第182話 銀河は星のミスマル

文字数 951文字

「冬と言えばスターウォッチングだよね」
 濃紺の星空を見上げれば、微笑みがこぼれ落ちる。

「あれが冬の大三角形ね」
 夜の九時頃、南の空には、おおいぬ座のシリウス・こいぬ座のプロキオン・オリオン座のベテルギウスが、神聖なるトライアングルを描いている。

「冬の大六角形もあるんだよネ」
 エリの心が光の矢を放つ。

「そうそう。おうし座のアルデバラン・ぎょしゃ座のカペラ・ふたご座のポルックス・こいぬ座のプロキオン・おおいぬ座のシリウス・オリオン座のリゲルから成るんだけど、ぜんぶ一等星なんだ」
 英語でWinter Hexagonと呼ばれる。ちなみに、星一徹が指し示した漫画のコマから、巨人の星を割り出した人がいて、プロキオンだとする説も存在する。アルデバランから東回りにスタートして、リゲルで曲がってベテルギウスまで一筆書きすると、Gの形になるのは奇妙な符合である。

「アルデバランが見つかれば、ヒアデス星団とプレアデス星団もすぐ見つかりますわね」
 アルデバランの右隣にヒアデス、おうし座の肩付近にプレアデスが配置される。

 プレアデス星団(別名すばる)は、六連星(むつらぼし)とも呼ばれるが、実際は200以上の星から成る散開星団である。

「なんかさ、あたしたちがすばるよりもずっとずっと遠いヒミコのデスヘヴンに居たんだって、にわかには信じられないわね」
 ヒミコはくじら座の方向、130億光年の彼方に存在する。

「本当にあった出来事ですよ、マリアさん」
 レオンの年齢がヒミコよりもはるかに上だと知ったら、さすがのマリアも驚くだろう。

「レオンくん、焼き直しをした臥龍剣と鳳雛剣なら、また他の天体に行けるんだよね?」
 前回デスヘヴンに行ったメシヤたちは、数ヶ月を向こうで過ごしたのだが、地球に帰ってきたときは何日も経過していないという現象が起こった。キャッチコピーではないが、メシヤたちはすでに時空を支配し始めている。

「地球の変革を起こすなら外宇宙から、ですよ」
 明治維新の日本を想起させる。

 メシヤたちの行動は、表沙汰には出来ない。星間パスポートにのみ、記載される。

 天空には冬の大六角形が圧倒していたが、メシヤの小宇宙には16芒星がシンボライズされていた。メシヤが雌伏の時は、淋しい勉強部屋から、無力な抒情を吐き出していた。







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