不器用な心 ・3

文字数 570文字

「……『ごめんなさい』っていうのは、そのままの意味ですけど…」
「だから、どういった意味の?」
「…『どういった意味』とは?」
「一緒に行けなくて『ごめんなさい』っていう意味? それとも、別の意味での『ごめんなさい』?」
「別の意味って、どういう…、」
「せっかく芽生えた僕への気持ちを、断ち切ってしまう意味での『ごめんなさい』」
「———」
「…こっちの『ごめんなさい』なんだね」
「な、なにを意味不明なこと言って、」
「違うの? じゃあ、今のキミの表情がなんだか辛そうに見えるのも、僕の気のせいってことだね」

城崎さんはわずかに口角を引き上げると、自虐的に微笑んだ。

勘の鋭いこの人は、もうとっくに私の気持ちに気付いているのだろう。

「……」

芽ぐむ想いを追いやって身を引くなんて、きっとただの自己満足だし、舞雪にとって余計なお世話だということも心得ている。

でも、今の私には、それしか選択肢が浮かばないから。

「……、」

ファーコートのポケットに入ったままの車のキーを手で探りながら、これ以上は城崎さんと言葉を交わすことなく、その場を後にした。



「……」

急な仕事なんてでっち上げ。

なんの用事もない病院を目指すわけがなく。

「…さてと。どこに行こうかな…」

せっかくの休日に、あてのないドライブの地図を脳内で薄く描きながら、
少しの間、愛車の前でぼんやりと立ち尽くしていた。



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登場人物紹介

藤沢柚月(フジサワ ユヅキ)23歳

主人公

特異な経歴ゆえに若くして医師


H162cm

城崎咲也(キザキ サクヤ)26歳

私立探偵事務所の所長


H179cm

真鍋颯太(マナベ ソウタ)23歳
柚月の幼馴染


H170cm

石羽 響也(イシバ キョウヤ)27歳

柚月の友人


H175cm


久動 琉成(クドウ リュウセイ)28歳

柚月が勤める大学病院の先輩医師


H176cm

倉橋 舞雪(クラハシ マユキ)23歳

柚月の親友


H156cm

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