不器用な心 ・3
文字数 570文字
「……『ごめんなさい』っていうのは、そのままの意味ですけど…」
「だから、どういった意味の?」
「…『どういった意味』とは?」
「一緒に行けなくて『ごめんなさい』っていう意味? それとも、別の意味での『ごめんなさい』?」
「別の意味って、どういう…、」
「せっかく芽生えた僕への気持ちを、断ち切ってしまう意味での『ごめんなさい』」
「———」
「…こっちの『ごめんなさい』なんだね」
「な、なにを意味不明なこと言って、」
「違うの? じゃあ、今のキミの表情がなんだか辛そうに見えるのも、僕の気のせいってことだね」
城崎さんはわずかに口角を引き上げると、自虐的に微笑んだ。
勘の鋭いこの人は、もうとっくに私の気持ちに気付いているのだろう。
「……」
芽ぐむ想いを追いやって身を引くなんて、きっとただの自己満足だし、舞雪にとって余計なお世話だということも心得ている。
でも、今の私には、それしか選択肢が浮かばないから。
「……、」
ファーコートのポケットに入ったままの車のキーを手で探りながら、これ以上は城崎さんと言葉を交わすことなく、その場を後にした。
「……」
急な仕事なんてでっち上げ。
なんの用事もない病院を目指すわけがなく。
「…さてと。どこに行こうかな…」
せっかくの休日に、あてのないドライブの地図を脳内で薄く描きながら、
少しの間、愛車の前でぼんやりと立ち尽くしていた。
→
「だから、どういった意味の?」
「…『どういった意味』とは?」
「一緒に行けなくて『ごめんなさい』っていう意味? それとも、別の意味での『ごめんなさい』?」
「別の意味って、どういう…、」
「せっかく芽生えた僕への気持ちを、断ち切ってしまう意味での『ごめんなさい』」
「———」
「…こっちの『ごめんなさい』なんだね」
「な、なにを意味不明なこと言って、」
「違うの? じゃあ、今のキミの表情がなんだか辛そうに見えるのも、僕の気のせいってことだね」
城崎さんはわずかに口角を引き上げると、自虐的に微笑んだ。
勘の鋭いこの人は、もうとっくに私の気持ちに気付いているのだろう。
「……」
芽ぐむ想いを追いやって身を引くなんて、きっとただの自己満足だし、舞雪にとって余計なお世話だということも心得ている。
でも、今の私には、それしか選択肢が浮かばないから。
「……、」
ファーコートのポケットに入ったままの車のキーを手で探りながら、これ以上は城崎さんと言葉を交わすことなく、その場を後にした。
「……」
急な仕事なんてでっち上げ。
なんの用事もない病院を目指すわけがなく。
「…さてと。どこに行こうかな…」
せっかくの休日に、あてのないドライブの地図を脳内で薄く描きながら、
少しの間、愛車の前でぼんやりと立ち尽くしていた。
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