苛立ちのメカニズム ・6

文字数 573文字

「夜の街って、昼間よりもリスクが多いからね」
「…ご心配なく。大丈夫ですから」
「どうして? 颯太が一緒だから?」
「そういうわけではなくて。…いつも行ってるカフェですよ? 場所が場所だけに、一人でも問題ないということです」
「行き慣れた場所だとしても、女の子の夜遅くの遊びでの外出はオススメできないよ」
「女の子って…、もう子供じゃないんですから」

呆れたように反論した私に、城崎さんは肩を竦めて失笑に似た笑みを滲ませた。

「だから、心配なんだけど?」
「…え?」
「キミが魅力的な大人の女性だから、普通に心配するんだけど?」
「そ…っ、そういうこと、平然と言わないでもらえます?」
「どうして?」
「…なんか…、……調子、狂うので」
「僕は思ったことを正直に言ったまでだよ」
「……」
「…、僕のことが、気に入らない?」
「…、いえ…」

短い返事だけを示すのが精一杯で。

そう、きっと。
最初に会ったときから気に入らないから。

否定という社交辞令だけで止めておかないと、色々と暴発しそうで。


「…行こう、颯太」
「お、おう…」

わずかにたじろぐ颯太の表情は紛れもなく、この張り詰めた空気に動揺を隠せない心の表れで。
それを申し訳なく思いながらも、今は城崎さんとは視線を合わせない。

「……」
「……」

広いリビングでひとりぼっちになる城崎さんを置き去りにして、私は颯太とともにその場を後にした。



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登場人物紹介

藤沢柚月(フジサワ ユヅキ)23歳

主人公

特異な経歴ゆえに若くして医師


H162cm

城崎咲也(キザキ サクヤ)26歳

私立探偵事務所の所長


H179cm

真鍋颯太(マナベ ソウタ)23歳
柚月の幼馴染


H170cm

石羽 響也(イシバ キョウヤ)27歳

柚月の友人


H175cm


久動 琉成(クドウ リュウセイ)28歳

柚月が勤める大学病院の先輩医師


H176cm

倉橋 舞雪(クラハシ マユキ)23歳

柚月の親友


H156cm

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