苛立ちのメカニズム ・6
文字数 573文字
「夜の街って、昼間よりもリスクが多いからね」
「…ご心配なく。大丈夫ですから」
「どうして? 颯太が一緒だから?」
「そういうわけではなくて。…いつも行ってるカフェですよ? 場所が場所だけに、一人でも問題ないということです」
「行き慣れた場所だとしても、女の子の夜遅くの遊びでの外出はオススメできないよ」
「女の子って…、もう子供じゃないんですから」
呆れたように反論した私に、城崎さんは肩を竦めて失笑に似た笑みを滲ませた。
「だから、心配なんだけど?」
「…え?」
「キミが魅力的な大人の女性だから、普通に心配するんだけど?」
「そ…っ、そういうこと、平然と言わないでもらえます?」
「どうして?」
「…なんか…、……調子、狂うので」
「僕は思ったことを正直に言ったまでだよ」
「……」
「…、僕のことが、気に入らない?」
「…、いえ…」
短い返事だけを示すのが精一杯で。
そう、きっと。
最初に会ったときから気に入らないから。
否定という社交辞令だけで止めておかないと、色々と暴発しそうで。
「…行こう、颯太」
「お、おう…」
わずかにたじろぐ颯太の表情は紛れもなく、この張り詰めた空気に動揺を隠せない心の表れで。
それを申し訳なく思いながらも、今は城崎さんとは視線を合わせない。
「……」
「……」
広いリビングでひとりぼっちになる城崎さんを置き去りにして、私は颯太とともにその場を後にした。
→
「…ご心配なく。大丈夫ですから」
「どうして? 颯太が一緒だから?」
「そういうわけではなくて。…いつも行ってるカフェですよ? 場所が場所だけに、一人でも問題ないということです」
「行き慣れた場所だとしても、女の子の夜遅くの遊びでの外出はオススメできないよ」
「女の子って…、もう子供じゃないんですから」
呆れたように反論した私に、城崎さんは肩を竦めて失笑に似た笑みを滲ませた。
「だから、心配なんだけど?」
「…え?」
「キミが魅力的な大人の女性だから、普通に心配するんだけど?」
「そ…っ、そういうこと、平然と言わないでもらえます?」
「どうして?」
「…なんか…、……調子、狂うので」
「僕は思ったことを正直に言ったまでだよ」
「……」
「…、僕のことが、気に入らない?」
「…、いえ…」
短い返事だけを示すのが精一杯で。
そう、きっと。
最初に会ったときから気に入らないから。
否定という社交辞令だけで止めておかないと、色々と暴発しそうで。
「…行こう、颯太」
「お、おう…」
わずかにたじろぐ颯太の表情は紛れもなく、この張り詰めた空気に動揺を隠せない心の表れで。
それを申し訳なく思いながらも、今は城崎さんとは視線を合わせない。
「……」
「……」
広いリビングでひとりぼっちになる城崎さんを置き去りにして、私は颯太とともにその場を後にした。
→