初めまして…? ・4
文字数 594文字
「急ぐので、失礼しますっ」
「あ。お出かけするんだったね」
悪びれる様子のない、むしろ楽しそうな笑顔。
それを見ていたら、むくむくと苛立ちが込み上げた。
「…可愛いね、柚月ちゃん」
「っ、そんなことはないですっ」
「照れてる。やっぱり、思ってた通り」
「…、」
こういった類の人は、きっとまともに相手にしないほうがいい。
というか、できればこれ以上、関わりたくない。
「……」
むすっと口元を引き結んだまま、
無言の会釈という、一応は社会人の礼儀を示して、車に乗り込もうとした……のに。
「その不機嫌そうな態度…、なんだか引き留めたくなっちゃう」
「っ! ち、ちょっとっ、何するんですかっ」
突然手を掴まれて、盛大に狼狽してしまった。
「柚月ちゃんの手、温かいね」
「…、」
言いながら、私の手を包み込む大きな広い手。
少しだけひんやりとしていて、長くて整った滑らかな指をしているのに、逞しくて。
そして、感じたことのない不可思議な動揺が幾重にも広がる。
「あれ? もしかして、手を握られただけでも照れちゃう?」
「あ…あのですねっ、初対面の男性にこんなっ、こんな風に手を掴まれたら誰だって…、」
「誰もがみんな、ここまで照れるとは思えないけど?」
「たっ…、」
<楽しげに笑うなっ!>
…と、
思いのまま咎めることができたなら、どれほどスカッとするだろう。
さすがにそんなわけにもいかず、ぐっと言葉を飲み込んで、ただただ悔し気に唇を噛んだ。
→
「あ。お出かけするんだったね」
悪びれる様子のない、むしろ楽しそうな笑顔。
それを見ていたら、むくむくと苛立ちが込み上げた。
「…可愛いね、柚月ちゃん」
「っ、そんなことはないですっ」
「照れてる。やっぱり、思ってた通り」
「…、」
こういった類の人は、きっとまともに相手にしないほうがいい。
というか、できればこれ以上、関わりたくない。
「……」
むすっと口元を引き結んだまま、
無言の会釈という、一応は社会人の礼儀を示して、車に乗り込もうとした……のに。
「その不機嫌そうな態度…、なんだか引き留めたくなっちゃう」
「っ! ち、ちょっとっ、何するんですかっ」
突然手を掴まれて、盛大に狼狽してしまった。
「柚月ちゃんの手、温かいね」
「…、」
言いながら、私の手を包み込む大きな広い手。
少しだけひんやりとしていて、長くて整った滑らかな指をしているのに、逞しくて。
そして、感じたことのない不可思議な動揺が幾重にも広がる。
「あれ? もしかして、手を握られただけでも照れちゃう?」
「あ…あのですねっ、初対面の男性にこんなっ、こんな風に手を掴まれたら誰だって…、」
「誰もがみんな、ここまで照れるとは思えないけど?」
「たっ…、」
<楽しげに笑うなっ!>
…と、
思いのまま咎めることができたなら、どれほどスカッとするだろう。
さすがにそんなわけにもいかず、ぐっと言葉を飲み込んで、ただただ悔し気に唇を噛んだ。
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