第195話 FAX必要論

文字数 583文字

「来た来た♪」
 めし屋フジワラにはFAXが据え付けてある。

「メシヤはFAX現役なんだネ!」
 メシヤがメーカーに依頼した調理器具のスケッチが、事細かにペン入れされて返ってきた。
「FAXと言えば、生放送中に似顔絵イラストが送られて来たりするのが、風物詩でしたわ」
 レマの年齢詐称疑惑が噴出した。

「あんたOS作るくらいなのに、FAX使うのね」
 FAX不要論がささやかれる昨今だ。

「図面管理システムを使えば好きな時に見られる。それはありがたいんだが、また違った用途で俺もFAXは使いたい。図面も結局はプリントアウトするしな」
 仕事の伝達をメールでやり取りしたとして、その指示内容を実行するときに、やはり紙で手元にあったほうが具合はよくないだろうか。

「わたくしも職務内容をアプリでやり取りするのですが、既読が付いて処理されないまま時間が過ぎると忘れ去られることがあります」
 なんとも頼りない上司を持ったものだ。

「これってさ、デジタルに疎いからFAXしか扱えないなんて話にすり替えられてるけど、いささか強引な主張だと思うよ」
 アプリで連絡を取るにしても、顔を合わせた回数が増えるほど、連携がスムースになる。

 メシヤの料理を待っているあいだにも、次から次へとFAXが流れてくる。メシヤは方々にFAXを送信していた模様だ。

「ちょっと、ちょっと! あんた、ダチあいてんじゃないの!?」






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