第102話
文字数 528文字
重い沈黙が流れる。
深く淀んだ海が部屋中を支配すると、水嶋はいたたまれなくなり、再び外の空気を吸いたくなった。そこで美穂子をベランダに誘う。
二人はもう一度ベランダに出ると、彼女はバッグからメンソールを取り出して、ライターを灯した。
水嶋もついでに一服した。箱の中は残り一本となった。
ふと、自分の行おうとしていることに疑問を感じた。
無理して真相を探るよりも、このまま何も無かったかのように、笑顔でさよならした方が、互いのためではないだろうか。
だが、それは出来ない。
たとえどんな理由があろうとも、五人もの人間が犠牲になっているのだ。彼らの気持ちをおもんばかれば、このままで良いはずはない。
思い切って美穂子の手を握り、瞳の奥を見据えた。もちろん煙草のせいで心を読むことなど出来やしない。しかし、その必要はなかった。
やがて雨がパラつきだすと、中に入ろうと腕を引くが、美穂子はそれを振りほどき、このままで良いのと呟いた。
仕方がなくベランダに留まることにして、最後の一本煙草をくわえる。
「きみも超能力者なんだろう?」
確信めいた水嶋の問いかけに、美穂子は……。
美穂子がベランダから身を投じたのは、水嶋がポインセチアを出てから、すぐのことだった……。
深く淀んだ海が部屋中を支配すると、水嶋はいたたまれなくなり、再び外の空気を吸いたくなった。そこで美穂子をベランダに誘う。
二人はもう一度ベランダに出ると、彼女はバッグからメンソールを取り出して、ライターを灯した。
水嶋もついでに一服した。箱の中は残り一本となった。
ふと、自分の行おうとしていることに疑問を感じた。
無理して真相を探るよりも、このまま何も無かったかのように、笑顔でさよならした方が、互いのためではないだろうか。
だが、それは出来ない。
たとえどんな理由があろうとも、五人もの人間が犠牲になっているのだ。彼らの気持ちをおもんばかれば、このままで良いはずはない。
思い切って美穂子の手を握り、瞳の奥を見据えた。もちろん煙草のせいで心を読むことなど出来やしない。しかし、その必要はなかった。
やがて雨がパラつきだすと、中に入ろうと腕を引くが、美穂子はそれを振りほどき、このままで良いのと呟いた。
仕方がなくベランダに留まることにして、最後の一本煙草をくわえる。
「きみも超能力者なんだろう?」
確信めいた水嶋の問いかけに、美穂子は……。
美穂子がベランダから身を投じたのは、水嶋がポインセチアを出てから、すぐのことだった……。