苛立ちのメカニズム ・4
文字数 699文字
「なに言ってんの、ほんとのことだし」
「まあ、あれだな。俺と柚月は、一番恋人に近いっつうか…な?」
「幼馴染だよ、ただの」
「冷てーな、柚月ー!」
「あのさ…、今日もうちで自分の家みたいに朝まで過ごすんでしょうが。これだけ好きにさせてあげてるのに、これ以上甘やかしてどうするの」
柔らかに目元を緩めつつも、バッサリと窘める。
けれど、颯太はめげることなくニヤリと眦を下げて続けた。
「なあ、柚月。子どものときみたいに、一緒に寝る?」
「は…? 隣の部屋で寝なさい、いつもみたいにっ」
「えー、いいじゃんかー」
「ぜんっぜん良くないっ。下心丸出しのエロ青年に興味はない」
「ひどい言われようだっ。健全な青年と言ってくれ!」
「無理。口が裂けても言えないな」
甘えるように二の腕に絡みつく颯太を振り払うようにしながら、大袈裟に苦笑を貼り付けた。
子どもの頃からずっと、颯太とのこういったコントみたいな掛け合いは当たり前の日常で、正直、気楽でいい。
「二人とも、すごく仲がいいんだね」
「幼馴染なので、それなりに」
羨ましげなその低音にもう一度<幼馴染>を強調した言葉を返すと、城崎さんはからかいを含めて颯太の顔を覗き込んだ。
「あくまで幼馴染だって、颯太。だから仲良しなんだね」
「咲也くんにまで言われなくても、最初から分かってるしっ」
「ふふっ、ちゃんと分かってるならそれでいい」
笑いを零しながらそう付け加えると、颯太はむくれたように唇を尖らせたけど。
つん…と指先でそれを弾いてやれば、途端に浮かれたように機嫌がよくなる。
「……」
そんな、まるで飼い慣らされた犬のような颯太の姿を目にした城崎さんは、やれやれと言った風な笑みを口角に刻んだ。
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「まあ、あれだな。俺と柚月は、一番恋人に近いっつうか…な?」
「幼馴染だよ、ただの」
「冷てーな、柚月ー!」
「あのさ…、今日もうちで自分の家みたいに朝まで過ごすんでしょうが。これだけ好きにさせてあげてるのに、これ以上甘やかしてどうするの」
柔らかに目元を緩めつつも、バッサリと窘める。
けれど、颯太はめげることなくニヤリと眦を下げて続けた。
「なあ、柚月。子どものときみたいに、一緒に寝る?」
「は…? 隣の部屋で寝なさい、いつもみたいにっ」
「えー、いいじゃんかー」
「ぜんっぜん良くないっ。下心丸出しのエロ青年に興味はない」
「ひどい言われようだっ。健全な青年と言ってくれ!」
「無理。口が裂けても言えないな」
甘えるように二の腕に絡みつく颯太を振り払うようにしながら、大袈裟に苦笑を貼り付けた。
子どもの頃からずっと、颯太とのこういったコントみたいな掛け合いは当たり前の日常で、正直、気楽でいい。
「二人とも、すごく仲がいいんだね」
「幼馴染なので、それなりに」
羨ましげなその低音にもう一度<幼馴染>を強調した言葉を返すと、城崎さんはからかいを含めて颯太の顔を覗き込んだ。
「あくまで幼馴染だって、颯太。だから仲良しなんだね」
「咲也くんにまで言われなくても、最初から分かってるしっ」
「ふふっ、ちゃんと分かってるならそれでいい」
笑いを零しながらそう付け加えると、颯太はむくれたように唇を尖らせたけど。
つん…と指先でそれを弾いてやれば、途端に浮かれたように機嫌がよくなる。
「……」
そんな、まるで飼い慣らされた犬のような颯太の姿を目にした城崎さんは、やれやれと言った風な笑みを口角に刻んだ。
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