第46話 婚礼間近の朝まだき
文字数 1,809文字
参考:小瀬村幸子訳『オペラ対訳ライブラリー フィガロの結婚』音楽之友社
第1幕 第1景
城内の、がらんとした部屋。
フィガロは物差しを手に何かを測っています。
スザンナは鏡を見ながら、花飾りの帽子を試着しています。
部屋の計測をしている(?)のに、どさくさに紛れてスザンナに近づいていき、
彼女の胸やお尻に触るフィガロ。
帽子に夢中のスザンナはその手を振り払い、試着を続けます。
と言っても、帽子そのものには興味のないフィガロ。
ごまかしつつ、再びスザンナを抱き寄せます。
幸せいっぱい。抱き合って、チュッチュっとキスをする二人。
2004年、パリのシャンゼリゼ劇場で行われた公演より。
この会場はクラシックコンサートによく使われるそうですが(特にストラヴィンスキーの『春の祭典』が大スキャンダルを巻き起こしたホールとして有名)、年に3回だけオペラを開催するそうです。
ベッド。
スザンナは、すっと笑顔を引っ込めます。
スザンナは急に不機嫌になってしまいました。
この部屋が気に入らなかったようですが、フィガロにはその理由が分かりません。
いつの時代も、女性には男性が鈍感に見えちゃうんだな~(笑)。
ちなみにフィガロは、最も低い男声「バス」の役。
オペラでは声域でキャラクターを説明しているところがありますが、フィガロの場合は「真面目」で「鈍感」という感じですね。
上記の会話部分。こちらの動画は映像なしですが、日本語字幕がついているので分かりやすいです。
速い会話に、チェンバロの伴奏が付いているのを聴いてみて下さい!
会話とチェンバロの音、お聞き頂けたでしょうか?
物語を進め、言葉を聞き取りやすいように伴奏を控え目にしたものです。
これを「レチタティーヴォ・セッコ」といいます。
モーツァルトはレチタティーヴォ・セッコの妙手なのです!
ちなみに会話が激してくると、オーケストラ伴奏の「レチタティーヴォ・アコンパニャート」に切り替わっていきます。
なぜかこの部屋が気に入らないスザンナ。
フィガロはちょっと考えてみろと言い聞かせ、この部屋の利点を強調します。
スザンナはむっとしたまま、答えます。
アメリカ、メトロポリタン歌劇場の『フィガロ』。
映画監督リチャード・エアさんは、最近はオペラ演出を旺盛に手掛けているようです(前に引用させて頂いた『カルメン』の動画もリチャード・エア演出でした)。一見地味ながら、センスの良さが際立つ舞台です。