第1話 今日はオペラの鑑賞日

文字数 1,262文字

今日はあおぞら市文化会館大ホールにて、オペラ『カルメン』が上演される日です。

連れ立って会場へ向かう、ウサギ、サバ、クッキーの三人。

あ~、めんどくさ。

何だってこのオレが、オペラなんか見に行かなくちゃいけねえんだ。興味もないのに。

サバ君てば文句言わないの。今日は君のお母さんも出演するんでしょ?

せっかくの晴れ舞台、応援してあげなくちゃ!

サバ君のお母さんは、音大出なんだよね~!
そういうクッキーちゃんのお父さんも、オーケストラの一員なんだよね
そうなの。あおぞら市民交響楽団で打楽器を担当してるよ。今日はシンバルを打ち鳴らします!
じゃ、『カルメン』前奏曲では大活躍ね。楽しみ~!
けっ。オンボロの会場に、二流以下のアマチュアオーケストラ。おまけにド素人のおっさんおばさんが歌うとあっちゃ、ろくな出し物じゃあるめえ……
サバ君! 三枚におろすわよ
(サバ君のモデルは、ここの作者の息子という説あり……)
会場に着いた三人。

入口には『カルメン』のポスターが貼られています。

(写真はヘルベルト・フォン・カラヤン制作のオペラ映画『カルメン』より。こんな感じと思って下さい)
受付でプログラムをもらいます。

文化芸術振興を標榜するあおぞら市では、基本的にアマチュアのコンサートは入場無料。

頑張ってるねえ~、あおぞら市(文化会館を建て直す費用もないのに)。

オペラの上演にはお金がかかるんだよね。助成金を出す方も大変なはず。

見て見て、ウサギさん!

プログラムによると、主役級の登場人物はプロの歌手がやるみたい。

ほんとだ! 藤原歌劇団の人だって。

すご~い。よく呼べたね。

これはお金を出すレベルの歌が聴けそうだよ!

オペラの歌って、そんなに良いものなの?
そうよお~。

本当に良い歌を聴いた時には、もう胸がいっぱいで泣いちゃうよ。生きてて良かったと思えるよ。オペラという至高の芸術があるのに、一度も聞かずに人生を終えるなんてありえなーい。

だからこのチャットノベル、あんな好戦的なタイトルをつけたわけか。
オペラ歌手が所属する団体。

東京近辺で有名なのは、イタリアオペラ、フランスオペラ中心の藤原歌劇団(を含む日本オペラ振興会)と、ドイツオペラ中心の二期会。それぞれ団体側がホールを使い、公演を行います。

他に、劇場側が主催する公演もあります。


今回のように、アマチュア団体が主催するイベントはまた別。主役級のキャラクターを演じるのは、アマチュア歌手には難しいので、プロに頼んだのでしょう。「オペラファンの裾野を広げるためなら」と、こうした催しに出演してくれる歌手の方もいらっしゃいます。


サバ君のお母さんは、何の役をやるのかな?
知るかよ、そんなの

「タバコ工場の女」の一人じゃないの? 第一幕に出てくるよ。


他にも、第二幕の酒場にたむろする人々、第三幕の密輸業者の人々、第四幕の闘牛場前の群衆。『カルメン』には、「その他大勢」が必要なシーンが多いんだ。

どうでもいいけどさあ~。

母ちゃんにはしくじらないで欲しいよ。オレが恥ずかしいじゃん?

サバ君のことなんて、だ~れも見てないから大丈夫!
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