第11話
文字数 706文字
居ても立ってもいられずに腰を上げたものの、どうしていいのかわからず、雑誌やCDの散乱した室内を歩き回っては、時々、足を止めて天井を見やる。
『たすけて』。その四文字が何度もこだまし、焦燥が背中を震わせた。
水嶋は確信していた。これは決して事故や自殺でない。でなければ、あんなメッセージを残すわけがない。彼女自身、助けを求めたのは、意識的では無かったかもしれないが、水嶋の心に深く刻み込まれたのは紛れもない事実だった。
不意に、一緒にいた男の顔が浮かんだ。彼は幸田志穂の愛人であるのは間違いなく、彼こそが自殺に見せかけて突き落とした張本人ではないだろうかと疑わざるを得ない。
しかし確固たる証拠があるはずもなく、たとえ警察に話したところで信じてはくれまい。ただでさえ占い師という胡散臭い職業の戯言(ざれごと)を、誰が信用するというのだろう。
こうなったら自分で調べるしかないと、すぐさまノートパソコンを開き、片っ端から情報を集めていく。
ネットニュースを検索していくうちに、とある記事にふと手がとまる。匿名の掲示板に志穂のマンション名とその住所が掲載されていたのだ。マンションの名前は『ポインセチア』。おそらくニュース映像から割り出したのだろう。もちろんフェイクの可能性も否定できないが、今はそれにすがるしかない。
スマートフォンのナビアプリを起動させると、掲示板にあったポインセチアの住所を迷うことなく打ち込んだ。
速攻で着替えを済ませると、食べかけの朝食をそのままに部屋を出て、階段を下る。
駐車場にとめてある軽自動車に乗り込んでエンジンをかけ、ハンドルに力を込めながらポインセチアのある板橋区へと向かった。
『たすけて』。その四文字が何度もこだまし、焦燥が背中を震わせた。
水嶋は確信していた。これは決して事故や自殺でない。でなければ、あんなメッセージを残すわけがない。彼女自身、助けを求めたのは、意識的では無かったかもしれないが、水嶋の心に深く刻み込まれたのは紛れもない事実だった。
不意に、一緒にいた男の顔が浮かんだ。彼は幸田志穂の愛人であるのは間違いなく、彼こそが自殺に見せかけて突き落とした張本人ではないだろうかと疑わざるを得ない。
しかし確固たる証拠があるはずもなく、たとえ警察に話したところで信じてはくれまい。ただでさえ占い師という胡散臭い職業の戯言(ざれごと)を、誰が信用するというのだろう。
こうなったら自分で調べるしかないと、すぐさまノートパソコンを開き、片っ端から情報を集めていく。
ネットニュースを検索していくうちに、とある記事にふと手がとまる。匿名の掲示板に志穂のマンション名とその住所が掲載されていたのだ。マンションの名前は『ポインセチア』。おそらくニュース映像から割り出したのだろう。もちろんフェイクの可能性も否定できないが、今はそれにすがるしかない。
スマートフォンのナビアプリを起動させると、掲示板にあったポインセチアの住所を迷うことなく打ち込んだ。
速攻で着替えを済ませると、食べかけの朝食をそのままに部屋を出て、階段を下る。
駐車場にとめてある軽自動車に乗り込んでエンジンをかけ、ハンドルに力を込めながらポインセチアのある板橋区へと向かった。