第97話 ノリ・メ・タンゲレ(われに触れるな)

文字数 723文字

 メシヤは三種の神器のエメラルドタブレットを、バックパックに装着している。背面に嵌め込む形になっていて、バックパックを下ろした後にそのまま作業台として嵌めたまま使えるようになっている。

 メインコンパートメントにはタブレットを、そしてサイドのフロントアクセスには、スライド式キーボードを仕込んでいる。エメラルドタブレットのキーボードはホログラフィー方式だが、他の端末を使うこともあり、このスタイルに落ち着いた。

 画面を露出させていると、転倒したときやモノにぶつけたときに割れてしまうので、バックパックの背面は、タブレットのスペース分だけ強化ガラスでカバーできるような仕組みになっている。

 妹のマナも羨ましがって、ピンクのランドセル背面に、自分のタブレットを取り付けるように細工した。

 すると、これが学校中に広まり、やがて北伊勢市内の小学生は、タブレット脱着式のランドセルを身にまとうようになった。ランドセルメーカーも自社でタブレット装着型の商品を発売するまでにいたった。

 これは防犯上や、交通事故防止の観点からも役に立つ。子供は後ろに注意が行かないものだが、不審者が近づいてきたときのブザー音、車が接近してきた際の警告音を出せる機構になっている。

 一時期、車で電飾によるメッセージ表記の可否が論じられたことがあったが、デタッチャブルランドセルには、ピクトグラムのようなものを全画面で表示させることが検討されはじめた。

 北伊勢市内の小学校では、カラフルなランドセル・傘・服装が推奨されていた。彼らが固まって歩いていると、とても目立つので、ドライバーにも安全上の注意を喚起されやすい。

「マナ、気をつけて行ってこいよ」
「お兄ちゃんこそ、そろそろ起きて!」




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