第30話 「時が経って美貌があせれば」
文字数 1,978文字
ジェルモンにアルフレードと別れるよう命令され、ショックのあまり半狂乱になるヴィオレッタ。
ヴィオレッタの目から、涙がボロボロとあふれ出ます。
ヴィオレッタは何度も訴えますが、ジェルモンは聞く耳を持ちません。
「死」の言葉も、混乱したがゆえの、ものの例えだと思うのです。
これは神様の意思だと聞かされ、ヴィオレッタはそれ以上反論できなくなります。
本当だよね。ウサギも悔しいし、悲しいよ……。
でもジェルモンの言い分に、説得力を覚える人も多いはず。祝福されない結婚というのは、どうしても困難の多い道になっていくから。
身分の隔たりが厳しかった時代、こういうことはいくらでもあったんじゃないかな
ヴィオレッタの悲痛な叫び。
ここで表題の「つまづいた女」という言葉が初めて出てきます。
「時が経って美貌があせれば」は、言うことを聞かないヴィオレッタを説得するための、残酷な歌です。
しかし歌詞の内容には真実味があり、メロディーにも耳に残る強さがあります。
運命を受け入れる覚悟をしたヴィオレッタ。自分が愛を諦めるしかないのです。
次に歌われるのが「美しく清らかなお嬢さんに伝えてくださいね」という曲です。
泣き崩れるヴィオレッタ。
ジェルモンは言われた通り、ヴィオレッタを抱きしめます。
その後、ヴィオレッタは毅然として、一通の手紙を書き始めます。
ジェルモンに内容を聞かれますが、明かせません。
ただ、この覚悟のほどは分かってもらいたい。その悲痛な叫びを口にします。
首を振るジェルモン。
ジェルモンが去った後、泣きながら手紙を書くヴィオレッタ。
ベルを鳴らし、アンニーナを呼びます。
そして、今度こそアルフレードに別れの手紙を書くのです。
テーブルに向かい、ほとんど号泣しながら……
それは後で分かることなんだけど……確かに何通もの手紙が出てくるので分かりにくい部分だよね。ここだけ先に明かしちゃいましょう!
一度は縁を切ったドゥフォール男爵に、よりを戻して欲しいと頼む手紙なのです。アンニーナは事情を知っているから、戸惑ったんだね