第136話 ニュー・エコノミー

文字数 708文字

「メシヤ、麻生田(おうだ)(すすむ)経産大臣は、鷹山内閣に無くてはならない逸材だな」
 イエスが政治談義を始める。

「僕も著書を読んだよ。日本は経済大国にもかかわらず、なぜこんなにも国民の生活が苦しいのかって切り口で、夢中になったなあ」
 御用学者ではこうはいかない。

「国力ということでいえば、円高のほうが絶対に望ましいんだ。だがこういうことを言うと、かならず袋叩きに遭う」
 輸出企業には円安が望ましいと言われているが、あの大手自動車会社が最大利益を出したのは、円高真っ最中のことであった。

「麻生田大臣は、税制改革も行っているね。消費税は批判にさらされるけど、消費税を20%に上げて税金を一本化するってアイデアは名案だと思う。その他の税金が要らなくなるのは魅力的だよ」

「そう。所得税やその他の税では、取り損なっている税金がうんとあるんだ。アンダーグラウンド経済とかな。消費税なら必ず徴収できるし、税の不公平感は少ない。明細を見てどっちが得かはすぐ答えが出るはずだ」
 所得隠しや節税などの問題も、これで解消される。

「事務的な負担も大幅に減るよね。一説では、1%上げると2兆円の税収アップになるらしいけど、それ以上の効果があるかもね」
 控除の計算方法はとても複雑で分かりにくい。消費税一本化なら、これは交際費か、必要経費かといちいち腹をさぐられることもなくなる。

 海外企業が日本に進出して、税金は本国に納めているというケースも多々ある。だが、消費税なら日本国内でモノを買わないわけにはいかないので、そうしたことへの対策にも繋がる。

「俺も消費税は反対派だったんだが、その他の税を取っ払うなら話は違ってくる」
「うん。人頭税のほうがよっぽど悪税だね」





ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み