第66話 楽師たちの到着だ

文字数 1,279文字

第2幕 第9景
そこへ調子よく駆けつけて来るフィガロ。

例の計画が、順調に進んでいると思っています。

皆さ~ん。楽師たちが到着しましたよ。

ラッパの音に、笛の音が聞こえませんか

お城中のご家来衆に、歌い踊って頂きます。

結婚式が始まりますよ~!

さっさとスザンナを連れて行こうと、彼女の手を取るフィガロ。

しかし伯爵が彼を引き留めます。

落ち着け、フィガロ。そう焦るな
みんなが僕を待ってるんで~
待て。その前に一つ聞きたいことがある
恐らくフィガロが書いた手紙の件です。

スザンナと伯爵夫人ははっとし、固唾を飲んで見つめます。

事態はますます厄介に……!
どうなってしまうのかしら
フフ……ここでは、うまい具合にカードを開いていかねばな。


ご存知かな、フィガロ君?

(手紙を差し出す)

この手紙は、誰がしたためたのだ?

ぎょっとするフィガロ。

しかし、冷静なふりをして手紙を確認します。

いやあ……

存じませんねえ……(汗)

スザンナと伯爵夫人は、フィガロの言葉が不自然にならないよう、必死に誘導します。
知らない?
本当に知らない?
し……知りませんってば!
ドン・バジリオに渡さなかったかしら?

(ねえ、だから、もう茶番はおしまいよ。気づいて!)

これだけ言っても、フィガロは知らぬ存ぜぬを貫きます。
あれれ。今度はフィガロが窮地に陥っちゃった
これまた、妙な嘘をつくからこんなことになるんだよな~
心配した通り、フィガロの計画は頓挫してしまったね。

でもそれならそれで、したたかに前に進もうとするのが庶民の知恵なのです!

嘘をつき通すフィガロに、伯爵の方が呆れます。
弁解しても無駄だぞ。

お前の面構えが、嘘をついている

面構えが嘘をつくんです。

僕はまさか、嘘なんてつきませんよ!

いつまでも屁理屈をこねるフィガロ。

仕方がないので、スザンナ達は伯爵に計画を明かしてしまったと打ち明けます。

伯爵はしたり顔で、フィガロに向き合います。

どうだ、認めるな?
認めません!
もうっ。このお馬鹿さん!

茶番は終わりよ

分かりました、茶番ですね。

お芝居というのは、ハッピーエンドと決まっております。というわけで、結婚式を今すぐに執り行うとしましょう!

滅茶苦茶な言い分ですが、この流れを逃しちゃいけません。

スザンナと伯爵夫人は、すかさず伯爵に頼みます。

お殿様。どうか反対なさらないで下さい
どうか、この者たちの願いを聞き届けてやって下さい
こうなっては、伯爵も駄目だとは言えません。

「スザンナを自分のものにしたいから、フィガロと結婚させたくない」というのは身勝手な論理。身分の高い人でも、表立っては言えないことなのです。

(独白)

クソっ。

マルチェッリーナは何をやっておるのだ。

まだ現れないのか?

伯爵の待ち望むマルチェッリーナは、まだ来てくれません。

でもその代わり、別の人物が現れます。

この優雅な部屋にふさわしくない、薄汚れて酒臭い人物です……

こちらの動画、最初の三分の一ぐらいが今回の内容に当たります。

仲直りして、ベッドの上で抱き合う伯爵夫妻。そこをフィガロがチョンチョンとつついて、自分たちの結婚式に持ち込もうとします。

丁々発止のやりとりをお楽しみ下さい。

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