第12話 第三幕への間奏曲
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オペラの会場には、どこの席からも見える字幕が用意されており、日本語で鑑賞することができます。
今日三人が観ているホールでも、電光掲示板が持ち込まれて日本語訳が表示されています。
こちらを元にした、西部劇風ハリウッド映画もあります(1948年。主演はリタ・ヘイワ―ス)。
しかしメイヤックとアレヴィは、この作品のオペラ化に当たって残酷描写をぐっと減らしました。そしてカルメンと対照的なもう一人のヒロイン、ミカエラを作り出すなど、多くの改変も行いました。これにより感情移入が容易になり、ヒットの土壌が生まれたのです。
今日のオペラ界での人気は、二人の台本作家によるところが大きいですね!
そうなの!
ビゼーは最初「セリフを話すバージョン」の方、いわゆる「オペラ・コミック版」で『カルメン』を作ったんだ。
『カルメン』は物語が過激なだけに、初演は(特に批評家には)不評だったことが知られています。でもお客さんは最初からかなり楽しんでいて、劇場側は手ごたえを感じました。
だからもっとお客さんを呼べるようにと、後年セリフをレチタティーヴォに改めた「グランド・オペラ版」が作られました。
大ヒットしたのはこっちの方! やっぱり全部が歌になっているものの方がオペラらしくて、ゴージャスな感じがするもんね。
喜歌劇とも訳され、民衆的な歌芝居に端を発したもの。初期には滑稽で軽いものが多く、フランス革命前には痛烈な風刺精神で人気を博しました。後期になるとシリアスなものが増え、単純にセリフを含むオペラの総称になりました。
叙唱と訳され、語るように歌われる部分です。多くのオペラでは、レチタティーヴォで状況を説明し、アリア(詠唱)で感情を表現します。レチタティーヴォでは楽譜にテンポやリズムが記されている場合でも、歌手は自由に歌うことが許されています。
しっとりとした、抒情的な音楽。これも名曲とされているよ
激しい曲ばかりの『カルメン』の中で、清涼剤のような爽やかな一曲です。
今はぎゅっと抱き合っているカルメンとホセ。
束の間の、二人の恋と安息が感じられますね。
ベルリン・フィルの演奏でお楽しみ下さい!