第13話 ゆく河の流れは絶えずして

文字数 546文字

「ウェイトトレーニングでもしてるノ?」
 エリは素朴な疑問を口にした。

「いや、僕はウエイトはやらないよ。断然自重トレーニング派だね」
「でモ、それだけでそんな体になれル?」

「ウチの庭に鉄棒とか公園にあるような遊具があってさ。イエスんとこの工務店で工事してもらったんだけど、これで鍛えるとすごく効くんだよ」
 メシヤのトレーニング法はいわゆるキャリステニクスと呼ばれる自重トレーニングだ。ウエイトリフターのような大きな体ではないが、凹凸があり、かつナチュラルな筋肉だ。

「イエスはバリバリ、ジムトレーニング派だけどね」

 メシヤは全身を川に浸し、くるくる横回転した。
洗礼(バプテスマ)だネ」
「おっ、ホントだ。アーメン。なんてね」
「ふふッ」

 メシヤは左腰に差している臥龍剣が反応しないのを確認してから、右手でそっと抜いた。たちまち美しい水龍が銀の柄から立ち昇る。
「おオ~」
 エリが口を丸くして拍手する。

 だが、柄は点滅している。どうやら、これ以上は水をチャージできないらしい。
 チャージ量をもっと多くするには、何か条件が必要のようだ。みそじ滝では勢いに任せて無我夢中だったが、あの時ほど巨大な水龍は出せなかった。まだ自由にコントロールできるには至っていない。
 左手で柄を持つと、水龍は消えてしまった。

「さっ、戻ろうか」

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