第188話 お眼鏡に敵う?

文字数 899文字

「あたたかくなって来たからか、虫が出て来たわね」
 虫でびびるようなマリアではないのだが。

「このあいだ目に虫が入ってさ、大変だったよ」
 指でこするより、洗面器に顔を浸けたいところだ。

「眼鏡をしていれば虫も入りませんが、メシヤさまには裸眼でいてほしいですわ」
 眼鏡を掛けるとインテリに見える、というガラでもない。

「日本人ってサ、眼鏡率高いよネ!」
 データでは、日本人の7000万人が眼鏡を掛けているとのことだ。

「こういうラノベでは、キャラの描き分けのために必ず眼鏡キャラがいるはずなんだがな」
 作者が眼鏡属性では無いことが、関係しているかも知れない。

「スマホ老眼なんて社会問題になってるけど、医学が進歩してもこんな現状なのは、一体どういうことかしら?」
 マリアは両目とも2.0である。

「こういう時って、まずインターネットで検索に掛けるじゃん? でもさ、それが本当に効果的な方法かどうかは、疑問な時があるよ」
 専門家と称する人物が話の根拠とする原典を示すこともあるが、さかのぼればその論拠と対立する原典が出て来ることは、珍しくない。

「目の疲れにはこのマッサージをすると良い、といくつか出て来ますね」
 レマが素早くスマホを操作した。

「うん。ところがさ、一番効くマッサージ法がなぜか除外されてるんだ。しかもそれをすると危ないなんて書き方をされてる」
メシヤも2.0である。

「どうやってするノ?」
ぱっちり目のエリが尋ねる。

「人差し指・中指・薬指の三本で、目を閉じたまぶたを刺激するんだ。気持ちよく感じる程度に押す強さを調節するといいよ」
メシヤが実演して見せた。

「ホントですわ! これ、すごく気持ちいいです!」
レマも同じ動きを繰り返す。

「医者がオススメしていない訳だから、自分でやってみたその感覚を信じるしか無いな」
そう言いつつも、イエスもこのマッサージが気に入ったようだ。

「あんた、これどこで知ったの?」
片目ずつ視界の見え具合を試しているマリアが、質問した。

「一家に一冊持ってると言われていた、戦前・戦後のベストセラー、『実際的看護の秘訣』だよ」
 別名、『赤本』。目を酷使する受験生にも、大いに役立つことだろう。






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