第206話 競う店街、笑店街

文字数 953文字

「落書き無用よ」
 マリアたちは某県の駅前通りに来ていた。見事なまでのシャッター街である。

「いくらなんでも、人様のシャッターにペイントしないよ」
 常識は弁えているメシヤ。探索という名の冒険に来ている。

「この数年で、飲食店は大打撃でしたものね」
 レマの表情が曇る。

「それもあるが、以前からシャッター街は社会問題になっている。郊外の大型ショッピングセンターとの関連は、即断できないところだがな」
 イエスは奥歯にものが挟まったような物言いだ。

「おかげ横町とかはすごく繁盛してるけド、ああいうのをモデルケースに出来ないかナ?」
 裁紅谷姉妹は、表向き銃を携行していないことになっている。

「そうよね! シャッター街って駅前の一等地だし、やりようによってはもっと活気が出て良さそうなものだけど」
 立地は申し分ない。

「近接に大きい駐車場は絶対必要だよね。車が停められないストレスでそうした密集地を避ける人もいるしさ」
 願わくば、立体駐車場よりも平面駐車場を。

「城下町の食べ歩きも人気ですが、美味しい食べ物屋さんの出店は、どんどんやってほしいですわ!」
 名勝・旧跡よりも、グルメが目的になっているレマ。

「おみやげもの屋さんもせっかくだかラ、地域の特色を出してもらいたいネ」
 最大公約数的な商品では、変わり映えしない地方のチェーン店になってしまう。

「そのためには出店のハードルを下げないとな。厳しい制約や提出書類が多いと、それだけでやる気をそがれ、活気からは遠のいてしまう」
 楽市楽座の成功例は、現代でも学ぶべきところがたくさんある。

「マニアックな店を増やしてほしいよね。ここでしか買えない、みたいなさ」

 模型ショップに工具店。軽食に磁器・陶器のお店。時計・宝石、紳士服に革製品。レトロショップでアンティーク趣味が流行するだろう。クリニックに法律事務所でトラブルも解決。不動産会社に駆け込めば、数日後にその街の住人になれる。ドラッグストアに理髪店で小綺麗に。魚屋・八百屋、お花にスイーツ。ブティックに写真館、書店に文房具。PCショップにパーツ屋。自動車・バイク販売店、整備屋。工務店に旅館もあれば、そこですべてこと足りる。商談はこじゃれた喫茶店で、バナナジュースエスプレッソかアインシュペナーを注文すれば、うまくまとまるだろう。



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