第132話 マウントには橋を架ける

文字数 769文字

「ネットではすぐマウント合戦が始まるね」
 メシヤは綺麗事を言いたいわけではないが、噛み合った話でないとフラストレーションがたまる。

「まあ、しょうがないんじゃない? 人間の本心を垣間見れる貴重な場だと思うけど」
 さすがのマリアもネット空間上の罵詈雑言には及ばない。

「メシヤさま。マウントに対しては、相手の心のフィールドに橋を架けることが重要だと思いますわ」
 レマは大人である。

「実際、マウントポジションにはブリッジで対処するものなんだヨ、メシヤ」
 小柄なエリに大男が乗っかったら脱出できなさそうなものだが、体が小さいことは防御上有利に働く。

「へえ。マウント取られたらもう決着がついたようなイメージがあるけど、そうなんだ」
 格闘技を見るのが好きなメシヤも興味を持った。

「試してみル?」
 ジト目で不敵な笑みを浮かべるエリ。

「ちょっと! エリちゃんにまたがるなんて破廉恥な真似は許さないわよ!」
 マリアのツッコミで、裁紅谷姉妹が実演することになった。


「レマ、OKだヨ」
 エリの上にレマがマウントポジションを取る。普通に揺さぶるだけでは外れそうにもない。

「本当に抜けれるのかしら」
 マリアが見守る。

 エリがレマの左腕を両手で固めて、レマの左足を右足でロックする。頭を傾けてブリッジすると、半回転して簡単に体勢が入れ替わった。

「うわっ、すごい!」
 メシヤが目をパチクリさせた。

「これは使えるわね」
 マリアの発言にギョッとするメシヤ。

「何に使うんだよ!」
 丸くなったとはいえ、六天小学校の悪鬼羅刹(あっきらせつ)と言われたマリア。

 マウントに対しては、相手にしないというのも一つの方法だろう。だが、それが近縁者の場合は避けることが難しい。相手がどう言ったか、何をしたかに対処せざるを得ないが、それらのプレッシャーを緩和するには、相手を知り、橋を架けることが有効である。








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