(マナベ ソウタ)23歳
柚月の幼馴染


H170cm

石羽 響也(イシバ キョウヤ)27歳

柚月の友人


H175cm


久動 琉成(クドウ リュウセイ)28歳

柚月が勤める大学病院の先輩医師


H176cm

倉橋 舞雪(クラハシ マユキ)23歳

柚月の親友


H156cm

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み