第70話 お、お母さん⁉
文字数 2,051文字
第3幕 第5~6景
引き続き、大広間にて。
裁判官ドン・クルツィオを招いて、フィガロの裁判が始まっています。
原告マルチェッリーナ、ほかバルトロ、伯爵が立ち会っています。
いよいよお金か、結婚かの選択を迫られるフィガロ。
必死に逃れる方法を考えます。
ここで思いついたのは、身分の高い貴族なら結婚にハードルがあるということ!
もちろん一同は、びっくりです!!
ここで、フィガロの本名についてちょっとだけ。
ボーマルシェの原作ではエマニュエルという名になっているの。
ダ・ポンテがなぜラファエロという名にしたのかについては諸説あるようですが、少年ケルビーノ=智天使ケルビムだったのと同じように、フィガロは大天使ラファエルになぞらえたのでは、と言われています
三人、胸がいっぱいで抱き合います。もう敵同士ではありません。
だけど裁判官クルツィオと原告の伯爵は、すっかり冷めてしまいました。
ここで財布を持ったスザンナが駆け込んできて、伯爵を引き留めます。
※台本通りだとスザンナの資金の出所は不明ですが、演出によっては(場面を入れ替えるなどして)伯爵夫人からもらったという設定になっています。
ところが、振り向いたスザンナの目に飛び込んできたのは……
フィガロとマルチェッリーナが抱き合っている姿ではありませんか!
パーン!!
スザンナの平手打ちが飛びます。
頬を押さえるフィガロ。
ここで仲裁に入るのが、何とマルチェッリーナというわけです。
駆け寄って抱き合う四人。
新しい家族の誕生に、思い切り喜びを叫びます。
その片隅で、判決文を持ったまま苦々しい顔をしている人が。
画像がやや不鮮明ですが、この部分の六重唱も有名なのでぜひ!
生き別れになった親子+スザンナの喜び、そして伯爵と裁判官の唖然とした様子の対比がよく描かれています。
何とバルトロ・マルチェッリーナも結婚することに!
気を良くしたマルチェッリーナは、フィガロに借金の証文を渡します。
三人からじーっと目を向けられるバルトロ。
これにて二組の幸せなカップルができました!
まだ幸せになっていない人は誰でしょう?
そう。伯爵と、伯爵夫人。
それから、あの人と、あの人も……